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エッチしないと終わらない恋もある

あなたが私を好きになっているんだってもちろんわかっていたよ。

バイトでよく一緒だった君。

君の仕事の仕方、好きじゃなかったな。
ボンボンで、甘ったれで、計算高くてなんか好きじゃなかった。

勝手にほっぺに触ってくるのもほんとむかついていたんだぞ。

ものすごいアプローチしてくれたね。

数回デートしたよね。

私は「連れてって」なんて言って君の好意を弄んでたな。

どうにも「好きな人枠」に入れることが出来なくてさ、カッコつけてくれたり、家まで送るなんて言ってくれたけど、私かなり断ってたな。


君とのデートで1番良かったのは家族でよく行くって言ってた中華屋さんでご飯した時。

美味しかったし、あなたが家族から可愛がられてるのよくわかってほっこりした。

私が美味しそうに食べてる時、みとれてたでしょ?そんなぽやん、とした顔見たことなかった。

たくさんメールもして、しぶとくアプローチは続いたね。君は留学するくらい頭がいい。そして君は数年留学しに海外へ行った。

留学先から手紙をくれたね。

恋はゲンキンだ。

好きな女のためなら手間暇かけて手紙まで書いてくる。手紙は結構めんどくさいのに。

それだけじゃない。

何かプレゼントももらった気がする。

アプローチばかりされて悪い気はしないが、どうしても好きにはなれなかった。


時は経ち、就職やらで君は帰国。

私も彼氏との長い恋愛が終わり、誰とも付き合う気になれなくなっていた。

たまに連絡がくる、それくらいの距離感がちょうどよくて、君は昔ほど熱くはないけど友達として相手してくれてたね。

恋愛から遠のいて、恋愛の仕方を忘れて頑なになってきた私。昔から私にちょっかいかけてくる君の存在はその頃ようやく大きくなってきたよ。

ひょんなことから君と旅行に行くことになった。
私はエッチするか迷ってた。

多分嫌いじゃないんだ、君のこと。
もう気持ちわかってるし。

ただ前ほど好きじゃないだろうから、肩ひじ張らずに友達みたいに旅に行くってのもいいかなって。うん、友達!

でも君から部屋は1部屋しかとらなかったと聞いて、あっやっぱりエッチする気だと思って、「2部屋にしない?」って言ったけどさ。

でも久々にドキドキしたし、ちょっと干物女になってたから私もしたかったんだと思う。

露天風呂に一緒に入って雪景色を見た。

部屋に戻るとやっぱり君は抱きついてきた。

私は「生理」だとか「やっぱりダメ」とか言ってたけど、君がまだちょっとそんな気があるんだってことに驚いた。

もしかしたら無いかもと油断して、あんまり処理をしてこなかったからちょっと後悔。

でも無理矢理感ははじめてで君の気持ちの強さも感じたし、あれだけアプローチしてくれたのに冷たくしてしまった罪滅ぼしみたいな気もした。

狭めの部屋で君のベッドでエッチした。

1回目が終わって自分のベッドへ逃げたけどしばらくしてまた追いかけてきた。

当たり前みたいに2回目をはじめてきた。

手荒くはないけど遠慮なくガンガン突いてくる感じがなんか私に牽制されてたころの君から想像できなくてちょっとギャップを感じたし、気持ちよかった。

2人の距離は確かに近づいた。

旅が終わる頃、君は何か言いかけてた。

きっと私とこれからどうするか聞きたかったのだろう。

でもね、やっぱり付き合う気にはなれないんだ。
もうちょっと若くて冒険心があって、君のそばにいる時だったら付き合ったかもしれない。

でも時が経ちすぎている気もした。
君も私ではない誰かを見てきただろう。

好きかもしれないけどやっぱり本物の好きではないんだろうな。

少しだけだったけど君とエッチできて良かった。

お互いもうこの恋の未練がなくなる気がする。

私もあなたを知りたい気持ちがあったから、あの夜のことはいい思い出。

やっぱり恋愛を意識した男女は最後はエッチしないと終わった気にならない。

そんな気がする。

終わりのためのエッチ。

始まりじゃない。

2人の何かは結局始まらなかった。

私はあなたの言いかけた言葉を聞かないでようにしてバイバイと告げた。

それはまた会うような、軽い感じのやつ。

年が明けてから君からメールが来た。

私は今年もよろしくみたいなこと書いたけど、君にとってそれは
年始の挨拶じゃなかったんだね。

さよならの意味で最後に一通メールをくれたんだ。

いいんだ。呆れてくれても。

でも最後に愛してくれた君に少しだけ気持ちを返せただろうか?

自己満だけど、私に後悔がなく、この恋に未練がないのはあの夜のおかげ。

さようなら、愛してくれた人。

きっとどこかで幸せに生きていると思っている。



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