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作品紹介|My little Rascal -シエスタ-

本作では「優しいハウザーのお腹で安心してリラックスしているラスカル」が描かれています。ハウザー、ラスカルとも、よく見てみるとふんわりしたタッチで微妙に明るい部分と影の部分が描き分けられており、日の光の差し方が少し午後の向きになっている様子を感じとっていただけるのではないでしょうか。

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石川真衣「My little Rascal -シエスタ-」(2022年)
195×270mm(絵柄サイズ) リトグラフ ed.45

石川真衣さんの創作バックグラウンドには、彼女自身が幼い頃から大切にしてきた亡き愛犬との精神的な交流というテーマが据えられており、何種類もの犬種が版画作品に登場してきました。そして私生活においても、ゴールデンレトリバーと、アヒルとの多生物共存の生活を選んでいます。

そんな石川さんにとって「ラスカルはスターリングの親友ですが、ハウザーはスターリングの相棒でありラスカルのシッターのような」関係性、「ポーやスカンクやラスカルや人間たちと違って、誰とでも仲良くなれる本当の賢者」として、ハウザーをぜひ表現してみたかったそうで、本作でそれが実現することになりました。(下は、色版の構成を検討している様子)

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「ハウザーがザラザラした大きな舌でラスカルをベロンと舐めているところには、とてもこだわりました。がっしりした骨格に大きな手足で、ラスカルとの違いを意識しました」と石川さん。大きく太く作画された尻尾も、優しい力持ちを表しています。

これはシリーズのなかで唯一、可愛らしいシーンを意図したという一作で、あえて手癖で画面を描き込みすぎないようにし、明度や配色を明るくするなど色での演出に比重を置いています。

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