マガジンのカバー画像

ワインジャーナル

97
ワイン科学を軸に、マーケティング、ブランディング、テイスティングなど幅広くワインについて語るジャーナル。書き手は国内外の大学、大学院でワインを研究してきた3人。
運営しているクリエイター

#ワイナリー

KDP第2弾『ワインと微生物学』

KDP第2弾『ワインと微生物学』

お久しぶりです。

最近更新できていなかった理由です。

本を書いていました。

なるべく仕事がはじまる前に終わらそうと思っていたので、なんとか2月中にリリースできてよかったです。

今回は前回のワインリテラシーとは全く別の系統の話。

醸造における微生物の話です。
アマゾンの方にもるのですが、目次はこんな感じです。

内容はこのnoteに書いてある酵母やブレタノマイセス、酢酸菌の話を中心に、乳酸

もっとみる
ワイン濾過のフィルターサイズの種類(粗濾過、仕上げ濾過、無菌濾過)

ワイン濾過のフィルターサイズの種類(粗濾過、仕上げ濾過、無菌濾過)

今回は濾過の2回目です。
トップ画は上手く合う画像を持ち合わせていなかったので、ビール製造のタンクです。
あと前回の記事が思いのほかTwitterで反響があり、やはり濾過についてまとめている記事というのはなかなかなかったのかなぁと思っているところです。

前回はデプスフィルターについて。

であるならば今回はそれと対をなすSurfaceフィルターについて、といきたいところなのですが、Surface

もっとみる
ワインにおける濾過の種類(デプスフィルター)

ワインにおける濾過の種類(デプスフィルター)

今回から数回に分けて濾過についてのレポートを記事にしていこうと思います。

濾過って実務を経てないとほんとに理解しにくいトピックなんです。

そのため私も理解する、情報を取ってくる、まとめるのにかなり時間がかかりました。

そのため今回は科学の話というよりは実務的にややこしい話という形になるかと思います。

また引用で動画や画像も多々お借りして、なるべくわかりやすいようにという最善は尽くしたのです

もっとみる
ポーター5つの力を使って日本のワインマーケットを振り返る。

ポーター5つの力を使って日本のワインマーケットを振り返る。

これは以前ドイツマーケットでやったものの日本版です。

ちなみに私は別に経済学や経営学を専攻したことはありませんし、未だピュアな学生ですので、それなりに詰めが甘いかもしれませんがご了承ください。

またドイツのレポート程突っ込んでファクトを探すことはしませんが、今回は自分の肌感覚とフレームワークで日本のワイン業界を見ていきたいと思います。

このフレームを当てはめるにはそもそものプレーヤーを決めな

もっとみる
英語講座での質問一覧7月3~4週

英語講座での質問一覧7月3~4週

ここ2週間の参加者が少なく思いのほかうまく進まなかったので2週分にまとめてあります。

雹害って実際どんな感じ?
ワインの産地に起こる天候による被害で最も有名なのは霜害かと思いますが、雹も実はブドウに大きなダメージを与えると言われています。
実際に3週間ほど前私の滞在している南仏でも雹は降りましたし、その一週間後にはドイツで醸造をしている方も雹が降ったという報告をしていました。
その方も最近not

もっとみる
オークチップテイスティング

オークチップテイスティング

日本でもオークチップが解禁されてもうしばらく経ちます。

個人的にはオークチップは安価でかつ私の好物であるバニラ香や樽香がしっかり付くので大賛成なのですが、使うのはなかなか難易度が高いそうです。

以前インターンシップで働いていたワイナリーもトライはしてみたがどうにもあまりうまくいかなかったそうで。

そのときの状況を詳しく知っているわけではないのでそこに関してはあまり書くことができないのですが、

もっとみる
ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

今回は葉柄分析という手法に関してです。
分析結果を眺めて土壌や樹勢との相関や因果関係を仮説から導き出すのはなかなか面白いです。

葉柄(ようへい、英語:Petiole)は、植物において葉と茎を接続している小さな柄である。 通常は茎と同じ内部構造を持つ。 葉柄の両側に伸長した部分は托葉といい鞘状に巻いているものは托葉鞘という。

今回はこの葉柄部分を使った分析を紹介する。

これは一度調べたのだが、

もっとみる
朝ワイン英語講座でのQ&A(7/1~7/5)

朝ワイン英語講座でのQ&A(7/1~7/5)

WSET Advancedの教本の4章から進めています。

4章はブドウの生理学的な部分、栽培をする上でベースになってくるコンセプト、接ぎ木や台木、品種といったものについて書かれている章です。

そのためテイスティングや産地といったことに関する質問はあまり出てこないかと思います。

アメリカ系等のブドウはなぜ香りが好まれないの?
アメリカ系のブドウにはヨーロッパブドウにはないフォキシーフレーバーと

もっとみる
オンライン英語ワイン講座はじめました。

オンライン英語ワイン講座はじめました。

題名の通り英語のワイン講座を始めました。

自分自身元々英語は得意なほうでもなく、ワインをする上で学ばざるを得なかったという側面から、ワインという業界であれば一か国語は外国語が必須だという感覚を持っています。

フランス語でもイタリア語でもドイツ語でも構いません。
スペイン語でもポルトガル語でもいいと思います。

教科書的な本はそれらの言語でも手に入ると思います。
ただ現状日本語で拠り所となるよう

もっとみる
ワインにおけるタンニンの渋みの正体~量と質~

ワインにおけるタンニンの渋みの正体~量と質~

フェノール類。フラボノイド。
アントシアニンやアントシアニジン、プロシアニジンなど色々と名前がややこしく、それが故に混乱するようなトピックであると私自身も感じています。

そんなフェノール類の中でも皆さんが大好きなタンニンについてのお話です。

縮合型タンニンはプロアントシアニジンと同義でいずれの名前もよく使われます。
またタンニンと言ったときには加水分解性のタンニンというものも存在しており、そう

もっとみる
フェノールって?タンニンって結局なに?(化学のお話)

フェノールって?タンニンって結局なに?(化学のお話)

フェノール。タンニン。アントシアニン。

以前一度アントシアニンについては取り上げたのだけれど、
そのときそもそもアントシアニンとはなにかということをあまり突っ込んでいなかったように思ったので、今回はもっと基礎的な化学の話(基礎的とは簡単ということではないです)をしようと思います。

そしてこの構造が酸化の記事ともリンクしてくるので、読んでいただけると酸化の稿で少し理解がしやすいかと思います。

もっとみる
独断と偏見に満ちたワイン選びで使えるフレーズ集

独断と偏見に満ちたワイン選びで使えるフレーズ集

ワイン選ぶのって難しいじゃないですか。

恐らくワインを特に選ぶことなく即決で買える人って収入の桁が1つ2つ違う人ぐらいだと思うんですよね。

あるいはそういう人は著名なワインしか飲むことがないから迷いながら選ぶということをしなくていいだけかもしれません。

そして彼らのレベルなら別にワインを迷うことなく買って外れても蚊に刺された程度の話です。

そんな方々を羨ましいと思いながら日々ワインを見て外

もっとみる
コルクとスクリューキャップの比較テイスティング

コルクとスクリューキャップの比較テイスティング

前回の栓の選択というところに絡んだお話です。

夢は家に飲んだワインのコルクでアートを作ることです。
どうもおくむらです。

いつもは論文とかデータを重視しているので堅い文章になりがちなのですが、今回は経験に基づく話をします。

こういった話の方が読者の方にとっては面白いのではないかなとは思いますし、書きやすいのですが、こういった方向性を多くしてしまうと、重い方をそっちのけでやってしまうのであまり

もっとみる
還元臭の増減/瓶熟VS樽熟

還元臭の増減/瓶熟VS樽熟

前回までで熟成の種類、コルクについて、酸化の香りへの影響などについて触れてきました。

もしこの記事を読んでいまいちわからなかったという方がいれば、少し戻って以前の記事も見て頂けると理解しやすいのではないかと思うので、そちらのほうもよろしくお願いします。

またなにか疑問があればFacebook、Twitter、コメントなどで聞いていただければと思います。

そして今回は瓶熟シリーズで還元状態に関

もっとみる