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これまで書いたビジネスモデル図解まとめて公開!

どうも、きょんです。これまでTwitterで色々とビジネスモデルについての図解をやってきたのですが、noteにはビジネスモデル図解はボリュームが大きいもの以外は掲載していたかったので、ある程度図解の数が増えた今、まとめとしてそれらを公開しようと思います。

全部で6企業あります。

なぜこの企業を図解したいと思ったのかという基準も、Social(社会的意義)とCreative(創造性)の観点から記述しておきます。

説明含め、じっくり見ていただければ嬉しいです。

①Kickstarter

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KickstarterのSocialな面は、あらゆる人がその地位や資本に関係なく夢に挑戦できる環境を作った、ということでしょう。このサービスによってクラウドファンディングという新しい資金調達の仕組みが認知されるようになり、今では世界中で様々なプロジェクトが成立しています。

そして、Creativeな面は大きく3つあります。1つ目はクラウドファンディングという仕組みが成立・成功するための工夫、2つ目は出資者の不安を解消するための仕組み、3つ目は出資者とクリエイターが直接結びつくための独特な報酬システムです。

自分が出資者の場合で考えてみてください。無名の人にいきなりお金を供与するなんてことは難しいでしょう。出資してもいいと思えるためには、出資したからには成功するのだろうか、出資したところでお金は正しく使われるのだろうか、という不安があると思います。前者はアドバイザー企業、後者は出資目標額システムによって解消しています。

さらに、不安を取り除くだけではありません。バッカーにとって出資へのインセンティブも仕組みとしてあります。それが、報酬のシステムです。出資した額に応じた配当、という無味乾燥なものではなく、独自のサービスや体験を直接提供してもらえるのです。元はといえば、バッカーはその企業に可能性や面白さを感じたから、出資しているはずです。だからこそ、その楽しさをクリエイターとバッカーで共有したら楽しいに決まっています。そして、その体験は双方を心で結びつけるのです。素晴らしいと思います。

クラウドファンディングという仕組みが実際どうなっているんだろうという見方でもいいですが、個人的にはKickstarterだからこその魅力にも目を向けてほしいです。

②WeWork

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この企業のSocialな面は大きく2つあります。1つ目は好きなことだけに集中できる環境を誰にでも提供していること、2つ目は幅広い人々のコラボレーションを創造していること、です。ただ場所を提供するだけでなく、つながりの空間も提供しているというわけです。

そして、Creativeな面は2つあります。1つ目は好きなことに集中という意味を幅広く叶える仕組み、2つ目はSNSのようなコラボレーションの場の提供、です。

好きなことに集中するためには、集中を妨げる障害をなるべく削減すること、そして集中力を増すことができる環境を整えること、の二つが手段としてありますが。

前者では、例えばドリンクバーなどのアメニティを提供すること、サービスを運営するために必要な他の企業からのサポートを受けられやすいようにすることがあります。中小企業などの交渉力が弱い企業では普通まっとうな値段で受けられないようなサービス(物流とか)も、WeWorkユーザーであれば、安価で受けることができるのです。つまり、そうしたサポートをする事業者との交渉などに四苦八苦することなく、好きなこと(本業)に集中できるというわけです。

後者では、デザイン性が高く創造性を刺激するような空間の提供です。非常に独創的で、美しく、快適なワークスペースばかりです。デザイナーがこだわって創り上げる場ですから、他の簡素なワークスペースとはわけが違います。

2つ目のコラボレーションの仕組みというのが、これまた面白い。ユーザー同士で結びつけるよう、コラボレーションマネージャーというWeWorkスタッフが、さまざまなイベントを企画するのです。それも週に10回以上も!ここで出会ったユーザー同士での活発な交流によって、好きなことを新しく見つけたり、新しいことを始めたり、好きなことをより追及できたりします。つまり、ただ空間を提供するだけでなく、WeWorkという新しい次元で活動するようになる、というイメージでしょうか。

③mercari

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mercariのSocialな面は、ずばり循環型社会の実現を目指していること、です。人類社会を地球にやさしい社会にする事業内容の性質だけでなく、限界費用ゼロ社会に語られていたような新しい社会の形を生み出すきっかけとなり、文句なしに社会的意義の大きいといえると思います。

そして、Creativeな面は3つあります。1つ目は売り手が楽しいと思えるような仕組み、2つ目は買い手の不安を取り除くシステム、3つ目は互いのプライバシーへ配慮した配送システム、です。

1つ目について。mercariの売り手は、かなり自由に取引をコントロールできます。価格設定は自由であり、買い手とのコミュニケーションもできます。つまり、自分が事業主となり、小売り事業をしているような感覚を得られます。これが、自己実現欲求につながる。そこで満足を得ることが、快感になります。味をしめたらやめられなくなってしまう。ここが面白いなと思います。

2つ目について。買い手としては、売り手がちゃんと商品を配送してくれるのかという不安があります。それを解消するシステムが面白い。商品を購入しようと思ったら、一時的にmercariがその代金を預かります。そして、その代金は商品取引の成立時ではなく、買い手に商品が配送され、その商品を買い手が満足したという評価をしたとき(思った通りの製品が届いたとき)、代金が売り手に送金されます。この仕組みによって、買い手は詐欺を心配せずに、代金を安心して振り込むことができます。

3つ目について。売り手と買い手双方にとって、互いによく知らない相手に自分の住所が知られるということは嫌なことです。気になる人は、それによって取引したくないと思う人もいるでしょう。しかし、物流企業との提携によって、その不安を解消する仕組み「メルカリ便」を作りました。

これらの仕組みによって、双方が安心して、楽しく取引することができる仕組みを作りました。非常にビジネスの仕組みとして面白く、大きな社会的意義がある事業だと思います。

④Lulu

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この企業のSocialな面は、誰でもクリエイターになれる環境を作った、ということです。クリエイターとして活動するための障害を取り除き、活動を自由にできるようにする仕組みを作りました。

そして、Creativeな面は2つあります。1つ目はクリエイターの出版コストをゼロにしたこと、2つ目はクリエイターが作品から得られる利益を大きくしたこと、です。

1つ目について。出版コストというのは、出版にかかる費用だけでなく、時間や手間というコストも含めています。まず、出版にあたってのクリエイターの費用負担はゼロです。すべてLuluが負担します。時間や手間というのは、従来の出版社であれば相当かかります。だって、売れるものしか売りたくないですからね。厳密な審査を経て、市場で売れる価値かどうかを判断して、そこでGOサインが出ないと出版できません。また、出版することが決まっても、編集やら表紙やら、あらゆる面で折り合わせる必要があります。そうした時間や手間が一切Luluではかかりません。自由に作品を作り、ただ出版を依頼するだけです。どういう形態(本か電子書籍か)か、どういう表紙か、PRはするのか、すべて自由です。これはすごいと思います。

2つ目について。出版して利益が出た場合、なんと本であればその収益の80%、電子書籍であれば90%がクリエイターに還元されます。通常であればありえない割合です。

つまり、とことんクリエイター目線でほしいものを整えてくれているサービスがLuluです。あまり認知されていないようですが、ぜひ知られるべきだと思って図解しました。


⑤Metro

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MetroのSocialな面は、誰でも事実をコンパクトに手元に入手できる、ということです。フェイクニュースがありふれている現代、メディア不信が高まっている今でも、非常に稀ではありますが、Metroは信頼されているメディアです。

そして、Creativeな面は3つあります。1つ目は無料で提供していること、2つ目はコンテンツの内容が非常に短く読みやすいこと、3つ目は持ち運びが楽だということです。

1つ目について。まず、現代は別に内容にこだわらなければ、いくらでもタダでニュースを見ることができます。そうした環境にあっても、従来マスメディアはいまだに有料で新聞を提供しています。そうした中、若者を中心に新聞離れをするのは当然じゃないでしょうか?しかし、Metroは無料です。駅の構内などに置いてあったり、直接配布をすることで読者をどんどん増やしていきました。内容に信頼もあることから、急速に読者を増やし、日刊紙でとうとう2017年で最大発行数を記録しました。

2つ目について。それまでの新聞は非常に長文で複雑でした。それは、テーマが複雑だからではなく、政治的に偏りがあるからです。内容+主義が含まれているため、非常に長い文章になるのです。しかし、Metroは「20分で読める」程度の内容にするために、そのような無駄な文章を徹底して削り、事実だけに基づいた内容になっています。これが信頼を獲得できた理由です。

3つ目について。内容が短い文、コンパクトな形に収めることができ、持ち運びが非常に楽なのも魅力です。電車内などでも広げて読むことが容易です。英国では、日本とは違い地下鉄などで電波が届かないことが多く、ニュースを見るのに紙は必須です。しかし、これまでは紙のサイズが大きく隣の乗客とぶつかったりすることがストレスでした。それを解決した形になりました。

「短く、事実だけを端的に載せた」結果、読者が非常に増え、信頼も得たというメディア。これ、他のメディアは教訓にできないんでしょうか。人は知識と真実に飢えています。その単純なニーズを満たした結果、評価されました。このメディアの取り組みは非常に価値がありますが、他のメディアも見習ってくれと思いました。

⑥EYS音楽教室

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EYS音楽教室のSocialな面は、誰でも気軽に音楽を始められる仕組みを作った、ということです。音楽を始めたいと思ってもなかなか取り組めない障害を取り除き、新しい形で音楽教室を展開しています。

そして、Creativeな面は3つあります。1つ目は音楽を始めるのに必要な楽器を無料で提供していること、2つ目は個人への充実したサポート、3つ目は会員同士での結びつきによってより音楽を楽しめる仕組みを作ったこと、です。

1つ目について。音楽を始めるとき、まず何が必要か。それは、楽器ですよね。ただ、楽器はそんなに気楽に買えるものではありません。何万もする大きな買い物です。そのコストを気にして、音楽を始めたくても始められない人が多いのではないでしょうか。その障害を取り除いたのがEYSです会員全員に、入会時に楽器を無料で提供します。これがキモじゃないでしょうか。月収で回収するとはいえ、費用はとても大きいです。つまり、長期的に指導しますよという意思表示でもあります。

2つ目について。ミュージックスタイリストが、レッスン後に必ずフィードバックをしたり、相談に乗ったりしてくれます。音楽を通してやりたいことを実現するために密接に関係を築いてくれます。また、スケジュールも会員側の都合に合わせてくれます。安心して、自由にサービスを活用できるのは大きな魅力でしょう。

3つ目について。個人で楽器を極めるのもいいですが、モチベーションとしては微妙ですよね。やっぱり誰かに聞いてもらったり、おなじ楽器をやっている仲間がいると心強かったりします。そこで、会員同士のコミュニティを用意し、イベントを開催することで、結びつきを強めることができます。そこでの出会いで、バンドを結成したり、交際があったり、それは自由ですが、とにかく会員が結びつくことでEYSとしても月収を維持することができるので、一石二鳥です。

最初に楽器を提供することで、相手との長期パートナーとなる覚悟を見せ、そして徹底的にサポートをする。非常に意義があるのではないでしょうか。

以上です。いかがでしょうか。自分で見ていても、試行錯誤している感があって恥ずかしいです(笑)。


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