スゴレン検証。親密度について。
女の子との親密度が自然とアップするデート9パターン http://www.sugoren.com/report/1932/
ええ、一部の方はお待ちどうさまでした。
スゴレンのパターンネタ、特に恋愛物となれば、私の再検証の時間でございますよ。(ふっふっふ)
ま、これまで同様、フラグはぼっきぼき折っていきますから。
笑えるネタになれば良いのですが、笑えないネタになってしまった時はごめんなさい。
なんせ、思いついたままつらつらと、即興演奏のように書いていきますので、私にもオチは見えておりませんから。
では、参ります。
検証開始!
【1】人が多く、はぐれない努力が必要なイベント会場
「『はぐれないように』って口実で自然と手がつなげそう」(20代女性)というように、イルミネーションや花火大会など、人が多いイベントに行くと、「手をつなぐ」という次のステップへの流れが自然になるかもしれません。そうでなくても自然と寄り添って歩くので、物理的な距離が縮まるでしょう。
「ちょっとなにこれ!前にも後ろにも進めなくなったじゃない!」
夏の幕張。
いわゆるコミケ会場が開く前の芋洗い状態の人ごみの中、僕と明美は寄り添って…
…というよりは、おしくらまんじゅうのようにびっとりくっつきながら、
まるで牛歩戦術中の国会議員の皆さんのようにのろのろと進んでいく。
「大丈夫!すこしずつ進んでるから」
「少しずつ、って、まだここから会場まで1kmは有るよ?!どんだけ掛かるのよ!」
僕のほんの鼻先で僕に怒鳴りつけている明美に必死に弁明しながら、
実のところ初めて感じる彼女の豊かな胸の感触に喜んでいる僕。
「ちょっとなに鼻の下伸ばしてんのよキモブタ!私に触ってるあんたの身体が汗ばんでて気持ち悪いんだからね!あんたが誘ったんだから何とかしなさいよこのアセ魔神!」
ああ。
相変わらず容赦のない罵倒の数々。
「ああもう、確かに興味はある、って言ったけど、こんなに混むんなら来なきゃ良かった!」
「いや大丈夫だって、会場が開場したら、結構早く中に入れるからさ」
僕がネットで聞きかじった話をそのまんま話すと、明美は疑わしげな目で僕を睨みつける。
「どうせ2ちゃんかなんかのネタでしょ?たまには自分の実体験話しなさいよこの変態」
ああ。
その目が悩ましい。
「ああもう、来なきゃ良かったああああ!」
うっとりする僕を見限り、明美は空に向けて大声で叫んだ。
ああ、幸せ♪
はい、どうでしたか?
とりあえず男性の方は満足されているようですね。
ちなみに私は、地方の小さいコミケに20年近く前に行ったきり、一度も足を踏み入れたことはありません。
行ってみたいんですけどねぇ。ふう(とおいめ)
さて、次の検証です。
【2】自分のテリトリーであるバイト先の飲食店
「普段彼が働いている場所なら、バイト仲間にも紹介してもらえる」(20代女性)と、男性側の知り合いに会わせてもらうことで、親近感がわく女性もいるようです。勝手知ったる場所でなら、どんな男性でも堂々と振る舞えるはず。女性を簡単にリードしてあげられるでしょう。
「なあなあ、この子お前のカノジョ?イケてんじゃん」
コミケからの帰り道。
僕は明美と一緒に、僕がバイトしている店にやって来ていた。
とは言っても、僕みたいな太っていて汗っかきなコミュ障のマゾにウエイターとか出来るわけもなく、もっぱら厨房で皿洗いばかりなんだけど。
で、その店で、バイト中のタケシとばったり遭遇したわけだ。
「ねえ、このイケメン、バイト仲間?」
何だか急にテンションが上がった気がする明美に若干不安を覚えはしたものの、ここは僕のテリトリーだと思い直し、タケシを紹介することにした。
「えっと、バイト仲間の……」
仲間、と言った瞬間、タケシが僕を睨みつけた。やばい。
「は?仲間じゃねえし。リーダー様だろ?りー・だー・さ・ま!」
「え?何それキモい」何故か明美が僕に向かって言う。
「ってか、こいつの何が良くて付き合ってんの?あんたみたいな美人がさ」
タケシの質問に、何故か顔を赤らめる明美。
「ええ?いや別に付き合ってないよ。今日はどうしても、って言うから仕方なく」
明美の答えに、タケシはニマニマと僕を見つめる。
「なあんだ、そっか、自分のバイト先でイイトコ見せよう、って事かよ。バカみてえ」
「え?もしかしてこのデブ、バイトしてないとか?」
明美の問いに首をふるタケシ。
「いや、単に皿洗いとフロアの掃除だけしかしてないだけ」
「うわそれサイアク」
何それ、とあざ笑う二人。
ああ。
なんて幸せなんだろう。
もっとあざ笑って!もっとイジメて!
えっと、なんだろうこの展開。
すげえ嫌な予感たっぷりなんですが。
(ちなみにここまで即興で書いてます)
いやまあとりあえず、次行きますか。
【3】男らしく女性をサポートできるアウトドア
「ふたりで協力する機会が多いから仲良くなれる」(20代女性)と、山登りやキャンプに行くメリットをあげる女性もいます。力や経験が必要なことも多いので、相手がアウトドアに不慣れな女性であれば、より親密になれるのではないでしょうか。
「ちょっとお!まだ1合目出たばっかりでしょお?なんでいきなり休んでんのよ!」
よく晴れた日曜日。
僕は明美と、何故か山に登ることになった。
いや正直登山なんて興味も何もない。
そもそも今日はゆっくり録り溜めたアニメと特撮を一気見するつもりだったんだ。
『牙狼』なんて、ちょうど双子の対決がさあ……。
「何ブツブツ言ってんのよ、早くしないと8合目の山小屋まで辿りつけないよ!」
ほんとにもう、とぶつぶつ言いながらも、僕を放ったらかしにして行ったりしない辺りに優しさを感じる。
ああ。
優しい明美って、良いなぁ。
「……んとにもう、せっかくタケシさんが今カノ連れて来てんだから、急がないと合流できないじゃん……」
……ん?今風に乗って明美のつぶやきが聴こえてきた気がするけど、気のせいかな?
いやいや、タケシとか聞こえたけど、気のせいだよきっと。
僕がそんな事を考えながら座り込んでいると、
彼女がもうがまんできない!と立ち上がって僕をきっ!と睨んだ。
「ああもう!先行ってるから!じゃね!」
もし嫌になったら帰っていいから!
と言い捨ててさっさと登りはじめた彼女の後ろ姿を見つめて、僕はポツリとつぶやく。
「……いや、運転手は君じゃないか」
結局山を途中下山し、20km歩いて何とかたどり着いた駅から帰宅した僕に、明美からの連絡は一切来なくなった。
うーん。予想外の展開になって来ました。
全然親密感が縮まりませんね。
これは不味いぞ、スゴレンさん。
【4】ふたりの未来を想像させるインテリアショップ
「一緒に家具を選んだりすると、ちょっと夫婦気分に(笑)」(20代女性)と言う女性は多く、家の中のものを見て回ることで、心の距離が近づくことがあるようです。ソファなどを選び「今度座りに来て」と誘うと、お家デートへの流れもスムーズでしょう。
あれから一ヶ月後の日曜日。
「ねえ、こんなのどう?」
明美はニコニコしながら、目の前にある豪華なソファセットを指さしていた。
「いや無理だよ、これ全部で20万もするじゃん」
「えー良いじゃん。ローン組んでさあ。これなら長持ちしそうだし」
今日の明美は驚くべきことに僕にやさしい。
僕の反論にもキレること無く、ニコニコと笑顔で答えている。
まるで、ひと月まったく連絡がなかったことが嘘みたいに。
「あ、あの食器棚可愛い。ちょっと見に行こ!」
そう言って僕の脂ぎった手を握り、彼女はぐいぐいと食器棚コーナーへと向かっていく。
そんな、ひと月前とは全く違う彼女に、僕はただ戸惑っていた。
食器棚コーナーは、まるで高層ビル街のようだ。
160cmに満たない僕からすると、どの棚も僕を威圧しているかのように見えるからだ。
(食器棚なんて、カラーボックスで十分だと思うけどなぁ)
そんな気持ちをぶっちゃけることもできず、僕は曖昧な笑みを浮かべながら、
楽しそうに棚を見ている明美を見ていた時だった。
明美のハンドバックから西野カナの歌が流れ、明美の表情が一気に険しくなった。
「ちょっとごめん、電話してくる」
そう言った彼女が慌てて棚の反対側に駆け去っていく。
僕がどうにも中途半端な気持ちで食器棚を開けたり閉めたりしていると、
棚の向こう側から彼女の声が聞こえてきた。
「……から、もう電話してこないで、って言ってるじゃん!」
「そんな事言っても遅いよ、何股かけてたかわかってんの?5股よ、ご・ま・た!」
「1ヶ月で解って良かったよ。傷が浅くて済んだしね」
「ごめん、今あんたが嫌いなキモデブと楽しくデート中だから。ほんとにもう電話してこないでよ、タケシ」
……ああ、そうか。
明美、タケシと一緒だったんだ。
そうかあ……。
僕は、「ごめ~ん♪」と慌てて戻ってきた彼女を見つめながら、
これからどうしたら良いかをぼんやりと考えていた。
……あれ?なんだろう、目からしょっぱい水が。
いや、笑えるネタにするはずが、なんでこんな展開に。
【5】女性に教えてあげられるくらい詳しいスポーツの試合
「スポーツ観戦は一緒に熱くなれるのがいい」(20代女性)と、スポーツを応援することで一体感が生まれることもあるようです。まずはスポーツバーでルールを説明しながら観戦し、2度目は生の試合会場に誘うと、まったくそのスポーツを知らない女性でもデートを楽しめるのではないでしょうか。
「ってか、これなんてスポーツなの?初めて見るけど」
明美の不信感たっぷりの表情に、僕は少しだけ後悔する。
「こないだスポーツバーで説明したじゃん。フリンゴっていうんだよ」
「ふ、フリンゴ?聞いたこと無いよそんなの」
明美の呆れたような声が聞こえるが、いいや気にしない。
「まあ観ててよ、だんだん面白くなるから」
僕はそう言って階下の試合会場を見下ろす。そこには2面のバトミントンコートがあり、コート内にはクロスを首にかけた4人の男女がボールをラリーしていた。
「面白く、って言っても、あれってほら、焼肉屋でかけるエプロンみたいなやつでボールを弾いて遊んでるだけじゃん」
どこが面白いのさ、とつぶやく明美。
(じゃあ聞くけど、性格の悪いイケメンと夜遊びするののどこが楽しいのさ)
思わず口にしそうになる一言をぐっとこらえ、僕はフリンゴの解説をはじめる。
「あれ、簡単そうに見えて、結構難しいんだよ。……ほら、あのスマッシュなんて、ほんと神業でさ……」
僕はその後も、懸命にフリンゴの良さを説明していったが、やはり僕の拙い解説では面白みは伝わらなかったらしく。
彼女は20分もしないうちに、どこからか掛かってきた電話に出るために席を離れ、
そのまま帰ってこなかった。
……いや、別にこの二人を登場させる必要はなかったんですが。
なんでか、勝手に登場するんですよ。
参ったなぁ……。
【6】水槽を見るときお互いの顔が近づく水族館
「魚を見ようとすると相手の顔が近くて恥ずかしいくらい(笑)」(20代女性)と、水族館に行くと顔を近づける機会が多く、親密になることができるようです。昼間でも薄暗いという状況が、ロマンチックなデート気分を盛り上げてくれる一因ではないでしょうか。
「こないだはごめんね。ちょっと急用ができちゃって」
水族館の順路を歩き始めてすぐ、明美は僕の方を見て両手をあわせてごめん、と言ってくれた。
「いや、良いよ別に。それよりほら、テッポウウオだよ」
僕は敢えて踏み込まないように、目の前の水槽に彼女の意識を向ける。
「わあほんとだ、すごいほんとに餌を撃った!」
明美はそう言ってきゃいきゃいと喜んでいる。
僕は彼女の横顔をすぐ傍で見つめながら、ふと昨夜掛かってきた電話のことを思い出していた。
『よお』
『あ、タケシか』
『リーダー様だろ?リーダー様!』
『ああうんごめん。で、何?』
『おお、いや、わりいんだけどよ』
『うん』
『明美、もう俺の女だから』
『……は?』
『は?じゃねえよ。俺のもんだから、ちょっかい出すな、って言ってんの』
『俺のもん、って、何だよそれ』
『どうせお前は付き合ってなかったんだろ?じゃあ良いじゃん。気にすんな』
『気にすんな、って……くそ、切りやがった』
「どうしたの?」
突然僕の視界に、明美のきょとん、とした顔が飛び込んできた。
「わっ、い、いえ、何でもないです」
僕は慌ててごまかすと、次の水槽に向けて早足で歩き出す。
「ねえ、どうしたのよいったい。もしかして3週間も連絡しなかったこと、怒ってるの?」
「い、いやそんなんじゃないよ。だってほら、僕ら付き合ってるわけじゃないしさ」
僕が慌てて言葉を返すと、まあそうだけどさ、と彼女が口を尖らせる。
「まあ良いじゃん。とにかくほら次行こうよ」
僕は何とか笑顔を作ると、複雑な表情をしている彼女を先へと促した。
……まったくこの二人は。一体私に何を書かせたいと言うんだろうか
もう好きにして(泣)
【7】自動的に長時間隣の席に座る映画館
「はじめての映画デートは緊張した」(20代女性)と漏らす女性は多く、長い時間隣に座り続けることで恋のドキドキ感が高まるようです。恋愛映画であれば、女性の手にそっと自分の手を重ねたりしてもいいかもしれません。
土曜の午後11時。
僕は一人で映画館に来ていた。
いや、別に映画を見たかったわけではない。
明美との初めてのデートの思い出に浸りに来ただけだった。
明美は、僕と同じ大学のサークル仲間だった。
内気でキモデブで汗っかきな僕をひたすら罵倒する美しい女性。
そのやり取りを見た他の仲間からは、『女王様と豚』というありがたいユニット名まで付けられていたが、それでも彼女と一緒に居れるなら、僕はマゾでも何でも良かった。
そんな彼女と、何故かよく解らないうちに映画を観に行くことになって。
僕にとっては初めてのデートで。
すっげえドキドキしながら1時間前から駅前で待ってて。
そしたらすげえつまらなさそうな顔をした彼女が現れて。でも5分前にやってきて。
映画館に入って隣り合った席に座って。
彼女の手がちょっと触れたりしてドキドキしたりして。
映画の中身なんて全然覚えてなくて。
映画館から出てきたとき、彼女に覚えてないことを正直に伝えたとき、
「つまんなかったからよく覚えてない」
って言った彼女の頬が、蛍光灯の下で赤く染まっていた気がした。
そんな思い出を、今僕は一人、映画館の席に座って思い出していた。
水族館デートから2週間。
彼女はサークルにも顔を出していない。
これはそうだ。
きっとあれだ、普段0時には眠っている私がこんな時間に頭を使っているせいだ(現在1:08)。
仕方ない、オチがないかも知れないけど、このまま進めてみよう。
【8】薄暗い室内でふたりきりになれるカラオケボックス
「狭くて暗い場所にいると、自然と距離が縮まる気がする」(20代女性)などの意見もあり、カラオケボックスという場所の特性上、ふたりの親密度は上がりそうです。明るい歌を歌っていると気持ちも打ち解けるので、一緒に盛り上がれる選曲を心がけましょう。
「ねえ、アニソン、って、歌えるの?」
暇だからと言われて入ったカラオケボックス。
歌うのが苦手だと言う僕に構うこと無く1時間ほど連続で歌っていた明美が、突然真顔になって僕に問いかけてきた。
「え?あ、うん、歌えるけど、下手だよ?」
拍手をやめた僕がおどおどと返すと、彼女はそそくさと僕に近づき、これ歌える?とリモコンのタッチパネルを見せてきた。
見せられた曲名は、『BLEACH』の2つ前のOP曲だった。
「あ、うん、大丈夫。」
「わあ良かった。これ好きなんだよね」
そう言って嬉しそうにリモコンを操作する彼女を見て、僕は切ない気持ちになる。
眼の前に居る彼女は、もうタケシの彼女なわけで。
僕がいくら努力して彼女との親密感を上げたとしても、それはそこで終わりなわけで。
(なんて、純の真似してどうするんだっての)
僕は一人苦笑いしながら、前奏が始まって嬉しそうにしている彼女を見つめていた。
ああもう、次がラストじゃないですか。
オチ、ちゃんとオチがつくんだろうか……。
ええい、ままよ!
【9】ガヤガヤとにぎやかで自然と体が近づく居酒屋
「うるさい場所だと、話すために耳元に口を寄せるから」(20代女性)など、賑やかな居酒屋にいると自然に体が近づくようです。また、お酒が入れば恥ずかしがり屋の男性も少し大胆になれると考えられます。度胸をつける意味でも、一杯飲むというのは有効な手段かもしれません。
カラオケボックスを出た僕達は、そのまま1kmくらい先にあるサークル仲間とよく使っている居酒屋に入っていた。
半年前なら1kmなんて歩いたら倒れかねないくらいデブだった僕も、この半年の心労からか一気に痩せ、ただのキモデブからただのキモチビに変わっていたため、何とか無事に居酒屋までたどり着くことが出来たのだ。
(そういう意味では、僕は明美に感謝しなきゃいけないかな)
僕は梅酒サワーを一口飲みながら、そんな馬鹿なことを考えて一人苦笑いする。
「なに梅酒サワー飲んでかっこつけてんのよう」
眼の前に座る彼女は既にビールを3杯飲んで気持ち良くなっているらしく、以前のような明るさを垣間見せ始めていた。
「良いじゃん。たまにはカッコつけさせてよ」
僕が調子に乗って言い返すと、彼女はなにおう、と言いながら身を乗り出して僕の頭をはたいた。
「肝心な所でヘタレるあんたに、カッコいいとこなんて有るわけ無いじゃん」
「なんだよその、肝心な所で……ってのは」
僕はむっとしつつも、できるだけ冷静に返す。
「肝心なところは肝心なところじゃない。
デートにしても何だかよく解らないところばかり連れてくし」
うっ。
だって、絶対うまく行く、って書いてあったんだもん……とはとても言えない。
「こっちから連絡しなかったら連絡してこないし。
サークル以外で私を見たら逃げ出すし」
うっ。
だって、迷惑だと思うじゃん。掛けたかったけど、タケシの顔がちらつくしさ。
だいたい明美、お前タケシと付き合ったんだろ?
「ほんと、なんなの?」
呆れたような声で吐き捨てる彼女に、僕はとうとう耐え切れなくなった。
僕は手元にある梅酒サワーだけじゃなく、彼女の手元にあった生ビールのジョッキも奪い取って一気に飲み干すと、
ゲップと一緒に吐きそうになるのを必死になってこらえた。
「いやちょっと待ってそれ一気飲みしすぎだから。大丈夫?」
こらえ過ぎて意識が朦朧としかけているせいか、彼女の声が遠くから聴こえてくる気がする。
「だ、大丈夫。大丈夫だから」
僕は何とかそれだけ言うと、自分の席にどっかと座り直し、後ろを向いて盛大にゲップをする。
よし、これで良いんだ。
僕は思い切って顔を戻すと、彼女の目をじっと見つめた。
「な、なによ」
突然真顔になった僕に、今度は彼女がうろたえる。
うろたえた彼女の隙間から、本当の彼女が見え隠れしている気がして、
僕は思い切って口を開いた。
「明美さん、好きです!付き合ってください!」
せっかくの愛の告白からかっきり数えて60くらい。
つい勢いで頭を下げてしまったせいで、彼女の表情が何もわからない。
そもそも初めて女性に告白するので、こんな時に顔を上げて良いのかもわからない。
どうしたら良いんだ、この状況?
「……良いの?私みたいなので」
唐突に、彼女の言葉が聴こえてきた。
「良いです。もったいないくらいです」
僕は即答する。
即答するしか無いじゃないか。
「私、ずるいよ。それでも良いの?」
彼女は更に畳みかけるように問う。
「逃げないだけましです。君はこの半年間、結局僕から逃げなかったから」
大抵の女性は、僕と5分も一緒に居てくれなかった。
でも彼女は、居てくれたんだ。
例え罵られ、弄られ、いじめられていたとしても。
そして僕は、ゆっくりと顔を上げる。
徐々に上がっていく視界の先には、酔っているせいか、頬を真っ赤にした彼女が居た。
あの、初めての映画館デートの時のような、頬を真っ赤にした彼女が。
「私、私は──」
彼女はそして、僕に返事をしてくれた。
結果?
結果は、教えない。
記事を信じて危うく失敗しかけたんだ。
教えてやるもんか。
絶対教えないもんね。
……やられた。
まさかこんなオチに持って行かれるとは。
前回のようなコメディを期待してここまで読まれた方、ほんとすみませんでした。
やっぱりあれか?
安藤裕子の『輝かしき日々』をすっかり気に入って、執筆中ずっとヘビロテしてたんですが、
やっぱりこれが不味かったかぁ。
えっと。
今後はこの様なことの無いよう、全身全霊を持って笑いに徹したいと思います。
……自信はまったくありませんけど(笑)
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