熱伝導

「声出せ!」「元気よくやれ!」「雰囲気よくやれ!」

ソフトテニスを頑張ってきた人なら、学生時代に言われた経験があると思う。

スポーツを頑張ってきた経験がある人なら、言われた経験がある人が多いのではないだろうか。


コーチとして僕もそういうことを言うことがある。(練習中常に言っているかもしれない)


でもそんな時

「私は元々声が小さいので...」
「私は普段から目立たないタイプなので...」

という子が毎年必ずいる。


こうやって言われてしまうと、こちらとしては何と言っていいかわからなくなるのだ。


いいから声出して元気よくやれ、緊張感を持ってやれとコーチが口で言うのは簡単だけど、それだけで「はいわかりました。声出します。」と言って実際に声を出す子は、まあいない。

あとは練習中に集中力が切れて、ふざけ始めて練習の雰囲気を壊してしまう子もいる。
そういう子に頭ごなしに怒ったとしてもその子が心を入れ替えて一生懸命やるようになることは残念ながらほとんどない。


練習中に元気よく声出してやることで練習の雰囲気が良くなったり緊張感が出るようになるのは間違いないんだけど、それを口で言ってもなかなか伝えるのが難しい。


ある程度スポーツをやっていれば強い選手が声を出しているのは当たり前で、声を出して元気よくやらない方があり得ないと思うようになるんだけど、その感覚が無い子は、それができない。

できない子にいくら同じことを言って怒ったとしても、変われる子はほぼいないことは数年の経験で学んだ。

少し前なら頭ごなしに怒ってやらせる指導法が主流だったかもしれないけど、昨今は怒ることにも気を遣う必要がある時代になっている。


そんな時代の指導で僕が大切にしていることが、「こちら側(指導者側)の意図を汲み取れる子をいかに作っていくか」ということだ。


チームの雰囲気をもっと良くしたい、元気よく応援されるチームを作りたいと思ったときに、全体に対して怒ることは残念ながら効果的ではないと思っている。

そんな中でも必ず、こちらの意図を理解してくれる子はいる。

声を出して元気よくやることの重要性、球拾いを一生懸命やることの大切さ、挨拶返事をやることの大切さを理解できる子は必ずいる。


そういった子を大切にし、指導者はその子にたくさんの大切なことを伝える。その子を介してチーム内にコーチの意図を伝導させる。


熱が必ず高温側から低温側に向かうように。


結局いいチームを作るには、外側から縛り付けるように厳しく叱ることより、チームの内部から変われるように仕向ける方がコーチの意図が良く伝わるような気がする。


チーム内にいる「一生懸命できる子」「指導者の意図を汲み取れる子」「正しいことをきちんとできる子」を見逃してはいけない。そして、そういった子を指導者側は全力でサポートしてあげることが大切だと思う。

チームを内部から変えられる子がいなければ、本当の意味でチームが変わることはない。

そしてそういった子を地道に増やしていくことがコーチの役割かなと思う。

果たして僕が言ったことをどれだけの子が心から理解して行動に移してくれるのか。コーチとしての役割をきちんと果たせていたかを自戒を込めて考える今日のnote。

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