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第95回放送後記

こんにちは。
まずは、この前、自分の身に起きた小話を。
ガラガラに空いていて快適な電車の中で、向かいの席の人が大きく足を伸ばしていました。
その人を見て気持ち良さそうだなぁと思って、僕も手足を伸ばして深呼吸したんです。
(無意識だったのですが、真似するようなポーズを取ってしまいました。)
するとその人は、「すみません」とすぐに足を引っ込めて、縮こまるように座り直してしまいました。
どうも、僕がその人のマナーを指摘する意味で足を伸ばしたと思ったようなのです。
そこから列車内は気まずい空間になってしまいました。
そんな嫌味なことをしたつもりはなかったのですが、人間関係は常に誤解を招きうるので難しいなぁと実感した、というお話です。
それでは、アーカイブから!

【ダイジェスト】

⚪︎楽屋トーク (はじめ〜)
トイレが詰まった話

⚪︎オープニングトーク (2分〜)
ローカル家で一通り揃えるのが大変

⚪︎情報アップデート3選 (6分30秒〜)
・ミャンマーの越境詐欺 中国へ1,200人以上強制送還 (時事通信)
・ミャンマー軍兵士80人、タイ領内に侵入
(RFA)
・軍評議会が海外出稼ぎ労働者に強制送金指示、民主派は反発 (RFA)

⚪︎プペルで、ビルマ語プチ講座 (13分20秒〜)
「名前」に関するビルマ語

⚪︎テーマトーク (17分〜)
「運動における不調和を乗り越えるには」

⚪︎エンディング (30分〜)

【まとめ】

今回は、ミャンマー民主化運動の中で生じがちな不調和をテーマにしました。
新町さんの記事で、今回の要旨をまとめていただいています。
目的と手段を入れ違えないことは、本当に大切ですね。

ミャンマーの事例に限らず、人が集まって何かをする時は、仲間同士で意見が割れたり対立することはよくあることだと思います。
特に社会運動となれば、双方が熱い想いで活動している故の対立は想像に難くないことですし、意見が分かれる方がむしろ自然であると言えるはずです。
一方で、ミャンマーの民主化運動では、人間関係のイザコザの基盤に、民族や世代間のギャップといった本国特有の事情が絡んでいることが多いからこそ、解決がより一層難しくなっている面があります。

とはいえ、いま同じゴールを目指している仲間が対立することは、民主化の動きを停滞させてしまいます。
民主派の分断こそ、軍側がもっとも望んでいることといえるでしょう。
軍はこれまでも、異民族・異宗教への憎悪を煽り国民感情を操作することで、自分たちの地盤を固め、武力統治の正当性をアピールしてきたはずです。
いま、ミャンマーの平和のために我々がすべきことは、同じ運動に関わる人への非難や揚げ足取りではなく、連携・連帯であるはずです。
人間ですから、相性の合う・合わないはあると思いますが、そうした個人の感情を乗り越えて手を取り合った時にはじめて、革命成功の道筋が浮かび上がってくると思います。
(逆に、団結せずに打倒できるほど、軍が甘い存在ではないことは、悲しくもこれまでのミャンマーの歴史が物語っているのではないでしょうか。)

このように書いてしまうと、ミャンマーの人たちが全く連帯していないように思われてしまうかもしれませんが、それは違います。
9月30日から10月1日にかけて、多民族祭りが開催されるなど、2021年2月以降は日本でも、異なる立場のミャンマーの人たちが手を取り合う光景があちらこちらで見られています。
春の革命での共闘を通じて、ミャンマーの人々が一つになろうとしていることは、これからの国のあり方を考える上で大きな希望だと思います。

また、これまでもミャンマーの人たちは、対立や不和を乗り越えて民主化運動を続けてきた歴史があります。
1988年の弾圧以降に来日した「88世代」の在日ミャンマー人の方々は、何度も組織の変遷や対立に直面したようですが、それでも母国を思う志は変わらなかったと語ります。
無理に一つにまとまろうとせず、各々が別のルートから同じ山を登るのもまた、連帯のあり方の一種なのかもしれません。

【おわりに】

今日は人間関係をテーマにした内容だったので、僕が最近一番嫌な思いをした相手の話をしますね。
タイに渡航した時に乗ったバイクタクシーのドライバーさんです。
僕が言葉の通じない外国人だったからか、はたまた最初に値段交渉をしてしまったせいか、そのドライバーさんはずっと不機嫌な態度で、運転も乱暴でした。
僕はバイクの二人乗り自体が初めてで慣れていなかった上に、ヘルメットも無しだったので、落とされまいとドライバーさんの腰を掴んでいたのですが、カーブするたびに何度も強く手を振り払われるので、落ちそうになるのです。
初めは恐怖でいっぱいだったのですが、だんだんドライバーさんだけヘルメットを付けていることに苛立ちを覚えてきて、こんなおじさんのせいで事故に遭うわけにはいかない、という変な意地が出てきました。
そこからは、何がなんでも手を振り払おうとするおじさんと、絶対におじさんの腰から手を離そうとしない僕の、静かな闘いでした。
ところが、ようやく目的地に到着した時、おじさんはニヤリと笑って、手を差し出してくれたのです。
僕は「コップンカープ」と言って、固く手を握り返しました。
あんなに嫌い合っていたのに、10分ほど運命共同体として戦った僕たちの間には、不思議な絆が生まれたのです。
どんなに苦手に思える相手でも、人間はみんな、分かり合えると実感しできる出来事でした。

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