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入園グッズを手作りした話④好きな人にマフラーを編んだことありますか?


↑の続きです。



一度断念した私の選択

その日はちょうど土曜日でした。


私は息子が昼寝をした隙に、夫に留守番をしてもらって出かけました。


そして、手芸屋さんで新たな布を買いました。


もう一度、最初から全てやり直すためです。


ちなみにこの時は、前回と違う店に行きました。


その理由は、前回買った布がラスト1点で、しかも値引きされていたからです。


布の仕入れ事情って、そういえば考えたことがなかったのですが、売り切れた柄は再入荷されるものなのでしょうか?


私は、今は少子化だし、子ども向けの布は売れたらそれで終わりということもあるのかな、と思ったのです。


それに、すっかり同じ柄でなくても、どうせなら息子の好きなアレが描いてある布にしてあげたいと思いました。


で、別の店に行ったところ、前と同じ柄はなかったけど、息子の好きなアレの布はちゃんとありました。


(プライバシー保護のため、2回目に買った布の画像を載せるのは控えます)


まだあった一度目の失敗

ちなみに2回目に布を買いに行った時、私は衝撃の事実を知りました。


売り場に「柄の向きを考えて必要な長さをお買い求めください」みたいな注意書きが貼ってあったのです。


あ〜たしかに、文字とかキャラクターの向きが逆さまになったりしたら変だもんね、と、私は他人事のようにその貼り紙を見ました。


が、


あれ…もしかして…


私が最初に作ったバッグも、向きを間違えてる…?


まさかこんな、とんでもないミスを犯していたとは全く気づきませんでした。


しかも、帰ってから他の布も見てみたら


見事に全部横向きに裁断してました!ぴえん!!


何で気づかなかったんだろうと思いましたが、言い訳をすれば上下左右がパッと見てわかりづらくないですか?こういう柄…


だって、ひっくり返ってる新幹線もあるし。

とはいえ、やっぱり↑の向きじゃないとおかしいよね…


これは全てやり直しで正解なのだ、と私は思いました。


今の時代、手作りする必要はないと思う


帰って早速水通しをし、干していると夫に「最初の布をほどいてやり直すのは難しいの?」と聞かれました。


なので私は、できなくもないけど、ミシンは細い糸でびっしり均等に縫ってくれるから、それをほどくのはかなり大変であること、とくに補強のために返し縫いしているところなんか地獄の作業になることなどを熱弁しました。

(言ってから思ったけど、"今自分が着てる服をほどいてみろって言われたらどう?"って言えばよかったです)


それを聞いた夫は、

「…なんか、本当によっぽど慣れてる人じゃないとできないよね…」

と、共感してくれました。


私は実際に作ってみて、そして夫は私が作る様子を見ていて、幼稚園用のバッグを手作りするっていうのは今の時代に合っていないことを実感したのです。


現代で、難なくこういうものを作れる20代〜40代の保護者ってどのくらいいるのでしょうか。


私はたまたま時間とやる気があったから、こうして作っているだけです。


仮に時間とやる気がなかったら、代行サービスを利用すればいいだけの話ですけど、そこまでして用意しないといけないっていうのも何だかなぁ、と思います。


だって代行サービスってことは、やっぱり手作りが前提になっているということではありませんか?


屁理屈みたいになってきてしまうので深く掘り下げるつもりはないですが、これ何とかならないのかなぁ〜と思います。


ただ、バッグの寸法や生地に指定があることに関して、息子の幼稚園では「子どもが使いやすいように」とか「画用紙もそのまま入れられるように」などと説明があり、どれも納得のいく理由でした。


幼児の手先の器用さや理解度、そして先生と保護者も効率的に集団生活を進めることを考えれば、「なんでもいい」にはできないことがよくわかります。


しかし、一般的な現代人の洋裁技術を考えたら、作るのも買うのもすごく面倒なことになってしまうのです。


ここで一つ思い出したことがあるのですが、私は小さい頃、「自分も高校生くらいになったら好きな人にマフラーを編むのかな」と思っていました。


それは、ドラマや漫画でギリギリそういう描写が出てくる時代だったのと、上の世代の人たちからよく聞く"青春のエピソード"だったからです。


でも、自分にそういう機会は訪れませんでした。


いつのまにかそういう文化がなくなっていたからです。


世の中の流行は、全て既製品の中にあったと言ってもいいのではないでしょうか。


でも、別にそれは悪いことではありません。


そういう世の中で、突然手作りを求められるから「!?」となってしまうのです。


生活に必要な技術。

今回の件があって、昔は裁縫も料理などと同じように「成長する過程で自然と覚えていくもの」だったのかな、と思いました。


戦前生まれの人たちは、よく「昔は何でも作ったのよ〜!だって(既製品が)売ってないから!」と言いますが、やらないといけない状況だったんですよね。


今は「服を作る」っていう発想が、そもそも一般的ではないですからね。


小学校の家庭科で、みんな裁縫やミシンを経験しているはずですが、そのあと日常でやる機会がなければそれっきりになってしまいます。


それを言ったら、料理だって今は全部外食でも済ませられる時代ですが、食事は毎日3回あることだし、一回買えばしばらく使える衣服とは重要度が違うのかなと思います。



入園準備で愛情は測れません!

色々書きましたが、入園準備で手作りを強制されなくなったり、代行サービスが当たり前になったりしているのはとてもありがたいことだと思います。


世の中の流れってこうして少しずつ変わっていって、より良い形が出来上がっていくんだろうなと実感しました。


それでも"入園グッズを手作りするのは母親の愛情"という考えは、世の中のどこかにまだ残っているらしいです。


実際に作ってみての感想としては、これで愛情は全く測れないです。


私は今回、「息子のために」なんてほとんど考えていませんでした。


自分のために手作りを選んだのです。


自分の好奇心を追求し、「自分で作った」と満足したい、ただそれだけです。


布を買い直して水通しをした翌日、私は早速作業を始めました。


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