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20230702 かつての仲間たちとの頂上決戦 【福山シティFC】

中国サッカーリーグ第9節
vs FCバレイン下関
@福山通運ローズスタジアム



【はじめに】

夏の始まりを思わせる熱気の中、福山シティFCは福山通運ローズスタジアムにFCバレイン下関を迎えた。

下関は現在2位につけており、1試合少ない福山と勝ち点で並んでいる。

監督の山根やコーチの倉田は昨年まで、そして背番号38の西田は今年の5月まで福山シティFCに所属しており、どちらにとっても負けたくない試合だ。

左サイドバックに二宮が3試合ぶりに復帰したほかは、前節と同じメンバーでライバルに挑む。



【マッチレビュー】

バレインは3バックで、ディフェンス時には両WBが下がり5-3-2になる布陣。

試合開始早々、福山が右サイドからチャンスを作り、田口がクロスを上げたが中には合わず。

上々の立ち上がりかと思われたが、下関の攻撃陣が牙を剥く。

前半2分、左サイドをカウンターで破られ、ピンチを招くも菊地がセーブ。続くコーナーキックも相手に頭で合わされ、ヒヤリとさせられた。

それでも先制点はホームチーム。

前半6分、中盤の争いでボールを奪うと、曽我から高橋佳へ縦パス。ボールを受けた福山のエースストライカーが迷いなく右足を振り抜くと、ボールは相手DFに当たってGKの上を越えゴールに吸い込まれた。

しかしその5分後、福山のミスからバレインの背番号8中井にゴールを許してしまう。

相手のミスを見逃さずアシストを記録した背番号9岸田のプレーは敵ながら見事なものだった。

嫌な雰囲気を振り払ったのは福山が誇るプレースキッカー。

前半19分、ゴール正面からのFKを塚田が直接決めてみせた。

塚田は三菱水島戦以来の今シーズン2ゴール目。いずれも直接FKからの得点だ。

その後も福山シティFCがボールを保持しつつ、何度かチャンスを作り出したが、そのまま2-1と福山のリードで前半を終えた。

後半に向けて上野監督は最初の5分の集中を強調して選手たちを送り出したが、またも青い鯨が意地を見せる。

後半立ち上がり、下関のビルドアップを奪いに福山の選手たちが前へ出たところを、DFの裏へ蹴ったボールが走り込んだ岸田へ。

百戦錬磨のストライカーがこれをきっちり決めて試合はふたたび振り出しに戻った。

下関のエースが決めれば、福山のエースも黙ってはいない。

後半22分、左サイドから高橋大が右足で入れたクロスに、走り込んできた高橋佳がダイビングヘッド。これがゴールネットを揺らし、貴重な勝ち越し弾となった。

高橋佳はこれでリーグ戦8試合で8ゴール。抜群の決定力を発揮している。

歓喜の瞬間はもう一度訪れる。

後半アディショナルタイム、曽我のパスを受けた濱口が右足を振り抜きゴール。

濱口はゴール裏のサポーターのもとへ駆け出し、スタジアムはこの日いちばんの盛り上がりをみせた。

その後は下関の猛攻をしのぎ切り、開幕8連勝を達成した。

それにしてもバレイン下関は強かった。

個々の選手の能力が高く、GKもビルドアップに参加して数的優位を作り出す戦い方は、昨シーズンの福山シティFCを彷彿とさせるものだった。

何より、ここまで7試合で1失点だった福山から2得点を奪った攻撃力は脅威の一言。

そして西田憲誌朗である。

抜群のテクニックとスピードで福山にとって最大の脅威となり、意表を突いたロングシュートを見せる狡猾さも持ち合わせている。

今のチームに西田がいたら、とつい思いを巡らせてしまうが、この才能あふれるサッカープレーヤーの下関での活躍を祈りたい。


【寸評・採点】


41 / 菊地 大輝 10.0  
失点はしたもののそれ以上に好セーブを見せた。足元のプレーも落ち着いており、的確にパスをつないだ。

30 / 澤田 健太 10.0  
サイドだけでなく中央にも入ってボール回しに加わり、ときには前線へと飛び出した。ゴール前でのカバーリングも秀逸。

6 / 髙田 健吾 10.0  
正確なサイドチェンジを見せるなど躍動。相手FW陣に前を向かせないタイトな守備で失点を最小限にとどめた。

4 / 松岡 憧 10.0  
バレインのエース岸田とバトルを繰り広げた。最後まで集中して髙田とともに相手の攻撃を弾き返し続けた。

2 / 二宮 和輝 10.0  
3試合ぶりのスタメンで輝きを放った。豊富な運動量で攻守に走り回り、高橋大とも良好な前後の関係を築いた。

7 / 曽我 大地 10.0  
高橋佳の先制点と濱口のゴールをアシスト。前線へ顔を出す場面が増えてきた。積極的なミドルシュートでゴールに迫った。

20 / 田口 駿 10.0 (71分IN) MIP
DFラインからボールを引き出しビルドアップに参加しながら、ゴール前の最終局面でも仕事をこなした。中盤でタメを作り出した。

14 / 磯江 太勢 10.0 (54分OUT)
相手3バックにプレスをかけてビルドアップを制限。持ち前のパスも冴え渡った。前半16分にみせたスルーパスは彼の真骨頂。

19 / 塚田 裕介 10.0 (46分OUT)
凄みを増した左足から放たれるFKで今シーズン2ゴール目を記録。カットインからのシュートなど攻撃を牽引。

16 / 高橋 佳 10.0 (79分OUT) MOM
2ゴールを挙げ、エースの面目躍如。前線からの守備も怠らず、チーム内での存在感は増すばかりだ。

11 / 高橋 大樹 10.0 (90+5分IN)
相手のWBについてディフェンスに奔走。ゴールこそ奪えなかったものの、高橋佳へのアシストなど攻撃力を発揮。

交代出場
39 / 濱口 草太 10.0 (46分IN)
ベルガロッソ戦では決めきれなかった右足でのシュートを、この日は見事に決めてみせた。ゴール後はサポーターのもとへ走った。

8 / 藤井 敦仁 10.0 (54分IN)
同点の場面で投入され、効果的なパスで中盤を活性化させた。最前線でボールを追い、プレスバックも献身的だった。

34 / 冬至 直人 10.0 (79分IN)
ゴール前の絶妙なスルーで濱口の得点を演出。体を張ったプレーで前線で起点となる。強烈なミドルシュートも放った。

3 / 徳永 椋太 10.0 (90+5分IN)
2試合連続スタメンフル出場していたが、この日は後半アディショナルタイムに登場。プレー機会はほぼなかったが役割は果たした。

監督
上野 展裕 10.0  
前半戦の大一番でライバルに快勝。右サイドの塚田と濱口を使い分け、そのどちらもゴールを挙げるなど、巧みな選手起用。


【おわりに】

この日の観客数は3,889人。

目標としていた5,000人には届かなかったものの、多くのファン・サポーターが集まり最高の雰囲気を作り上げた。

これからもこの光景を目にできるように、クラブに関わるすべての人々が努力し続けていかなければならない。



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