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20230910 到達した通過点 【福山シティFC】

中国サッカーリーグ第16節
vs SRC広島
@岡山県笠岡陸上競技場


【はじめに】

749人が集まった笠岡陸上競技場。

中国サッカーリーグ第16節は、引き分け以上で福山シティFCの優勝が決まる重要な一戦となった。

福山は前節、三菱自動車水島FCとの死闘をアディショナルタイムの一撃で制し、優勝へと一歩近づいた。

対するSRC広島は福山との勝ち点差は8で、現在2位。

6月に真田グラウンドで行われたアウェー戦では、2-0で勝利したものの、天皇杯広島県予選決勝では、1-1の同点からPK戦となり、今シーズンの公式戦唯一の敗戦を喫した。

天皇杯の借りを返し、勝って優勝を決めたい福山と、目の前での優勝を阻止したいSRC。

熱戦は必至だ。



【マッチレビュー】

SRCは4-4のブロックを組んで、前線は28番半田と7番前原が縦関係の2トップという布陣。

激しいプレスで福山の選手たちに襲いかかり、ときにファールを取られることもあったがこの試合に対する意気込みが感じられた。

さらに赤い獣人は堅い盾だけでなく、鋭い槍も準備していた。

奪ったら半田へ長いボールを出し、そこから前原や右サイドの11番佐藤と左サイドの16番二井野がボールに絡み、ホームチームのゴールへ迫った。

対する福山は、藤井のポジションを普段より後ろに設定し、ダブルボランチでルーズボールの回収を図った。

攻撃面では、高橋大と濱口の両サイドハーフで起点を作り、そこから中央へ大久保の頭を目がけてクロスを送る作戦だ。

両チームの意図があらわれた立ち上がりとなった。

大久保が9分に左から、14分には右からのクロスに合わせてヘディングシュート。ゴールネットを揺らすことはできなかったが、背番号29が躍動してみせた。

一方、SRCは35分、前原からのパスを佐藤が折り返すと、左サイドの二井野がシュートを放つもボールはゴール左へと逸れた。

特に前原の動きが良く、少しでも気を抜くと周囲と連携して決定機を作って福山のDF陣を慌てさせた。

45分には高橋大がゴール前で絶好のチャンスを迎えるもシュートを打てず、スコアレスドローで前半を折り返した。

ハーフタイムに上野監督は2枚替えで得点を奪いに出た。

大久保に代えてエース高橋佳を、キャプテン磯江に代えて得点能力の高い有田を投入した。

ゲームメイクに特長のある磯江からシャドーストライカー的要素の強い有田に代わったことで、チーム全体としてゴールへの意識が高まった。

14分には、有田からパスを受けた高橋佳がシュート。ボールはゴール上へと外れたが、2人のコンビでさっそく決定機を生み出した。

続く17分にも、ゴール前で高橋佳から有田へパスを狙うが、これはDFに阻まれた。

19分、濱口のクロスを高橋佳がヘッド。決まったかと思われたがGKがスーパーセーブ。

福山の守護神も魅せる。30分、SRC半田がゴール右から左足でシュートを放つと、今度は菊地がファインセーブ。チームのピンチを救った。

この頃から、両チームともに単純な縦パスが目立つようになりゲームは膠着状態となった。

勝って優勝を決めたい上野監督は交代のカードを切ってゴールを狙う。

それが実ったのはまたもや後半アディショナルタイム。

徳永が切り返して右足で入れたクロスに、有田が頭で合わせてようやくゴール。

天皇杯決勝SRC戦でPKを外してしまった有田は、この一戦に並々ならぬ覚悟で挑んでいたはずだ。

感情が爆発するスタジアム。

そのまま試合は終了し、福山シティFCは15戦全勝で優勝を決めた。



【採点・寸評】

41 / 菊地 大輝 10.0 
相手のプレスにも動じない足元の技術と安定したハイボールの処理。後半30分のセーブはこの試合のハイライト。

30 / 澤田 健太 10.0 
立ち上がりはらしくないミスがあったものの持ち直し、終わってみればいつもの頼れるSBだった。ゴール前へ進出し、シュートも。

6 / 髙田 健吾 10.0 
鋭い出足で相手FWへのパスをインターセプト、機を見て前へと運ぶドリブル、安定した1対1。すべてが出色の出来。

4 / 松岡 憧 10.0     MIP
サイドへのロングパスで攻撃を加速させた。CKでは相変わらずヘディングの強さを見せ、ゴールを狙った。

3 / 徳永 椋太 10.0 
高橋大と良好な縦関係で攻撃参加。決勝点をアシスト。パンツの向きは後ろ向きでもプレーは常に前向きだった。

7 / 曽我 大地 10.0 
後方でパスをさばくだけでなく、機を見た攻め上がりで前線に厚みを加えた。中盤のデュエルでも存在感を示した。

8 / 藤井 敦仁 10.0 (83分OUT)
いつもより少しポジションを下げ、ボール回収やカバーリングに注力。激しいディフェンスでクリーンシートに貢献。

14 / 磯江 太勢 10.0 (46分OUT)
長短のパスやボールコントロールで中盤を支配。前半終了時に交代してしまったがもっと長く見たい選手だ。

39 / 濱口 草太 10.0 (90分OUT)
カットインからのシュートやクロスでディフェンスをこじ開けようと奮闘。前半41分にはオーバヘッドでスタンドを沸かす場面も。

29 / 大久保 龍一 10.0 (46分OUT)
最前線で体を張り相手DFとバトル。惜しくも無得点だったが、ディフェンスラインの裏に抜け出しボールを引き出し攻撃を牽引した。

11 / 高橋 大樹 10.0 (83分OUT)
キレのあるドリブルや鋭いクロスで左サイドからチャンスを作った。前半20分に抜け出しシュートを放つもGK正面へ。

交代出場

16 / 高橋 佳 10.0 (46分IN)
後半からの登場となったが、リーグ得点王の存在感を発揮。有田と抜群の距離感でチャンスを量産した。

18 / 有田 朱里 10.0 (46分IN)     MOM
相手の激しい当たりを受けるもフィジカルで負けず。シャドーストライカーとして常にゴールを狙った。殊勲の決勝弾。

36 / 三村 真 10.0 (83分IN)
左サイドで出場しつつ途中からは右サイドへ。2列目ならどこでも高水準のプレーができるのはさすが。ディフェンスでも奮闘。

20 / 田口 駿 10.0 (83分IN)
ピッチに入るときにはスタンドの子どもたちから大きな声援を受けた。卓越した技術で中盤のクオリティを引き上げた。

17 / 角田 薫平 10.0 (90分IN)
左サイドハーフとして途中出場。終了間際の出場が続くが、監督にとっても計算できる選手となっている証だ。

監督
上野 展裕 10.0 
計算できる高橋佳をベンチに置き、大久保を戦力化。苦しみながらも結果として見事に全勝で優勝を成し遂げた。



【おわりに】

改めて、15連勝でCSL2連覇というのは申し分ない結果だ。

ただ、試合後に選手たちが口にしたように、目標はCSL優勝ではなくJFL昇格だ。

残りのリーグ戦と全社でチーム全体のレベルアップを図り、ミッションの完遂を目指す。


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