ネプリ「ダサいとかほざいたぼくをきみだけはいつものように許さないでくれ」評 香枝さんに

これは、読んだ人全てを共犯にしてしまうネプリである。

まず、なんと言っても文章がいい。このネプリを通して香枝さんが伝えたいことは大きく分けてふたつしかないんだけど、それがとにかく切実。本当に家族が大好きなんだなあ、ということがビンビン伝わってくる。紙媒体しかわからない家族の人のために、わざわざネプリを作っちゃうしね。でも、それはそもそも家族がとても香枝さんの歌に興味を持っているからであって、その香枝さん→家族、家族→香枝さんの、お互いの愛情のかけあいが素敵だ。

内容的にはもうひとつ、短歌に対する向き合い方をめぐる香枝さんの考えと、読者への(あふれんばかりの)想い。もうね、香枝さんをフォローしてたり、香枝さんのツイキャスに遊びに来ている人たちは、みんなこのネプリを出すべきだよ。香枝さんの葛藤と想いと祈りに触れてほしい。なんだかんだ、今まで短歌をやってきていて、まだ辞めるつもりがないならこのネプリは170キロのストレートのように、間違いなく心に響くはず。

香枝さんは南条あや好きを公言してるけど、文章が本当に南条あやに似ている。南条あやをしらない?「卒業式まで死にません」を書いた女子高生の人。とても響く作品だから、ぜひ読んでみて。そしてこのネプリと見比べてみて。言いたいことがわかるはず。

そして誰より、短歌を好きだけど悩んでいたり、壁にぶつかっていたり、続けるか悩んでいるなら必読。このネプリには、その悩みへの解答の全てがあるから。なぜなら、香枝さんがそうした悩みを乗り越え(あるいは、いまなお心に抱えつつも)ちゃんと歌と向き合っていこうとする決意表明が、このネプリだから。そんな香枝さんの共犯者になろう。好きなことを、ちゃんと好きであり続けるために。

最後に。短歌はださくないぜ。絶対に。

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