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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第74回「岡山の夜は角打ちで始まった」

「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。

withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第74回「岡山の夜は角打ちで始まった」である。


はじめに

岡山駅近くで泊まるのは2回目である。初来訪の時はたまたま日曜日で飲み屋がことごとくお休みという不運に見舞われ、不本意な夜酒に終わっている。もっとも、当時30代だったので、飲み歩きにはこだわっていなかったこともある。

今度はしっかりと岡山駅周辺の酒場をチェックしてからやって来た。なかなか良さげな酒場も多い。これは楽しめそうだ。先ほど、備中国一之宮の吉備津神社へもお参りしてきた。今宵もしっかりと飲み歩きをしようじゃないか。

夕刻、岡山駅に到着。さてと・・・

岡山駅前「小野酒店」~正統派の角打ちが岡山にあった

本日泊まるホテルに直行する前に、ちょっと寄り道をする。実は岡山駅前に角打ちがあることをキャッチしていたのだ。チェックイン後でもよさそうなものだが、なぜか足は角打ち「小野酒店」のある路地裏に向かってしまう。呑んべえのサガなのか。

ここは正統派の角打ち。旅先で見つけたのは嬉しい。

切り盛りしているのは年配の男性で、おそらく大将だろう。まずは大将に地ビールの「独歩ビール」をお願いする。と、いきなり大将がメーカーの小瓶を開けようとしたので、あわてて「独歩です!」と声を掛けた。おいおい、しっかりしてくれよな。

正統派ゆえに肴は乾き物しかないので、ここは独歩ビールだけで居座る。店に1人、また1人とお客がやってきて、だんだんと賑やかになって来る。こういう雰囲気は実に心地いい。独歩ビールを飲み干したところでサッと店を後にする。さあ、これからだ。

岡山駅前「鳥好駅前本店」~大人気酒場でママカリを食す

小野酒店での0次会を終えて、ホテルにチェックインし、颯爽と繁華街へ繰り出す。ピーク時前の時間帯なので人気店を狙っていこう。口コミの評判も上々ということで、まずは「鳥好駅前本店」から攻めてみるか。

カウンターに陣取り、注文をする。さっき独歩ビールを飲んでいるので、ここはいきなり日本酒でもいい。女性店員に御前酒の純米酒美作ひやおろしと名物の鳥酢をお願いする。すると店員、何を思ったのか、刺身用の醤油皿を持って来たではないか。

頼めということか?だったら頼もうではないか。

ニシ貝の刺身を頂戴する。サザエによく似た食感でなかなか美味い。鳥酢も日本酒にピッタリでいいぞ。だんだんとペースが乗ってきた。ハイボールをおかわりするしかない。

ハイボールと一緒に注文したのは、岡山の郷土料理「焼きママカリ」だ。ママカリはその名のとおり「ご飯に合いすぎて、隣の家にご飯(ママ)を借りに行く」というほど美味い小魚。スーパーでも簡単に手に入るが、なぜか本場岡山の味とは比べ物にならない。

店内を見渡すと、気が付いたら満員御礼状態。店先では次から次へとやって来る人が門前払いを食らっている。さすがは人気店だけのことはあるな。

岡山駅前「さかばやし」~当てが外れた日本酒バー

鳥好で日本酒を飲んだが、もうちょっと地酒を飲みたい。それにうってつけの日本酒バーがある。酒ばぁ「さかばやし」という酒場だ。豊富な種類の日本酒を用意しているらしいので期待できそう。が、店に入ってちょっと違和感を覚えることになる。

本来、日本酒バーをうたっている店なら積極的に酒を勧めてくるはずなのだが、この酒場の女性店員は「待ち」なのだ。声を掛けない客の方がいけないのか?・・・チグハグだけど注文しないわけにはいかず、燦然(さんぜん)の純米吟醸雄町生原酒を頼んでみる。

店ではショット、つまりやや大きめのおちょこ1杯分で出している。これなら外れてもいいか。肴は「岡山三点盛り」と銘打ってママカリ酢漬け、黄色ニラ、シャコが並ぶ。これは日本酒にピッタリでいいじゃないか。

ようやく店主らしき人が現れたので、おススメを聞き出す。

「県外に出回っていない変わった酒を」という酔っ払いの注文に対し、店主が勧めたのは板野酒造の温羅生原酒という黄色みがかかった濁りのある酒。なるほど、これは珍しい。見た目よりもスッキリしていて飲みやすかった。

ちなみに女性店員はどうやら東アジア系の方。日本酒の知識が無くても仕方ないか。

岡山駅前「ハッピー酒場」からバーへ行くも・・・

なんとなくもどかしさを感じつつ、3軒目に訪れたのは立ち飲み「ハッピー酒場」。こちらはチェーン店系なのか、今風な感じの飲み屋で姉さんが一人で切り盛りをしている。

西ではあまり見かけないホッピーを置いてあった。

これは注文するしかない。ジョッキへギチギチに氷を詰め、焼酎をなみなみと入れた中身と瓶のホッピーのコンビは東京の大衆酒場では当たり前。だが、この店は少々焼酎が遠慮気味だった(苦笑)

まあ、それはいい。肴にはレンコンの天ぷらとどて焼きを頂戴する。どて焼きはコテコテの関西風というよりも、関東の煮込みにも近いような感じ。あくまでも個人の感想であるが、どっちつかずの絶妙さがあったな。

ホッピーのおかげで定量に近づいてきた。やはりラストはショットバーがいい。ホテル近くのバー香木に入る。広めのカウンターにほどほどの客。これは落ち着ける。久々にウイスキーといこう。余市をロックでお願いする。岡山飲み歩きの余韻に浸るとするか。

グラスを傾けていたその時だった・・・

ドカドカと入ってきた団体客。どうやら宴会の流れで来た連中らしい。静かだった店はあっという間に喧騒のるつぼに。これじゃあ、落ち着いて飲めやしない。しかも、あれやこれやと好き勝手に注文するのでバーテンもてんやわんや。

店のせいではないが、気分は「ダメだこりゃ」である。てんてこ舞いのバーテンの手が空いた一瞬のスキを狙い、素早く勘定を済ませて店を飛び出した。

余韻もへったくれもない。これは悪酔いしたぞ、間違いなく!

〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2015年4月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。


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