夫が泣いた日


2ヶ月ぶりに日勤帯の勤務だった夫。
転勤前の職場なら、夕方には帰ってきて一緒にご飯が食べられていたので、ヒレカツを揚げようと準備していました。

しかし、待てど暮らせど帰って来ず、18時45分まで待ったところで、息子の寝る時間もあるので先に揚げることにしました。


帰宅したのは息子を寝かしつけた後の19時45分。
脱衣所で髪を乾かしていたら、脱衣所のドアを激しく叩くノック音で帰宅したことに気付きました。

普段なら息子が寝た後に大きな音の出ることはしないし、私が髪を乾かし終わるのを自室で待っているような人なのに、激しくノックしたのはきっとイライラしていて帰宅したことを気付かせたかったからだと思いました。


「お疲れさま。遅くまで大変だったね。」と言うと、
『こんなに遅くなるなんて思ってなかった。』と投げやりに言う夫。

「先に揚げてしまってごめんね。まだカツあと2枚あるから、オカワリしたかったら言ってね。」なんて言いながら夕食を出すと、『そんなに食欲ないからいらないわ。』と。

数口箸を運んだところで、手を止めて顔を塞ぐように手を当てて天井を仰ぐ夫。

ぽつりと、
『ここ数日、メンタル的に結構きつい。』

少し前からしんどそうだなとは思っていたし、色々話は聞いていたけれど、これは本当にしんどいのだろうなと容易に想像できました。



こういう時、男の人はどう思うか分からないけれど、私は人肌に触れることで固まった心が解されると思っています。


私は夫に抱きついて、
「いつも私ばっかりだから。……泣いてもいいよ。」

そう言うと、堰を切ったように泣き出したのでした。


しばらく無言のまま同じ姿勢でいましたが、落ち着くと仕事の話をしながら夫はご飯を食べ始めました。

お互い余裕のない時はあるけど、それぞれができることをやっていこうと話をして、きっと1人になりたいだろうと思い、下膳しながら早々に部屋を離れました。


次の日の朝も、まだしんどそうな顔をしていました。
もうしばらくは、試練の時なのかも知れません。

私も、相変わらず夜泣きが酷い息子に疲弊しているところではありますが、
いつもメンタル面は夫に助けてもらってばかりなので、今は私が支えになれたら……と、思っています。



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