7月2週のワイン講座

朝ワイン英語講座でのQ&A(7/8~12)

今週から新たに山梨の若手醸造家が1人加わり5人態勢でやっています。
まだまだ人増えても問題ないと思うので、気になる方は是非参加してください。
お試しでとりあえず1回とかだけでも大丈夫ですよ。現在も皆さん参加頻度はまちまちなので。


ということで今週のハイライトです。
ブドウに関する環境要因や成長サイクルなんかがメインの章になっています。
半分ぐらいしか進んでないので来週も引き続き5章を進めていきます。

Growing seasonとは

Growing seasonは北半球では4月から10月を基本的に指すことが多いです。

萌芽→開花→着果→着色→収穫という流れになっています。

正確には萌芽から収穫までを指します。この期間の積算温度はGDDとして知られ品種の策定や萌芽や開花時期の予測に用いる指標となっています。

このGDDはGrowing Degree Daysの略であり、平均気温から10を引いた値の∑で求めることができます。


ボルドーの右岸と左岸の土壌温度と品種

一般に言われていることは、右岸はシルト、粘土質でメルローとカベルネ・フランが主体、左岸は砂質でカベルネ・ソーヴィニョン主体ということです。

これは土壌が熱の再放射を行うという部分に関わっており、砂質土の方では土壌温度が上がりやすいうえに、熱の再放射も多くなり、熟期の温度の上昇と熟期自体の長期化が見込めます。
そのため砂質土にカベルネ・ソーヴィニョンを植えてもしっかりと熟すのです。

ただ一方でボルドーは常に霜害や、未熟といった課題と背中合わせなので、リスクを分散させるために混植を行っており、常にブレンドワインが市場を占めているのです。

ブレンドワインが主流ですが、その割合というのは、土壌の組成が品種の選定に影響を与えたいい例なのです。


海洋性気候と大陸性気候の例は?

講義の中ではとっさにあまりいい例が出てこなかったので地中海も海洋性の1つなんじゃないかなとか言いましたけど、地中海性気候という単語があるようにあまりいい例ではなかったかもしれませんね。

ただそれでも地中海沿岸も気温の側面では海洋性気候に似たところがあると思います。

一方で、雨季や雨量という点では一般的な海洋性気候とは少し違うように思います。

そういう意味ではまたもボルドーがいい例でしょうか。
湿度は高く、気温も年較差が比較的抑えられています。

一方の大陸性気候もパッと思い浮かんだのがトレンティーノ・アルトアディジェ。
この頭をなんとかしたいところです。もっとなんかあっただろ。

アルトアディジェはイタリアの最北端で山間の産地なのですが、その緯度、標高の割に夏の気温はグッと上がり、そこそこ重厚な赤ワイン品種でもしっかりと熟すような気候です。

カベルネなんかも育てられています。

それはそうと本来ならブルゴーニュを例として挙げるべきですね。
ブルゴーニュは内陸部にあり、大陸性気候のいい例だと思います。


霜害を防ぐ、ヒーターとファンって?

春先の萌芽後の小さい茎って一番寒さに敏感なんですね。
そのタイミングで冷え込むと茎が死んでその年の収量がかなり下がり問題になります。

その害を霜害と言って、なるべく冷気(≒0℃)が芽の当たりに滞留しないようにするのですが、そのときに使えるのがヒーターやファン、スプリンクラーなどになります。

ヒーターは空気を温め、上昇気流を作ることで冷気が上から降りてくるのを防ぎます。
ファンは空気を循環させることで冷気の滞留を防ぎます。
そしてスプリンクラーは水を撒き、それが凍ることによって大気の冷気を穏やかにします。
この説明難しいのですが、氷が解けるとき大気から熱を奪いますよね。その逆のようなイメージです。
大気の温度が低く、水の温度が高ければ、水の熱は奪われ大気へと移動します。また凍った水は大気より温度が下がりにくいので、これは冬の芽の凍死を防ぐ方法としても用いることができます。

ファンとヒーターのイメージ写真です。
画質はそこまでよくないですが、左がファン、右上がヒーターになっています。


水分ストレスと栄養/生殖生長

ぶどうはよく乾燥した地域でよく育つと言われますが、そういった環境ではワインに適した栄養生長と生殖生長のバランスがうまくとれるためです。

栄養生長とは樹体の生長、葉や茎の生長を指し、生殖生長はぶどうの実の成熟やそれに関わる実の肥大なども含まれます。
水分量が多いと栄養生長が促進されてしまい、実に十分な養分が供給されません。
一方で少し水分ストレスがかかっているような状態であれば、栄養生長より生殖生長に注力するので、結果的にいい実がつくのです。
この水分ストレスを与える影響や、測定法、最適化についての詳細は以下の記事にまとめてあります。


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