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観光地料金に対して物申す。今の入場料金はクソ。

最近2ヶ月間のヨーロッパ周遊旅行から帰ってきて、観光地の入場料金設定に関して強く思うところがあったので言うわ。

観光地料金に対して思うことは、「もっと入場料を高くして良い」「ダイナミックプライシングを導入しろ」の2点。

1.もっと入場料を高くして良い

経済活動において希少性のあるものは値段を高く設定しても人は買うと言うけど、観光地ほどそれが当てはまる事例はない。

例えば、ルーブル美術館は世界でパリにしか存在しないわけで、他の場所でルーブル美術館を味わえないことや、ルーブル美術館の物理的な収容人数の限界を考えると、需要に対して供給量は限りなく少ない。にもかかわらずルーブル美術館の入場料金は15ユーロ(≒2200円)であり、これはあまりにも安すぎる。
安すぎると判断できる証拠は、ルーブル美術館の前に毎日できる地獄の行列である。大量の人々がルーブル美術館に入りたいけれども、ルーブル側が全員を受け入れる場所も余裕もないのである。だったら値上げして、本当にルーブル美術館に入りたい人のみが決意を持ってチケットを買うような価格設定にするべき。なんとなくルーブル美術館に行っておこうとか、にわかファンみたいな人をできるだけ排除していかないとあまりの混雑でほとんどの人が微妙な気分になって終了するだけ。

モナリザの部屋とか混みすぎて訳分からんよね。たとえルーブルの入場料を1万円に値上げしても混雑具合はそこまで変わらないと思う。

加えて、サンクコスト的な観点からも人々はより高い金額でも平気で払うと予想できる。なぜなら、旅行者はすでにパリに来るために大金を叩いて航空券やホテルを予約している。それだけじゃなく膨大な時間も費やしていて、学生ならまだしも会社員なら少ない貴重な休みをわざわざその旅行に充てているのである。
こういう状況で、まさに「パリまで来てルーブル美術館に行かないわけにはいかない」という心理が働く。ここまで時間もお金も費やしておいて、ルーブル美術館の入場料が2万円だからといって入らないという選択を取るはずがない。さらに、もう一度ルーブルに来るためにはまた休みを取って、大金を費やしてパリに来る必要があることからも、もしルーブル美術館に本当に興味があれば、高い入場料を払ってでも入ることはほぼ確実である。だから高額な入場料によって一切人が来なくなるとか、むしろ収益が低下するみたいなことを心配する必要はない。

ポイントは、その観光地に本質的な価値があるかどうかである。ルーブル美術館はパリにしかなくて、世界トップクラスの美術館であることが疑いようのない事実なんだから、それに見合う価格を設定をするべきだ。逆に言えば、近所の神社が突然「参拝料5000円です」と言ったところで誰一人参拝しないだろう。
実際には、世界には価値のある美術館や城や遺跡などの観光資源がたくさんあって、その多くは市場価格に見合った正当な入場料金を徴収していない。「文化的な貢献」や「幅広い人々へのアクセス」といったことを言いながら安い料金で抑えてきたのである。でもそれは間違った方法である。もしお金のない学生でも見学できるようにしたいなら学生割引を作れば良いし、地元の人が気軽に行けるようにしたいなら地元の人用の安価な年間パスを作るのも良い。ただそれを一律料金で安く徴収して、貴重な観光資源を安売りするのがダメなのである。

2.ダイナミックプライシングを導入しろ

もう一つの考えは、ダイナミックプライシングを全ての観光地、特に展望台や美術館で導入しろということだ。

ダイナミックプライシングは通常、ローシーズンとハイシーズンの需要の差に対応するために旅館や航空会社などが設定する。観光客が増えるハイシーズンには値段をあげて、逆に需要が減る閑散期には値段をさげる。これによって市場価格に対応し、収益機会を捉えるのだが、観光地に関してもこれを設定するべきである。

もちろんロー/ハイシーズンの需要差もそうなのだが、それに加えて他のパラメータも考慮に入れた上で入場価格を変動させるべきである。具体的には、展望台では天気や視界が良好かどうか、美術館では主要な作品が修復中であるかどうかや別の美術館に貸し出されているか、特別展が開催されているかどうかで価格を変動させるべきである。

例えば、今回の旅で僕は高額(160ユーロ≒24000円)を払ってユングフラウヨッホのスフィンクス展望台まで行ったわけだが、天気が最悪で本来はアルプスの山々や氷河が見えるはずが、展望台からは一切何も見えなかった。また、ハーグのマウリッツハイス美術館には本来「デルフトの眺望」が所蔵されているが、アムステルダムの美術館に貸し出されていて、マウリッツハイスでは見ることができなかった。こうした状況において正規料金を旅行者に対して請求するのは馬鹿馬鹿しい。

これ24000円払って行く意味ある?なんも見えんやん。任天堂Switch買った方がええわ。

展望台から何も展望することができない状況で通常料金を取ると言うのは、羽が回らない扇風機を定価で買えと言っているのと同じである。別に割引して安くしろと言っているのではない。もし展望台から本当にアルプスの山々が見えたり、マウリッツハイスで「デルフトの眺望」が見られるのなら、むしろ倍の金額を払っても良いと思う。とにかく、観光地がその時に提供できる価値は変動するのだから、入場料金にそうした現実を反映させろということだ。

「デルフトの眺望」。係員に聞いたら、一時的にアムステルダムのライクス美術館にお引越ししたよって言ってた。

結論

コロナ禍で環境産業は大打撃を受けた訳だけど、コロナが終わって今急激に旅行需要は回復している。日本もコロナ前の2019年は年間3000万人の訪日外国人が日本中のあらゆる寺や神社や博物館や遺跡に行っていたわけで、これから徐々にその水準まで戻っていくだろう。

そうした時に観光地価格を正しく設定するかどうかで得られる収益や旅行客側の満足度も大きく変わると思う。日本にもたくさんの価値ある観光資源があるわけだから、適正で柔軟な入場料を徴収することが良い。コロナで受けた大きな損害をこれからの知恵と工夫で少しづつ取り返していくことが重要である。



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