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始まるまで大変!中国案件

皆さんこんにちは
アニメで知る中国にようこそ
ナビゲーターのミミムです

皆さん中国企業さんとプロジェクトを進めている時に色々トラブルに遭遇すると思います。
前回第27回では「納期」という時間的な問題について話をしました。
でも、中国プロジェクトは納期問題が出るもっと前、始める段階が重要です
どんなトラブルがあるのか。どうしたらいいのか?
気になりますよね。

日本でも同様なのですが、ゲーム制作会社さんは、プロデューサーや経営者の理念などによりそれぞれ違った方向性や思想を持っています。その幅は日本よりはるかに大きいです。

そして一部の中国会社は「日本を含む外部会社と協業するリテラシーに欠けている」んです。
前回の動画では「納期問題」「相手の都合を考えない」という話をしましたが、より具体的な部分について紹介したいと思います

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今回は例えばA社という日本の総合制作会社さんが中国のゲーム会社から日本でゲームをリリースするにあたって、「かっこいい主題歌を作ってほしい」という相談を受けたとします。

1. 資料問題
作曲を依頼する際、作曲家さん、あるいは音楽制作会社に対して、BPMはいくつとか、既存の曲をサンプル曲として提出するとか、使用するシーンの写真やイラスト、文書を提示して、できるだけ資料を揃えるのが一般的です。

ですが中国にはかなり完璧な資料を提示できる会社もいますが、具体的な要望を提示できない会社も少なからずあります。

理由としては、外部に業務委託を行う部門、と制作部門が別々であり、情報のやり取りに問題があったり考え方が違ったりするからです。

外部に業務委託を行うのは大体「商務部」と呼ばれる部門です。彼女らの仕事は商品、この場合リリースするゲームの見た目をよくする「パッケージング」です。ここで重視されるのは如何に豪華にパッケージングするかであり、知名度が一番重要な検討要素です。

なので、商務部が制作する資料は、どのような曲を制作するか、という仕様書ではなく、自社資料とプロモーションが成功する要件を記した資料になります。

多くの下請け企業はこのような資料を貰っても、何を作るのか、納期はいつなのか、予算はどれだけあるのか?ということがわからず、混乱してしまうでしょう。

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A社の担当からすると
「なに作ったらいいのかわからないよ!」
となるわけです

2. とりあえず聞いてみる問題
なんとか制作要件をまとめた資料をもらった後、2つ目の問題にぶつかります。

中国の会社は基本的に何でも聞いてみて判断します。
「あれ?それ当たり前じゃん?」って思うかもしれませんが、日本の会社に相談した以上、なにかしらフォローをしなければならないのは皆さんご存知かと思います。

先方のお時間をとって、色々見積して頂いたり、相談をさせて頂いた以上、案件の進捗を報告するのは当然といえるでしょう。

しかし中国では「考えてみる」でそのまま立ち消えになることが多く、日本の様にフォローをしないことが多いです。

それが良い悪いかはここでは議論しませんが、なぜそうなるかというと、1番目と同じで、商務部が制作部とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、他社さんの方が安かったり、ということが多いです。

「諮詢」という言葉がありますが、感触を聞いてみる、というビジネス的な相談でなく、あくまで簡単な意見を聞く、という段階を指します。

日本での相談より一個手前の情報収集という感じなのですが、日本の企業さんは相談と勘違いするでしょう。

中国では、一つのプロジェクトを下請けに2~3社に諮詢して、依頼を決めた先にしか結果を報告しないことが多いです。
中国の会社としては、「まあ、連絡来なけりゃほっとこう」ってなりますが、日本側はたまったもんじゃありません。そこでに日本企業は「あの会社相談してきたのに、その後何の音さたもないんだよ」とマイナス評価になります。

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A社の担当によると
「ちなみに私はそれを欧米の会社にやられたことがあります」
だそうです

3. 予算を提示できない問題
じゃ、とりあえず、しっかりした資料も出てきた、相談された後A社と話が進んだとしましょう。今度はお見積りの段階に入るわけですが、ここで3つ目の問題が発生します。

それが予算提示できない問題です。
これは正直しょうがないと思うんですが、日本の相場を中国はわかりません。またゲームパッケージングを担当する商務部にしてみれば「豪華なパッケージング」の次に重要なのが「安価」であることです。下手に中国の予算を提示して、高く見積もられたくない、というのもありますが、最も重要な部分はやはり、「日本の相場がわからないのでどうしたらいいかわからない」という事でしょう。

一度二度日本と交渉したことがある商務部の方だと、日本は2回ほどの値段交渉で断ることをしっており、下手に金額を提示できない、という事もあるようです。中国の一部の会社では、見積からいくら安くしたのかが商務部の実績としてボーナスに影響するところもあり、何度も交渉してくることもあるようです。

ただ、日本から予算を提示するには、制作物の場合、使用範囲や使用用途、買い切りか印税方式かなどを決めなければなりません。中国国内では、基本完全買い切りです。一部の商務部スタッフはまったくその部分の知識がないので、懇切丁寧に説明し、社内の決裁をとってくる必要があります。

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A社の担当が言うには
「仕事を始める前にゲームがリリースされちゃったこともあるよ」
だそうです

4. どうすれば解決できるのか問題
ということで、資料、諮詢、予算の3ポイントをクリアし、やっと仕事を始めれるわけですが、今度は先日出した動画でも話した納期問題が出てきたり、すべての中国会社がそうではありませんが「クライアントのいう事を聞くのが当たり前」という状況が発生したりと、案件によってはトラブルが続きます。

それは「日本人を困らせてやろう」というようなことではなく、あくまでも「ビジネスとしてお金出す側の意見に従うのがあたりまえ」という、

「日本の会社とどう接したらわからないからとりあえず中国のやりかたで」という事が多いです。

ですが、どうやって資料、諮詢、予算の3つのポイントクリアすればよいでしょう?

まず資料についてですが、今回お伝えした状況をあらかじめ知っておくことだと思います。
海外の企業さんは台湾も含め紹介した状況が発生します。あれだけ日本と考え方が近い台湾でさえ、発生するのです。中国だから、香港だから、或いはアメリカだからと気を抜いてはいけません。
事前にこういう情報が欲しい、というリストを準備しておくこともよい方法かもしれません。

諮詢については、相談を受けた時点で、それって決まってる話かどうかを確認することが肝要です。諮詢であることを確認すれば、各々の会社で対応も変わってくると思います。どこから制作準備にはいれるか、確認をするべきでしょう。

予算については、厳密である必要は一切ありません。調整の幅を残すことがよいかと思います。
見積は非常にデリケートですので、先方と温度感を確認しつつ、誤解を生まないようにすべきでしょう。

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最後にA社の担当によると
「アニメで知る中国をみてミミムに相談するといいよ」
ということです。

さて、本日のお話はいかがだったでしょうか。

中国は広大ですので、様々な会社があります。まったくフィロソフィーが違いますし、社内各スタジオの商務部のスキルもノウハウも経験も違います。様々な有識者の意見を聞いて総合的に判断したほうが良いかと思います。

一概に「中国はこうだ」と決めつけることは、あまり良い結果を生まないでしょう。

中国は多種多様の人達が集う国です。
新しい発見には事欠きません

Youtube版もあるので、よろしかったら見てくださいね


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