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私だけの特捜最前線→30「ビーフシチューを売る刑事!~おやっさん復帰編は哀しいドラマ」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

「おやっさん」こと船村刑事役の大滝秀治氏は、映画「影武者」の撮影のため、特捜最前線を1年間降板していました。その復帰編となったのが、第170話「ビーフシチューを売る刑事!」です。

末期がんの妻を看病するために退職した船村でしたが、妻の死後、娘と二人で上京し、小さなビーフシチューの店を開業しました。店名には亡き妻の名前を記し、静かに第二の人生をおくるつもりだったのです。

自宅謹慎中の叶刑事(夏夕介)が船村の店を訪れるところから、ドラマが始まっていきます。店を手伝う女店員が事件に巻き込まれ、捜査の過程で特命課の面々と船村が再会したのです。

神代課長(二谷英明)は、犯人逮捕のために女店員の協力を得たいと直接頼みます。が、船村は拒否しました。「刑事が怖くなった」と口にする船村ですが、その胸の内は正反対だったのかもしれません。

犯人と女店員は逃亡を図り、特命課が追い詰めるという緊迫した状況を知る船村。「刑事に復帰するのか、しないのか」という葛藤を抱える心理を、煮詰まっていくビーフシチューで見事に描写しています。

船村は、犯人と女店員説得のため、現場に現れます。しかし、懸命の説得もむなしく、船村を撃とうとした犯人は叶に射殺されました。女店員は船村に罵声を浴びせますが、船村には返す言葉もなかったのです。

刑事にとって、事件の解決は全てハッピーエンドばかりではありません。時には、今回のような残酷な結末を迎える場合もあります。おやっさんは、それを承知で特命課への復帰を決意したのでした。

大滝秀治さんが復帰したことで、特命課は神代課長、橘、桜井、紅林、吉野、叶、そして船村という7人体制となり、カンコ(高杉婦警)を含む「不動のメンバー」が以後、約5年間のドラマを作り上げていくのです。

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