<茫漠たる手前勝手なCD名盤ご紹介>#18

*本文は2016年1月20日、FB記事としてアップしたものに、少しだけ加筆修正した再掲コラムです。

イーグルス 1976年12月発表『Hotel California』

 76年末から77年にかけて全米で8週連続1位を取り、全世界で2000万枚以上の売り上げを誇る、この大傑作モンスターアルバムを今さらながらご紹介するのも、いかんせんあまりに急なグレン・フライの死去に伴う僕にとってのけじめのつもりである。

とはいえ、イーグルスに関しては僕なんかより数十段上のファン・フォロワー・マニアどころか崇拝者・研究者レヴェルの方が周りにゴロゴロいらっしゃるので、恐れ多いし滅多なことは書けない。なので実は紹介文にはなっていない笑。

個人的な思い出で恐縮だが、76年末、日本での発売日直後に大学の音楽マニアの友人が、僕の下北沢の線路わきボロアパートに『Hotel California』アルバムをわざわざ持って来て聴かせてくれた。

なぜか怒れる友人「あのな、先行シングルの”New Kid In Town”ももちろん良いんやけど、とにかくこの一曲目を聴け!これが最初のシングルにならんのはおかしいわ!どないなっとんや!」

その当時は音楽を愛するこんな酔狂な友人が多く居た。

どのような目論見で”Hotel California”のシングルカットを見送ったのかは判らないが、おそらく曲の「長さ」と、この曲の持つあまりの「重さ」が当時のレコード会社、プロデューサー、グレン・フライ(この曲にはあまり関わらなかったらしい)含めて敬遠させたのではないかと推測する。

しかし6分半の長さを持つ曲を最後までオンエアするはずの無かった全米のラジオ局が、タブーを侵して”Hotel California”をフルサイズで異常なまでに掛けまくったのだ。(その頃までは3分台以上の曲はラジオで掛からないというのが常識であった。)

そして改めて1977年2月シングルカットされた”Hotel California”は、むろん全米一位の大ヒットとなり、ロングセラーを続け、まさにイーグルスの代表曲と化したのである。

昨日出演し、追悼の意を込め本曲を譜面なしでカヴァーしたギタリスト窪田晴男もMCで述懐していたが、当時の日本ではどこの喫茶店に行っても1時間に一回は”ホテカリ”が掛かってた気がする。

「そのおかげでレコード持ってなかったんだけど、この曲のギターソロのツインパートは覚えてしまって普通に弾けました笑」

本作は発売当時から現在に至るまでその内容、特に歌詞に関して様々な研究・解析・分析が行われ、関連書物も数多くあり、ネット上でも『Hotel California』アルバムの説明記事は相当数アップされている。

そんな訳で本作はご存知の方ばかりだろうから、内容に関してはあえて書かない。それぞれの思いで改めて聴いてください。

*『Hotel California』録音時のイーグルスメンバー。

もちろん、僕の渋谷の店名由来となった荘厳な名バラード”Wasted Time”が含まれていることは言わずもがなであるが・・。

いずれにせよ、表題作”Hotel California”は現代の若い日本の一般的な音楽ユーザーにとっても”Desperado”(ならず者)に次ぐ、イーグルスの超有名楽曲であろう。

そして、この二曲のみならずほとんどの代表曲の作曲(だけではないが)に関与したグレン・フライの死は、アメリカロック史上最重要なバンドであるイーグルスの骨格を失ったと同義である。

バンドの成功のためにメインヴォーカルをドン・ヘンリーに数多く取らせた判断も、賢明なバンドリーダーというより自我を抑えたプロデューサー的な立場からであった。

イーグルスは偉大なるライブバンドである。僕が見た海外バンドの中でも圧倒的に最優秀な音楽パフォーマンスである。

僕は1979年9月の武道館公演(一曲目が”Hotel California”)と、再結成した1995年11月の東京ドーム公演を幸運にも見ているが、とにかく演奏力の凄さはもとより、そのコーラスワークに多大な感銘を受けた。

ライブでのコーラスは完璧であり、レコードより巧いし、あまりにも良いのだ。さらに79年公演より95年公演の方が、コーラスに関しては確実に上回っていた。円熟味という事か。

そのコーラスワークを最重要視したのがグレン・フライであり、彼はコーラスをこのバンドの生命線と位置づけていた。

ビートルズの持つイギリス的なコーラスワークとビーチ・ボーイズを経て、カントリーテイストなアメリカを代表するコーラスワークを創造し、惜しみなく出し尽くしたイーグルス名楽曲の数々。

その全てに感謝し、今日はアルバム紹介に名を借りたグレン・フライの偉大な功績を称えさせてください。

何度でも改めてR.I.P。ご冥福をお祈りいたします。

あ、全く「CD」の要素がありませんでしたな・・笑

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Mutsumu Nakajima

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