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ワインを飲むときのスワリングの仕方


みなさんワインを飲むときはどうやって飲んでいるでしょうか。
ワイングラスのボウルの部分は持たないとか、注いでもらうときは手を添えないとか色々とマナーとして言われているかと思います。

そのなかの所作の1つであるスワリング。
どうやっているでしょうか。


少し思い返してみてください。


右回りの人、左回りの人。
勢いよく回す、静かに回す。
手にもって回す、テーブルの上で回す。


色々とあると思います。


私自身、マナーは最低限その空間にいる人が不快でなければどうだっていいと思っているので、別に正しい作法を覚えろと言いたいわけではありません。


もちろん覚えて実践するに越したことはありませんが、そういった情報なら是非ほかの「ワインの基本」みたいなものを扱っている大手サイトにアクセスしてください。


今回このスワリングを取り挙げようと思ったのは、以前紹介していた『香りの科学』という本と私の体験が結びついたからに他なりません。


まずこの話をするにあたって、私が去年友人から聞いた話が思い出されました。
その友人はワインスクールのテイスティングの一日講座のようなものに行ったらしく、そこで講師の方に

「外観⇒香り⇒味わいの順に要素を取っていく。」

という話をされたそうで、そこまでは何の問題もなかったのですが、

「香りを取るときにはスワリングをするように。」

と言われたと私に言っていました。

そのときに私は
「その講師はろくでもない。」
と思いましたが、私の友人は別にワイン業界を志すわけでもないですし、そんなシビアにテイスティングをすることもないかと思ったので、あまり気にしませんでした。



しかし皆さんは、なぜ私がろくでもないと思ったのかわかりますでしょうか。




ワインのスワリングは香りをよりワイングラスに溜めるような効果や、空気に触れさしたり、表面積を増やしたりすることで香りの立ちをよくすることが主な役割だと思います。

そこには香りだけでなく味わいを変えるという意味合いもあるでしょう。

しかし、逆に言うとスワリングをしたら香りが立ってしまうのです。

香りは分子であり、その揮発性によって持続時間や強さなどが変わってきます。

そしてワインには揮発性の高い分子から低い分子まで様々なものが混在しています。

その揮発性の高い分子がせっかく先立って香ってくれているのに、スワリングをすることで敢えて、より多様な分子と混ぜてしまうというのはいかがなものなのかと思うわけです。

もちろんほぼ全ての分子が同時的に揮発はしていますから、香りの分子の種類として増えるということはあまり考えにくいですが、その量のバランスを変えてしまうことで、せっかくのチャンスを1つ潰すことになると思うのです。


一方で、ソムリエコンクールなどであれば同時的に相当数の香りを瞬時に取らないといけないので、すぐにスワリングに入っていると思います。

ただ彼らは私なんかでは比べ物にならないくらいの訓練を積んだ方々であり、そういった状況下でも香りの項目を分けるだけの力がある人であるために成り立つことだと思います。

そのため、そのスクールで学んだ私の友人なんかであれば、むしろスワリングをしないまま香りを取ってみて、それを第一印象として捉えるほうが、煩雑にならずに済むと思うのです。


この元々の考え方自体は、フランスでテイスティングの授業を持ってくださったAlain教授が仰っていたことで、

「ワインが来てすぐにスワリングをするな。初めの印象として、スワリング前の香りを大事にしろ。」

というものがありました。


そのときは自分の中で、スワリング前後で香りの印象が異なるという実感値ベースで理解していたのですが、今回本を読んだことで理屈ベースでも合点がいきました。

「分子量の違いと沸点の違いが蒸気圧の違いを生み、その蒸気圧の違いが揮発性の違いになる。」

自分自身たまにワインの香りをとるときに、「奥にある香り」という言い方をすることもあるのですが、それも恐らくこういった部分に影響されているのでしょう。

香水で言ったら、もしかしたらミドル・ノートとかベース・ノートとかに当たるものなのかもしれません。


このような実感値と理論が結びつき、自分の中で消化され「意見」として確立されることこそが、「情報」を越えた価値になると思います。


なのでみなさんもファクトをたくさん集めてください。
そして自分なりに解釈し、そして発信してください。

そして最後に、もし皆さんがグラスワインを初手でスワリングしていたのであれば、この記事を読んだ今、その習慣を見直してみて頂ければと思います。

それでもし特に違いを感じられなかったという場合は、今後は初手スワリングでも結構です。

ただこの記事を読んで一回だけでも試して頂けたら幸いです。


これからもワインに関する記事をuploadしていきます! 面白かったよという方はぜひサポートしていただけると励みになりますのでよろしくお願いします。