最近聴いている曲2020年11月(レビュー)


こんにちは

●窮 - Akali(歌唱:たぶん音街ウナ・GUMI/作詞作編曲:Akali)


焼け付いた紅い君を 許すまじ

 Akaliさんのボカロ曲。この人の歪んだギターとシンバルの音圧が以前からとてもすきです。この曲はドラムが激しくてギターも凶悪で、そこに音街ウナさんの叫ぶような歌声とAkaliさんの感情的な歌詞が乗ることですごくロックンロールを感じます。
 「侘しさが笑いかけるから」という歌詞のあとに怖めの笑い声が入るの素敵ですね。それから落ちサビにある「希望 無用 げんかい もはやここまで」という詞がマジAkaliさんのセンス全開だなあという感じします。Akaliさん、あまり他のクリエイターの曲で出てこないようなワードをしっくりくる形で嵌め込むのがすごく上手い人だと思うんです。
 同氏の『悔』という曲(現在はkkkという名前で投稿)の「歌詞 主張 曲 作画賛美」って部分とかすごくびっくりしましたけれど、聴くと全然違和感もなくて……こちらもかっこいい曲なので是非聴いてみてください。



●非実在聖少女 - じゅじゅ(作詞・作曲:松永天馬/編曲:おおくぼけい)


重々承知 じゅじゅ 承知

 ピアノイントロ→ボーカル+電子的なチェンバロ→ストリングスと歪んだギターのロック→ボーカル+歪んだギター+シンセっていうイントロからAメロまでの流れがアニソンっぽくて超すきです。じゅじゅさんは呪いをコンセプトにしたアイドルで、だいだいハードなロックとゴシックで乙女チックな世界観の曲を発表しています。
 この曲はエレクトロ+ゴシックなウワモノとハードロックなバンドサウンドのバランスがとてもいい作品です。二番でドラムが電子っぽくなるのはとても卑怯。大好き(私のこの好みは堀江晶太さんの『決闘』『レミングミング[kemuRemix]』あたりで植え付けられたものです)
 聴けばわかるんですけれどメロディの「そういう曲」としての完成度もすごくて、それを歌いこなすメンバーの歌唱力も高レベルだと思います。地下系のアイドルらしいのですが『非実在聖少女』以外の楽曲もカッコよくて素敵なのでいっぱい聴かれてほしいと思います。


●あゝ - BURNOUT SYNDROMES(歌唱・作詞作曲:熊谷和海)

(YouTube Premium)


Everybody Calls Me A Master-Piece(誰もが私を名器と呼ぶわ)


 『Dr.STONE』や『ハイキュー!!』の主題歌、『銀魂』銀ノ魂篇エンディングテーマを担当したことで有名なロックバンド・BURNOUT SYNDROMESのアルバム曲です。
 女性主人公の美しく艶やかな空気の歌詞で男性がボーカルな曲めっちゃすきです。どなたかそういうの知っていたら教えてください。
 昂るような「ああ いい」で始まり余韻に浸るような「ああ いい」で終わる詞も歌声も非常に官能的ですね。「持て余してんの この空洞を 無意味な人生を」「唯 人並みに生きたい その祈りと裏腹に 肉叢を駆け抜けてゆく 人として終わっていく快感 ああ いい」「頭の奥で 幼い少女の声 泣いている 私だ いつかの 自分を愛せた 遠い昔の こんな未来でごめんね」にひとりの人間の空虚な堕天と生々しい願望と冷静な俯瞰を感じて、その詞を作詞し作曲し完全に歌で表現している熊谷さんの素晴らしさに惚れ惚れします。
 なんか歌詞にのせられてなのか間奏のギターの音も色っぽく聴こえます。いやそれまでロックなエレキギターが鳴っていたのにアコースティックギター+ピアノになってまた激しいエレキギター+ドラムに切り替わるあたりに主人公=ギターであることを考えると情欲の熱さと破滅の冷たさとその振り子を表現しているのかもしれないしそれはとてもエロスですが。名器っていうのもギターとかけてるでしょうし。


●イキそう - 般若(作詞:般若/作曲:DJ BAKU・般若)


DISじゃない 文句だお

 日本語Hip-hopです。フォロワーさんにおすすめしていただいてサブスクで「12發」というアルバムを聴いたのですが、文句や反骨精神や悪ふざけの間にしっとりとした感傷も語られて、人間としての多面性がとても面白い一枚でした。3曲くらいおっぱい触りたいって言ってました。
 で、この曲なんですがキレッキレですね。自信も文句もガシガシ投げてきます。「他人事だけれど一言いい? シーンとかホントにどうでもいい 出てる奴等マジ見れねえレベルだ 主催を目の前呼んでこい」「俺にはこれしかねーとか負けられねぇとか知るかよサボんな働け本当に普通に金稼げ」みたいなハジけたパンチラインがざくざく繰り出されます。紹介しきれないほどいっぱい色々言ってます。
 色々言いながら流れるように踏んでいく韻にぞくぞくするようなスマートさがあって楽しいです。からかうような不真面目な発声もクセになって何回も聴いています。
 般若さん、まだアルバム二枚しか聴けていませんが、どれ聴いても面白いタイプの人っぽいので今後もどんどん漁っていこうと思います。

●Crush Your Mic -Rule the Stage Track.3-(歌唱:ヒプノシスマイク-D.R.B- どついたれ本舗・Bad Ass Temple/作詞作編曲:井手コウジ)

(部分試聴)


でっけぇ騒動 バカに説法 アメちゃんやろか?甘ちゃん野郎


 舞台版ヒプノシスマイクの楽曲です。歌唱は俳優さんのものですがオオサカもナゴヤもとてもよく再現されているためそこまで違和感なく聴けます。
 一曲の構成としてはナゴヤ→オオサカ→ナゴヤVSオオサカ→全員という感じで、特にナゴヤVSオオサカの導入で原作CDのDrama Trackで聴いた「あの音」が鳴ったときぞくっとしました。十四くんがディスられて感情的に反論する獄さんに萌え……燃えますね。あと簓さんの煽りスキルが相変わらず高くてスマートでかっこよくてよかったです。
 ヒプノシスマイク -Rule the Stage-の主題歌はどれもスラップベースとシンセがイケてて中毒性たっぷりなので俳優歌唱という点が気になって手を出していない方も一度フル音源に挑戦してみてほしいと思います。

●一触即発☆禅ガール - 高槻かなこ&れるりり(歌唱:高槻かなこ/作詞・作曲:れるりり/編曲:KanadeYUK・Tom-H@ck)

(YouTube Premium)



ドコドコドコドコ

 ボカロpのれるりりさん十周年アルバム『羞恥心に殺される』、そのDisc2であるベストアルバムに収録された音源です。歌唱は『凡常シンデレラの汁気のあるお願い』『弱虫シグナル』でおなじみ高槻かなこさん。ハイテンションでコミカルな歌唱が実にマッチしています。
 KanadeYUKさん&Tom-H@ckさんによるアレンジバージョンとなっていますが、もう完璧です。サビの「ドコドコドコドコ 太鼓のリズムに任せて」に沿うようにめっちゃくちゃ激しい暴力的なドラムが鳴るの初聴で大笑いしました。「おかけになった電話は……」のあたりなんか電話が鳴りすぎてうるさくて、ネタ要素を全力で消化していく姿勢が素敵だなあと思います。
 全体的にボカロ曲らしいガチャガチャとしたハードロックで、最近ガチャガチャボカロックの新作が足りないなーって方にもおすすめできる作品です。ちなみにワンコーラス分ですがインストも公開されています。



●アンチテーゼ - 夏川椎菜(作詞作編曲:すりぃ)


僕らが悪者だ あいつらは偽者だ

 ボカロpが人間に提供したアッパーな曲だいすき部所属の名南奈美です。この曲は女性声優の夏川椎菜さんにボカロpのすりぃさんが書き下ろした作品ですね。イントロが同氏作詞作曲の『ジャンキーナイトタウンオーケストラ』に似ていますが、夏川さんはその曲のカバー動画も投稿しているあたり、なんかそういう流れなんでしょうか。
 動き回るベースとキーボードセクション、左右でテクニカルに鳴るギター、どこかひねくれたメロディやリフがとてもいいなと思います。クラップやカウベルなどお洒落な音もいっぱい鳴っていてカッコいい曲です。夏川さんの声も切なくカッコよくて、リリックビデオがりゅうせーさんによるものなのも納得の一匹狼感があります。
 一番すきなのはラスサビの「劣等感のジレンマだ」からの展開で、タメと爆発を二連続で繰り出してから「その感情制限」でまたタメと爆発、最後の「吠えるんだろう」の直後のSEっぽい爆発が最高に最強でした。マジカッコいいんでマジおすすめです。


●Choose me♡ダーリン - StylipS(作詞:こだまさおり/作曲・編曲:高田 暁)

(ショートバージョンMV)


この恋に限りなく ウンメイを感じちゃった


 ライトノベル原作のTVアニメ『この中に1人、妹がいる!』の主題歌だそうです。なんかサビがずっと頭に残っていてついに配信で買っちゃいました。『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』の主題歌『SELF PRODUCER』とセットで記憶していたんですけれどいま調べたら前者が2012年の夏アニメで後者が2012年の秋アニメらしいです。なるほど。
 「真夏にピッタリなラテンフレイバーのアッパチューン!」とランティス公式サイト

で説明されているのですが、それにしたってコンガはずるい。否応なくノる。アニソン全開のブラスセクションも小さめながらしっかり仕事をしてるシンセも歪んだギターもなんかすげえ音圧のマスタリングも全部がアゲアゲで最高。サビ入りとか要所で鳴ってるカーンっていう打ち込みっぽい効果音めちゃくちゃいいですね。
 「その恋はどれくらい ウンメイって確信してる? 神様も罪深いね カンチガイなんてあんまりデス」という歌詞、「わたしのこれこそが運命の恋であり他の人の確信は勘違い、可哀想」っていう意味で捉えて強……怖……だいすき……ってなってるんですけれど皆様いかがお過ごしでしょうか。そもそも恋のために友好条約破棄する歌なんですが、二番でそんな自信たっぷりなメンタルが書かれると思わないじゃないですか……。最高。
 そういえばこの曲も『SELF PRODUCER』も作詞こだまさおりさんらしくて、だんだんこだまさおりさんのこと気になってきました。



●君はロックすら聴かない - 小林私&キタニタツヤ(歌唱・作詞作曲:小林私/編曲:キタニタツヤ)


俺なりの悪魔の踊り方 それはタップダンスとコサックダンス

 英題は『NanyaKonoKyoku』。リスナーから言葉を募集して作詞するという企画から生まれたて楽曲で、一文のそれっぽさがすごくて歌唱もメロディもアレンジもカッコよくて、最初「あいみょんボイパ上手い」まで違和感なく聴いてました。「合コン4:3 シンデレラのバンドエイド」の意味ありそう感すごくないですか?
 集まった言葉を選んで編集したり追加したりする作業は小林私さんが行っていて、その様子の生放送のアーカイブが残っているのでご興味あれば視聴してみてください↓。


 募集した言葉の選定にも嗅覚が必要なので、そこのところとても巧みな印象を受けました。
 編曲のキタニタツヤさんは『悪魔の踊り方』やTVアニメ『モブサイコ100Ⅱ』のオープニング作詞作編曲、ロックバンドsajou no hanaのメンバー、Neruさんの『くたばろうぜ』ギター演奏で有名な方ですね。アコースティックギターやベースラインもお洒落で、つくづく全力のおふざけだなあと思います。大好きです。


●ビンクスの酒~ブルックVer.~ - ブルック(歌唱:チョー/作詞:尾田栄一郎/作曲:田中公平/編曲:浜口史郎)

果てなし あてなし 笑い話


 漫画『ONE PIECE』の作中に登場した歌で、アニメ化にあたりアニメの劇伴を共同で担当している田中公平さんと浜口史郎さんの手で楽曲となりました。美しいピアノとバイオリンに楽しげなパーカッションやクラップなどお洒落で賑やかな雰囲気を出したいときに流すといい感じになります。
 9人の麦わらの一味バージョンとブルックソロバージョンが音源化されていて、一味バージョンのほうはリズムにのって船出の歌を唄って騒いでいる海賊らしい印象を受けます。いっぽう、ブルックソロ歌唱のバージョンはブルックというキャラのバックグラウンドを感じさせる哀愁、大人の渋みのある印象があって、私はソロ歌唱のほうが好みです。
 特に「手を振る影に もう会えないよ 何をくよくよ 明日も月夜」の部分、寂寥からの自己の鼓舞の流れが非常にグッときてすごくすきで、その明暗を聞き取りやすいという面でもソロ歌唱バージョンを推します。
 作詞はONE PIECEの作者・尾田栄一郎さんで、「海賊なら誰もが知っている歌」という設定に合った、わくわくと寂しさを併せ持つ、色んな人に好かれそうな素敵な歌詞を書けるセンスがすごいと思います。作詞をする漫画家さんと言うとさくらももこさんや許斐剛さんが印象深いですが、尾田栄一郎さんの作詞センスも天才的なものがあると感じさせられる一曲です。

〇〇〇〇〇

 以上、最近聴いている曲でした。しばらくこういう文を書いていなかったので書き方を忘れましたてへぺろ
 というわけでいつも通り相互さんの作った曲を紹介しておわりにします~超いいので超聴いてください ありがとうございました かしこ


S.U.M.M.E.R - 初音ミク(作詞作編曲:あいあ)


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