<音楽のプロを目指す方へ>その1

この記事は2015年4月、FB上にアップした記事の再掲です。

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お店の出演者の方に「どうすれば売れますか?」という質問をされる事があります。

お答えしようにもその人によって状況が変わるし、こんな時代なので「こうすれば売れます」などと言えるはずはありません。

でもここ最近、最低限これを理解しておこうよ、という事を書いた方が良いかと思ってきました。

音楽を割り切って趣味でやってますって人、またはもう音楽で飯食ってますって方は、この先読む必要はありません。(例によって長文ですし、ごく当たり前の話ですので笑)

ただ今後プロとして音楽をやっていきたい(売れたい=稼ぎたい)・音楽を作る、伝える仕事に関わっていきたい、という若い人には、この稚拙な駄文が役に立つ事もあるかも知れません。

まず質問です。

Q:音楽を「誰のため」に「何のため」にやっていますか?

・もちろん自分のためで、楽しいし自分がやりたいから

・自分が生み出す音楽を人に伝えたいから、知って欲しいから

・自分には音楽の才能があるので、プロになれる(売れる)はずだから

・自分は何よりも音楽が好きで、他にやりたい事や出来る事がないから

そんな答えしか思いつかなかった人は、早めにプロを目指すのを考え直した方が良いかもしれません。音楽のみで生きていくのはそんなに単純な事ではないのです。

おおざっぱに捉えると、プロとは仕事としてお金を稼げる人を言います。そのお金を払うのは家族でも親戚でも友達でもなく、他人です。

「他人」の懐からお金を引っ張り出すためには、思い込みや過剰な自信や勢いや夢だけでは毎回の結果を出すのは無理ですし、そんなに長くは続けられません。

メジャーデビューをしたらプロでしょうか?

知り合いから楽器を弾いてくれと頼まれて、ギャラを貰ったらプロでしょうか?

ライブハウスを満杯にしてチャージバックを受け取ればプロでしょうか?

いえ、その後も売れ続けなければ、仕事がコンスタントになければ、そして収入の大部分を賄えなければ、本来の意味でのきちんとしたプロとは言えません。

プロのミュージシャンや名の知れた音楽関係者は自分のため「だけ」というより「他人(ファンやリスナーやクライアント)」のために音楽を作り、演奏し、仕事をすることがほとんどです。

そしてお金を稼ぐため「にも」日々練習し、考えを巡らし、徹夜をし、今より上を目指し、努力を積み重ね続けます。

・自分は音楽をお金目的のためだけにやっているわけではない

そう考える人も、こんな時代ですからもちろんいます。

そこには「特技」と言えるほど素晴らしい技術や「良い楽曲」で音楽を表現できる人もいるでしょう。

周りの友人から「そんなに巧いんだったらプロ目指せよ」と言われる方もいるでしょう。

すでに数多くの「ファン」が付いている方もいるかも知れませんね。

それに重ねて別途収入があり、今の自分の現状に満足出来て「音楽が好きだからやってるだけ」「お金だけが目的ではない」と考えるのならば、それは最高の「趣味人」です。

実はそういう人は結構居ます。それはそれでとても素晴らしい人生を送れるでしょうし、羨ましい限りです。

全く否定はしませんし、そんな人を応援するのはやぶさかではありません。

だっていつかチャンスが巡ってきて、本人の希望と合致して「売れる(仕事が来る)」かも知れませんし、今後大ヒットを生むミュージシャンになるかも知れませんから。

とても素敵な生き方ですが、でも現時点では、それは「高度な趣味」という事です。むろん本来のプロとは言えません。

とはいえ、もしかしたら一番幸せな事かも知れませんね。

しかしそこに音楽のみで「売れたい=稼ぎたい=食べていきたい」という願望が付くとプロミュージシャンやプロのスタッフを目指す事になります。

過去30年以上音楽業界に関わらせて頂いた僕が知っている「売れ続ける」「仕事が来る」、そんなプロミュージシャンや、(いわゆる)アーティストと呼称される方々や、プロのスタッフには幾つかの普遍的な共通項があります。今回は四点ほど挙げてみます。

*謙虚である

いまでこそ地位も立場も認められつつありますが、その昔は「歌手ふぜいが」「楽団屋の分際で」という目で見られていました。

よく冗談で「士農工商ミュージシャン」と自嘲していたものです。

毎日汗水垂らして仕事をなさってる市井の方々が、稼いだお金をいみじくも自分たちの音楽に払って頂く事によって、成り立っている商売です。

それをけして忘れない方々です。

だれにでも丁寧で、卑屈ではなく低姿勢で、礼節をわきまえ、先達に最大の敬意を払い、馴れあいはせず、そして慇懃無礼ではなく、さりとて自信は垣間見せます。

その上で周りを尊重し、さらに誰よりもフレンドリーなのです。

*一生懸命である

可能な限りベストを目指す姿勢を失いません。彼らは状況が許す限り、より良いものを追い求めてあがきます。

自分の持っている知識・経験・感性その他をその現場・仕事に全て費やします。

出し惜しみはしません。ギャラが1000円でも10万円でも同じ姿勢です。

うちの店ですら、誰でも知ってる大御所ミュージシャンの方は、リハ終わっても本番直前までずっと譜面をチェックし続けます。本番中でも、MCの最中に次の曲の練習をしています笑。

「貰うお金以上の事をやる」それが不文律です。

*頭が良い

音楽の仕事は学校の勉強ではないので、成績はでません。やった結果で次に繋がるかどうかが決まります。

彼らは必死で頭を使います。彼らは誰が何を望んでいるかを即座に判断します。

判りづらいかも知れませんが「頭が良い曲」を書く、「頭が良いプレイ」をする事というのはプロには必須です。

つまり全ての仕事に「賢さ」を保ち、その「賢さ」を結果に散りばめられる内容を作り上げる事が出来る方です。

それらに加え、さらに「ウイット」が求められます。プロミュ-ジシャンと会話したらずっと笑いっぱなしです。彼らは音楽だけではなく、日常的に、またその瞬間に「楽しさ」を与える術を知っています。

*異常なほど音楽を聴いている

良い曲を作る、良い唄を歌う、良い演奏をする事は、良い音楽をどれだけ数多く自分自身に取り込んでいるのか、それ次第で実現します。上述した三点も全てここから始まります。

彼らは自由な一日があれば、8時間練習または詩や曲を書き、そして8時間音楽を聴いていました。

誰かに「あれ聴いた方が良いよ」と言われれば、必ず買い求めて聴きます。

昔、上階にレコスタがあるビルに当時最大手のCD屋さんがあって、REC中、時間が出来て欲しいCDを見に行くとミュージシャンやエンジニアの知り合いが、十数枚ものCDを買い込んでいるのをよく見かけたものです。

その店で片手では持ちきれないほどのCDを持って物色しているユーミンを見つけて、挨拶し「なに、買うんですか?」と尋ねると「へへ、教えない」と笑いながら去って行った事もありました。

プロとして得たお金はもとより、プロを目指す人ならば使えるお金を楽器や音楽購入に「還元」するのは当然の事ですよね?

音楽は買わないと真剣に聴き込めませんよ。

あれ?と思っても自分が買ったアルバムなら10回は聴けるでしょう。そこで初めて良さが判る事もあります。まあ全てのCDや音源が聴く価値がある訳ではありませんが・・。

良いアルバムを100回くらい聴いたら、どんな人でもその本質が見えてきます。メロやフレーズやリズムやその「意味」が体内に取り込まれます。

プロミュージシャンはそれを数回で、へたすると一回聴いただけで取り込みます。なので数多く聴けるのです。そして自分の表現力に循環していけるのです。

いずれにせよ音楽を聴いてない奴には、音楽は出来ません。

ではとりあえずのまとめです。

僕が考えるプロフェッショナルとは、まず自分の才能を客観視でき、その才能や技術を誰に認めて貰うべきか判断ができ、適切なアプローチを持ってその方々と関わっていける人。

また技術の向上に常に努力し、自分に向いた才能を磨く術を知っていて、謙虚に、時には大胆に表現し続けられる人。

さらに現状のニーズを的確につかみ、必要な場所と環境をキープし、自分の技術・才能と照らし合わせて、何をどうすればお金に変わるのかを理解し、それを実践出来る人の事です。

プロはそれらを全て同時進行します。

まあつまり音楽には限らないわけです。いわゆる「職人」と呼ばれる方々にも当てはまりますね。

やたら偉そうな事ばかり長々と書き連ねて来ましたが、実はまだ書き足りません。笑

ただ今回はこの辺で。長文お読み頂きありがとうございました。

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Mutsumu Nakajima

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