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20240310 新たな風【福山シティFC】

2024年全広島サッカー選手権大会 兼 天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権大会県代表決定戦 社会人大会
vs 修大クラブ
@東尾道多目的競技場


【はじめに】

2023年、地域CL決勝ラウンドまで進んだ福山シティFCは、JFL昇格をあと一歩のところで逃した。

捲土重来を期して迎えた2024年。

スペインの風を感じさせるミステル・森亮太新監督のもとで昇格への挑戦が始まる。

相手は広島県1部リーグに所属している修大クラブ。青崎FC. Rotaryを4-0で下して福山への挑戦権を得た。



【マッチレビュー】

試合が始まると徳永のポジションがかなり高いことに気づいた。

守備時にはディフェンスラインまで下がって4バックを形成することもあるが、基本的には相手陣内でウイングバックとして振る舞っているように見えた。

あらためて確認すると、最終ラインの右から西尾、田路、澤田。高橋大と徳永を両ウイングバックに配置し、中盤の中央には角田と藤井。前線は右に塚田、左に若宮、最前線に高橋佳という3-4-2-1(3-4-3)。

人数をかけてしっかりと守ってきた修大クラブの壁をなかなか崩しきれずにいたが、前半19分に待望の先制点は生まれた。

相手のクリアボールを徳永がDFと競りながらヘディング。ボールは緩やかな弧を描いてGKの頭の上を越えてゴールに吸い込まれた。

勢いに乗ったホームチームは33分、塚田がダブルタッチでDFをかわしてミドルシュート。GKがキャッチしきれず、こぼれ球を高橋佳が押し込んで追加点。

前半を2点のリードで折り返すと、後半も福山の勢いは止まらない。

後半開始早々、角田が右後方からロングボールを上げると、徳永が頭で合わせてゴール。

さらにその4分後、相手ボールを奪った高橋佳がそのままペナルティエリアへ持ち込み、GKとの1 vs 1を制してゴール左へ決めた。

15分には速攻が炸裂。高橋佳が左へ送ったボールを、若宮が中央へ折り返し、塚田が楽々決めて5-0。

最後は24分に塚田がゴール前の直接FKを決めて、ゴールラッシュを締めくくった。

試合を通して角田と藤井が中盤でゲームを作り、得点力のある前線のメンバーがゴールに襲いかかった。

終始押し込む展開だったこともあって、ディフェンス面での評価は先送りになってしまうが、オフェンスにおいては選手の個性が十分に発揮できた。

特に塚田がより中央でプレーすることによって、クロスだけでなくシュートを狙う意識が高まって、相手にとっての脅威が増した。

さらにMOMに輝いた徳永も、前線へ飛び出す回数が増え、2ゴールという目に見える結果も残した。

修大クラブにシュートすら許さず、相手との力量差を見せつけての快勝となった。



【採点・寸評】

GK 1 / 菊地 大輝 10.0
公式戦の開幕でゴールを守ったのは今年から背番号1を背負う守護神。相手FKをパンチングでクリアするなどクリーンシートに貢献した。

DF 27 / 西尾 響 10.0 (53分OUT)
今季加入のチーム最年少がスタメンの座を掴んだ。最終ラインからのパスやタイミングのよい持ち上がりで攻撃のスイッチを入れた。

MF 4 / 田路 耀介 10.0
スタートは3バックの真ん中、黒宮が投入されてからは右へとポジションを移した。新加入とは思えないほどの落ち着きでチームを牽引。

MF 30 / 澤田 健太 10.0
昨シーズンまでのサイドバックとは異なり、3バックの一角として出場。守備の安定感は言わずもがな、高いパス配球能力も発揮した。

MF 11 / 高橋 大樹 10.0 (53分OUT)
守備も求められるポジションだったが、ボール奪取でもチームに貢献。攻撃では塚田らと連携をとりながら中央へクロスを放った。

MF 17 / 角田 薫平 10.0
前線に縦パスを供給し藤井とともにゲームメイクを担った。右サイドからの正確なアーリークロスで徳永のゴールをアシスト。

MF 7 / 藤井 敦仁 10.0
新キャプテンが中盤のマエストロとして長短のパスで攻撃を組み立てた。特に徳永への好パスを連発し、ホットラインを開通させた。

DF 3 / 徳永 椋太 10.0 (53分OUT)     MOM
右肘のケガからの復帰戦。一列高い位置に置かれたことで攻撃センスが開花した。ヘディングで2ゴールを記録し文句なしのMOM。

MF 8 / 塚田 裕介 10.0
相手が最大限に警戒する中でも悪魔の左足は今年も健在。攻撃の中心としてその役割を果たした。得意の直接FKを含む2ゴール。

FW 9 / 高橋 佳 10.0 (65分OUT)     MIP
昨季のCSL得点王がいきなり2ゴール。今年もゴール量産が期待できそうだ。得点以外にもクロスバー直撃の強烈なミドルも。

MF 28 / 若宮 健人 10.0 (65分OUT)
左サイドから積極的に仕掛けた。同サイドの徳永とも良好な関係を築き、相手を圧倒した。塚田のゴールをアシストし得点にも関与。

途中出場
DF 2 / 二宮 和輝 10.0 (53分IN)
左膝半月板損傷から復帰。右ウイングバックとして途中出場を果たした。攻撃的な選手だけにこのポジションにも適正がありそうだ。

DF 16 / 黒宮 渉 10.0 (53分IN)
投入直後、桝田へいきなり正確なロングフィード。その後も落ち着いてパスを繰り出し、才能の一端を見せつけた。

MF 18 / 桝田 凌我 10.0 (53分IN)
遠くからでも目を惹く長身のサイドプレーヤー。独力でDFを突破しチャンスを作り出した。存在感を発揮した選手の一人。

MF 22 / 横尾 蒼人 10.0 (65分IN)
地元出身のニューカマーがシャドーでデビュー。大事な初戦で出場機会を与えられたことからも期待の高さをうかがわせる。

FW 29 / 大久保 龍一 10.0 (65分IN)
昨季以上に激しくなった最前線のポジション争いに挑む福山のドラゴン。ゴールこそなかったものの積極的にボールを呼び込んだ。

監督
森 亮太
3バックのシステムを導入し、選手の個性を生かしつつ戦術の幅を広げた。注目された初戦を大量得点・無失点で見事な完勝。


【おわりに】

2023年、福山で戦ってくれた者たち。

MF 15 / 澤島 輝
主に右サイドを主戦場として縦への突破からクロスやシュートで攻撃の一翼を担った。ベルガロッソいわみへの移籍が決まり、2024年はライバルとして顔を合わせることになった。

DF 13 / 宮内 真輝
アウェーのNTN岡山戦で初めてそのプレーを観たときにレベルの高さに驚いた。最終ラインから正確なパスでゲームを組み立てた。まだまだプレーできるだろうが引退を決意。

MF 14 / 磯江 太勢
個人的に初めて観た福山の試合で目を引いた選手の一人。加入以来、中盤で攻撃の中心として活躍した。左足から繰り出されるスルーパスに魅了された。惜しまれながら引退。

DF 22 / 片山 修
加入早々にケガで離脱してしまったが見事に復活。復帰してからはケガ人が多発した左サイドバックとしてプレー機会を得た。富山新庄クラブで新たなスタートを切る。

DF 40 / 本石 捺
独特のリズムのドリブルで見る者を魅了する。DF登録ながらサイドハーフとして出場していたが、シーズン終盤には最前線へ。華のある選手だけに今後の活躍も楽しみだ。

DF 24 / 伊東 進之輔
恵まれた体格と高い技術でポテンシャルの片鱗を見せた。プレー機会は多くなかったが、福山での経験が成長につながることを祈っている。北九州での活躍を期待したい。

MF 7 / 曽我 大地
磯江・田口と組む中盤は最強のセットだったと言える。最近はキャプテンマークを巻く機会も増え、名実ともにチームの心臓であった。鳥取に帰還。Jの舞台で輝いてほしい。

MF 39 / 濱口 草太
第6節三菱水島戦で記録した途中出場からのハットトリックは忘れられない。ゴールを決めてサポーターの方へ駆け出す姿も印象的。エリース東京FCで元福山戦士たちと共闘する。

DF 4 / 松岡 憧
不動のCBとしてキャプテンシーを発揮。CKからの得点でもチームを救った。2022年の地域CL敗退後の涙は忘れられない。ヴェロスクロノス都農で深田竜人と再びプレーする。

MF 18 / 有田 朱里
主に途中出場でチームに推進力を与える役目を担ってきたセカンドストライカー。地域CLではスタメンの座を奪い、抜群の決定力を見せて活躍。沖縄SVへ完全移籍する。

GKコーチ / 西谷 和祥
J3のY.S.C.C.横浜へ。ヴァジュラ岡山とのアウェー戦で、公式戦初出場となったGK宮崎に試合中に細かく声かけしていたのが印象的だった。児玉潤とともに応援したい。

監督 / 上野 展裕
前監督の良い部分を活かしつつ、プレスの強度や攻撃のスピード感を高めた。昇格に手をかけるところまでチームを導いた。雄弁ではないが実直な性格でサポーターにも愛された。

寂しさは消えないし、まだまだ語りきれないが、福山を離れた者たちを今後も見守っていきたい。

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