オトメスゴレン検証。
【ランキング】男子をその気にさせる個性派女子の特徴ベスト3 http://girl.sugoren.com/report/1388909014065/
……ほお。
もう『男子』からは程遠くなってしまったので、参考までにシミュレートしてみよう。
ま、久しぶりに上昇してきたオトメスゴレンの記事ですしね。
※
「……なあ、」
いつものようにミスドの窓際の席でぼんやりとスマホをいじっていると、向かい合わせに座っていた大輝が声を掛けてきた。
「なんだよ、今いいところ……」
「うるせえよ。お前のいいとこってそれ『パズドラ』じゃねえか」
「なっ、『パズドラ』なめんな。一時間かけてようやく赤おでん引けそうなん」
「なんだよそのアカオデンってのはよ。まあほらいいから、これちょっと見ろって」
いつものように半ば強引に口を挟んでくる大輝に見せつけるようにため息をつくと、俺は大輝が差し出したスマホを覗きこむ。
「……男子をその気にさせる個性派女子の特徴……ベスト3?」
なんで大輝がそんな記事を見せてきたのかさっぱりわからない。
「これがなんだってんだよ。俺は女よりパズド」
「まあほら、読んでみろって」
「……しゃあねえなあ」
ああもうめんどい。
俺はしぶしぶ大輝からスマホをひったくると、記事をななめに読み始めた。
そこにはランキング形式で、3つのタイプが書かれていた。
『周囲との協調性はあるが、一人で行動することを苦にしない』
『大切にしている趣味やライフスタイルのポリシーがある』
『仕事や勉強などではっきりした得意分野がある』
「……ふーん。ようするに『デキルオンナ』ってやつじゃねえの?これ」
「ま、そんな感じだろうな」
「こんなの、見た目も良くなきゃ意味ねえだろって。居ねえ居ねえ、こんなやつ」
俺が率直な感想を大輝にぶつけると、大輝はそのご自慢の金色のモヒカンに手をやりながらにやりと笑う。
「俺もそう思ってよ、この店ン中見回してみたんだけどよ、」
「店ン中?」
俺はそこでぐるり、と周囲を見回す。
週末の夜だからか、店内のテーブルはこれから夜の街に繰りだそう、という連中でほぼ埋まっている。
「こいつらがどうかした?」
「居るんだよ、3つとも当てはまる女がさ」
「はあ?!どこによ!」
俺は思わず変な声を出しながら、もう一度店内を見回す。
――が、どこにもそれらしい美人は見当たらない。
「いねえじゃねえかよ」
俺がそう言い返すと、大輝はしてやったり、とばかりにニンマリと笑みを浮かべて、店のすみっこを指さした。
「ほら、あそこ」
「あそこ――って」
俺は大輝の指さしたテーブルを見る。
そこには、これから店に行くのだろうと思われる、けばい女性の服装に分厚い化粧をした髭面のオッサンが、山積みにしたドーナツをつまみながら嫌だもうとか言いながら笑っていた。
「――ああ」
なるほど。
「確かに『周囲との協調性はあるが、一人で行動することを苦にしない』し、『大切にしている趣味やライフスタイルのポリシーがある』し、『仕事や勉強などではっきりした得意分野がある』わな」
「だろ?しかもまず間違いなく、男の目を引くよな」
嬉しそうに返してくる大輝に、俺は何と言ってやればよいのだろう。
こんな時こそ、リアルに『イイネ!』ボタンとかありゃ良いのに。
「――ん、まあ、なんて言うか……なんかちげくね?」
途中で面倒になった俺がぶっちゃけると、大輝は握りこぶしを作って胸を張りやがった。
「いや、間違いない。このニュースだと俺ら『男子』は、ああいうのに惹かれるんだ」
「っておめえ、こないだ『~男子とかキモいよな』とか言ってた――」
思わずツッコみかけた俺だったが、最後までツッコむことは出来なかった。
突然大輝が「さあ、行くぞ!」と立ち上がったかと思うと、俺のスマホを持った方の手をひっつかんでズカズカと歩き始めたのだ。
――オッサンたちの居る、テーブルへと。
思わず両足で踏ん張って抵抗する俺だったが、しかし鳶の大輝のパワーには勝てない。
ずりずうりと引きずられていく。
「いやおいちょっとまて何してんのばかじゃねーのどこ行くんだよ!」
焦って口走った俺の問いに、
「決まってんだろ、時代の最先端だよ!」
とかよく解らない返事。
ああもう、嫌な予感しかしねえ。
「ちげーよおかしーよぜってーよ!」
「良いからテメーも最先端に行こうぜ!」
「いややめてちょっとや~め~て~っ!」
俺の情けない叫び声が店内に響き渡り、客が全員俺たちを見る。
もちろん、オッサンたちも、俺たちを見ていた。
――心なしか、頬を赤らめながら。
「やめろってマジでこの酔っぱらい!」
俺が最後の力を振り絞って叫ぶと、大輝が楽しそうに歌い出した。
「あい、ら~ぶ、ゆー♪」
「うたうなああああああ!」
※
……はっ。
私はいったい何をしていたんでしょうか。
えっと、確かオトメスゴレンのシュミレーションをしようとして、……あれ?
まあ、良いか。
オチとか無いですが、それもいつもどおりっぽい感じで。
では、また~!
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