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今や流れは「面接3.0」

最近では、
”カジュアル面談”
”オフィスに遊びに行く”
が一般的になり、企業と候補者との関係が変わりつつあります。

聞いたことのない方のために少し説明をしますと、
カジュアル面談とは、(一般的には)まだ応募の意思は固めていないし、応募書類は提出しないけれど、企業の誰か(人事だったり、現場だったり)とオフィス内外で話をすることです。会社によっては、面接と面談という形で分けているところもありますし、プレ面接とか、0次面接というところもあります(もう名前なんてどうでもいい笑)。

オフィスに遊びに行くというのも上記とほぼ同じで、ほんとに遊びに行くわけではなく、知人の家に遊びに行くような感覚で、オフィスや会社の雰囲気を知り、カジュアル面談と同様、話をしたり、オフィス見学をしたりするものをいいます。

これにより、今まで正式応募するにはためらっていた人も、まずは話を聞いてみることで応募するかどうか判断できるし、応募書類も志望動機もいらないということでエントリーのハードルを大きく下げるといったメリットがあります。特に知名度の低い企業にとっては、大を倒す機会になりえます。

ですから、これに対応できない会社、つまり、「候補者が志望しているから面接をする」というプロセスしかやっていない会社は、採用において圧倒的に出遅れることになります。

いかにこの二つにうまく対応できるかが、採用の成否を決めるといっても過言ではないのです。


しかし、未だに面接のやり方はあまり変わっていません。

(企業)が、(候補者)のことを、選ぶ。

カギカッコでくくった部分が変わらない限りは、カジュアル面談やオフィスに遊びに行くは絶対にうまくいきません。
今日は、これについて説明していこうと思います。


■今日の結論

さて、今日の結論です。
1枚の資料にまとめました。

今や面接3.0の時代で、面接がアップデートされています。

面接=候補者を自分が見定める

という考えは、はるか昔のOSが動いているのと同じこと。

もし周りに「俺がしっかり見定めてやるよ」なんていう時代錯誤感半端ないとんでもない上司が近くにいたとしたら、「いつまでWindows98で動いてるんですか」と言ったほうがいいです。

確かに、過去にはこちらから選んでやるということがあったのは間違いありません。そして、その当時の考えとしては、納得できる面もあります。

しかし、

今や選ぶから選ばれる、だけではなく"選択肢を提供する"なのです

選択肢を提供するというのは、
正社員」「週5フルコミット」「今すぐ入社
という三点セットはいつでも切り出す訳ではなく、正社員でなくとも、副業から始めるとか、週1回業務終了後から手伝うとか、3ヶ月くらい一緒に働いてみることでフィット感を測ったり、プロジェクトの終了タイミングで正式に入社するとか...以前とは大きく異なってきているのです。

面接1.0とかはとりあえず当てはめてみたもので、面接には限らないかもしれません。しかし、この流れの変化はきちんと掴みたいものです。

一つずつ説明していきます。


■面接1.0とは?

昔、と言ってもイメージしにくいので、わかりやすくリーマン・ショック時の時に設定します。

リクルートキャリアが、同社に登録している求人と求職をもとに転職求人倍率(求人数を登録者で割った値)を算出していますが、

2018年5月の転職求人倍率は1.78倍
リーマン・ショック後の2009年5月は0.74倍

でした。

2018年に入り毎年求人倍率が下がり、景気減速が迫ってくることを多少感じ取れるのですが、それでも今から10年前の2009年は1倍にすら満たない数値でした。

大手企業は、希望退職やリストラを積極的に進め、主に中高年がターゲットにしました。今まで転職市場に出てこなかった上場企業の管理職がこぞって転職サイトや人材紹介会社に登録したことも記憶に新しいです。彼らもすぐに決まるだろうと。しかし、希望退職に応募した(or せざるを得なかった)45歳以上に待っていたのは、まさに地獄

希望年収は半分にしても、企業規模問わずでも、2周りも年下の上司でもいいと言っても、採用されないきつい時代です。

そうなると、転職サイトや人材紹介会社には、広告をほとんど打たずとも求職者が溢れる状態。再就職支援会社のように、引き取ってくれる企業を探し、手数料を下げてでも仲介したい会社が多くありました。

それにも関わらず、受け入れ先の企業には、限られた採用枠しかないので、企業側が取れる選択肢は一つだけ。

より自社の条件に合う人材を選別し、面接で見定めるのです。


■面接2.0とは?

そんな時代が過ぎ去ると、今度は人手不足になります。

今朝の日経新聞とかみていると、景気に連動していて面白いなあと思ってみていました。上記は新卒ですが、中途の人手不足もこれにほぼ連動します。

特に大手では、伸びている事業に人が足りず、外部から積極的に採用を初めていくと同時に、新卒採用も再開するようになってきました。

リーマンの時の会社のリストラに根を持つ人も多く、今度は少しずつ求職者優位になっていきます。2010-2011年を底とし、それ以降は一気に求人が増え、企業側がスタイルを変えなければならなくなったのが2012年以降です。

これからは、選ぶから選ばれる時代

それを意識するようになった企業は、候補者に選んでもらうため、面接でのパワハラ発言を控え、会社のいいところを伝える、候補者のいいところを引き出し面接で満足してもらう ...などなどです。


■面接3.0とは?

そして、最初に説明した、今や選ぶから選ばれる、だけではなく選択肢を提供するにまで進んでいます。

今までも採用はマーケティングと非常に近しくやってきたので、コトラーを勉強してきた人にとっては、これから人事として活躍の場があるかもしれません。フィリップ・コトラーのマーケティング3.0でいうなら、製品から消費者、そして価値にかわってきたのと非常に近いです。

今は4.0出てるから、面接もいずれ変わるかもしれませんが、既に一部企業の採用においては4.0へ踏み込んでいることを考えると、
次は、
・見送りにした候補者をいかに批判者から推奨者にする
・まだ一部企業でしかない出戻りをより一般化する
・リクルートメントマーケティングからキャンディデイトサクセスへ

と言ったところでしょうか。


■面接1.0からの変遷まとめ

最後に、何枚かスライドを使って説明をしていきます。
面接1.0からの事前準備入社時期主体の変遷です。


<事前準備>

まず、事前準備についてです。

選ぶから選ばれるとなったのは、リーマン前に一般化してきたキャリアアップとしての転職がようやく認知されていたものが、景気回復に伴い、求職者側が需給バランスで強くなったことが直接的な要因です。

一方、当時は、企業が候補者を選ぶという立場だったため、当時必要だったことは、事前に「最高の質問」準備することです。

この質問をすれば、候補者のことがよくわかり、お互いのズレを埋め、採用後も活躍してもらう...。ここには、お互いの価値観を認識するため、人生の目標を聞くとか、一緒に働きたいと思う、思わせるためにどうするか、の準備が必要だったのです。

今も、きちんとした質問をすることはもちろん大事です。

ただ、質問の影響力が相対的に落ちているのが今の面接2.0、3.0です。

面接2.0においては、いかに自社を魅力的な会社にし、候補者に選んでもらえる会社にする。そのためには、働きやすい会社であるための制度をつくり、いい会社であることをアピールするためのコンテンツづくりをする。

面接3.0においては、候補者に正社員のみならず、業務委託、副業、顧問などの柔軟に受け入れるための制度を準備し、いつ、どのタイミングにおいても接点が持てるようにすることが求められています。


<入社時期>

次に入社時期ですが、今までは正社員、週5日がmustだった時代から、面接がバージョンアップされるに従い、働き方の選択肢は広がっています。

そして、広がっただけではなく、
・今は転職するつもりはないけど、副業でお手伝い
・転職したいけど、お互い見極めるために副業からスタート
・副業で初めて、あるタイミングで正社員として転職をする

つまり、副業を接点として、企業と候補者の関わり方が変わってきているのです。細かなことを言えば、ここでいう副業は、在職中の方の副業・兼業だけではなく、会社を退職して、何社も掛け持ちで業務委託で行う人も含んでいます。そういう人が、自分にとって一番良い職場を選ぶのです。

以上になります。

いつもよりちょっと長くなりましたが、今日はこの辺で。

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