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チーズケーキの材料 "Cheese Cake"

猛威を振るう今年の花粉により、齢24にしてついにオレも花粉症デビューしたようです。
今もかゆい目をこすりながらこの文章を書いています。周りの花粉症持ちを尻目に、優越感に浸っていた日々はもう終わりを告げた、、、
昔からそんなに春が好きではないのだけれど(新生活とか、いろいろ新しくなるタイミングが多くて、心がなんだかザワザワしてしまうから)、これからは憂鬱な春の訪れを待つようになりそうだ。

先日、と言ってもだいぶ前ですけれども、我々の新曲「Cheese Cake」がリリースされました。
同じ日にミュージック・ビデオも公開されました。みんな観てくれたかな?アットホームな空間でメンバーと楽しく遊びながら撮れました。いつもよりリラックスした映像になったと思う。

今回もこの曲についていろいろ僕が語っていこうと思うよ。

楽曲・サウンドの話

この曲のデモは思い返せばめちゃめちゃ前からあったもので、2021年3月に一度完成させている。でも今聴き返してみたけどほとんど変わってないかも。サビのハモリとか、メロディとか曲の構成とか、、、ちなみにこの時点でメンバーに聴かせた時の反応は覚えてません。覚えてないくらいにはみんなのリアクション薄かったんだな、、、笑

ただ曲自体は完成した時点からかなり気に入っていて、いつかちゃんとやりたいなと思っていた。それで今回シングルを出すってなった時に引っ張り出してきて、リズムとかちょこちょこいじってみた。そうしてアレンジし直したデモをメンバーに聴かせたら、今度は「めっちゃイイじゃん!」アレンジは大事。

ドラムのリズムパターンや、ベースとドラムの絡み方とかは、ニューヨークのセンスのいいインディーロック(そう例えばVampire Weekendとか、Haimとかかな)、あとThe Smithsとかにインスパイアされた。結果的にはそんなに聴いてて感じないかもしれないけど笑、あくまで頭の中ではそうだったというね。
ギターソロの裏で左右に聴こえるアルペジオなんかは、まさしくスミスとかのUKバンドになったような気分で弾きました。でもこの曲歌いながらギター弾くのムズイのよ、他の曲と段違いなんだよな。

あと、この曲のサビでは僕はほとんどワンコードしか鳴らしていません。ベースがいないとお経のサビみたくなります(何言ってるか意味不明かもしれないな)。楽器やってる人にしか伝わらないかもなあ。
「4人の楽器、どれか1つでも欠けたら成立しなくなるようなバンドサウンド」をいつも心がけているんだけど、この曲は割とそれがうまくいったなと思っています。

「Cheese Cake」と親和性のありそうな曲を集めてプレイリスト作りました。ぜひこちらもチェックしてみてください。


歌詞のこと

この「Cheese Cake」という曲の歌詞は、本当に完成させるのに難航した。
この歌詞・この表現に辿り着いたのには、僕の人生における背景があって。
(そろそろ読むのに飽きてきた人は終わってもいいよ笑)

もう10年以上前になるけれど僕の身近な人で大病を患った人がいて。手術が成功して無事に生き延びたんだけれども、それから彼女の見える世界は「色を失くしてモノクロに映る」ようになった。それでも何年も長い時間をかけて、その間に新しい仕事を始めたり、ライフスタイルや身の回りの環境を変えてみたりして、少しずつ世界に色が付くようになってきたんだ。という話を僕が昔から聞かされてきたこと。

あとは、中学生のころに僕一人がクラスに馴染めなくなり、文字通り灰色の学校生活を過ごしたこと。(毎朝登校中にアジカンの「ファンクラブ」聴いてたけどあのジャケ写の色のまんまだよ)。あの時クラスの連中が流して歌ってた歌、うた、ウタ…
多感で、とんがってた自分には幼稚な歌詞、安易な共感、安っぽい「頑張れ」みたいなエール、メッセージ、、もううんざりだって感じてた。それより毎朝聴いてた「ブラックアウト」のほうが、歌詞の意味は抽象的でも、何十倍何百倍も14歳の自分にはリアルに響いた。それ以来、所謂応援歌とか、エールを送る、みたいな楽曲(それに救われている人がいるのは確かなわけで、無くなるべきだとは到底思わないものの)に少なからず苦手意識を持ってしまうような性格が形成されてしまったわけだ。
中学生のときの経験ってのちのちの人格に深い影響を与えてゆく気がするのだけれど、みんなはどうかな?

そんなナナメな僕が書き上げたこの「Cheese Cake」という歌詞は、なんとまあムヅカシイだろうか。

きっと歌の主人公は、人生にちょっと疲れてしまっている彼女を助けたい。
日々を生きるのに精一杯で、彼女の命のストロボはすり切れてしまっている。
死生の境界線上で引き裂かれそうになっている彼女のために主人公ができること。でもそれはありきたりな応援だったりメッセージではきっと救われない。色のない世界を染めるためには日々の暮らしの中で、カケラでも少しずつ「きっかけ」を積み重ねていくしかないんだ。

そんなことを歌いたくて、言葉を探して並べて、ひっくり返したりしていたらあんな歌詞になった。みんなは聴いてて何を歌ってるのか不親切で分かりづらく感じただろうか。そもそも歌詞なんて気にしていないかもだけれど。

僕という人間はなんだかひねくれてるか、マジメすぎるんだろうけど、
それでも自分自身が感動できるものしか、みんなには届けたくないんだ。そうでないとリアルじゃないんだ。そんな風に思います。


最後に、MVを手がけてくれた皆様ズパラダイス兄さん
アートワークデザインをやってくれたニイムラにこの場を借りて感謝を。アートワークは電話口と文面でイメージを伝えただけで、この楽曲のムードにとても合うものを作ってくれた。送られてきたときニコニコしちゃいました、ありがとう。

では、次はまた「Converse」編でお会いしましょう。




もしみんなが生き続けてゆくための「きっかけ」の一つに、僕らの音楽を選んでくれていたらそれ以上に幸福なことはないです。

「夜が明けた僕らの街」が見える?
Can you see “our city dawning”?



去年出したミニアルバムの解説シリーズもぜひ。


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