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富むとは何か〜内部留保も交えて〜

「富む」とは何か。

「豊かさ」とは何か。

またその源泉は何か。

皆さんは考えた事があるだろうか。

1000万円以上の賃金を得る事だろうか。はたまたベンツを乗りまわす事だろうか。もしくは貧困層から脱出することかもしれない。

このノートでは「富む」こと、そしてその源泉について、実際の企業や国家を例に出し、述べていこうと思う。

また「お金とは何か、その本質と歴史について」は別のノートにまとめている。関連したところもあるのでぜひ参考いただきたい。

では本論に入ろう。

1.豊かさとは〜歴史上の国を例にあげて〜

「豊かさ」、「富」を得るために人類は様々な行動を起こしてきた。それを3種類紹介しよう。

1)金を集める
2)商品を集める
3)商品を作る

順を追って説明していく。私の書いたお金の本質を読んでいただくとこのステップがわかりやすいだろう。具体的な歴史を元に説明する。

1)金を集める

大航海時代まで遡ろう。ヨーロッパの国々を中心に世界を支配した。その中で非常に優秀な航海技術を持った国があった。それがスペインである。彼らの戦艦は無敵艦隊とも呼ばれ、非常に大きな力を持った。参考までにだが現在でもサッカースペイン代表のことを無敵艦隊と呼ぶ。

彼らは国が豊かになるには金(きん)を集めれば良いと考えた。何を隠そう当時の世界貨幣だったからである。これを重金主義と呼ぶ。

スペインや隣国ポルトガルが衰退した理由は、敗戦や天災など様々な事が挙げられるが、その中でも欠かせないのが重金主義に走り過ぎた事である。

現代に置き換えて分かりやすく言うと、あくまで交換手段である硬貨を国が製造したり、紙幣を発行するだけで国が豊かになるのかという話である。間接的には豊かになるかもしれないが、一切国力を上げることには繋がっていない。いわゆる剰余価値を生み出していないのである。

当時はこれと同じように、所詮、交換手段である金を崇拝し、それさえあればなんでもできる、国は発展し続けると勘違いしたのである。その結果がどうなったかは、現在の2国の経済状況を見ればわかることだろう。

2)商品を集める

次もまた大航海時代だ。イタリアのジェノバやオランダのロッテルダムなどという港町を知っているだろうか。彼らは交換手段に惑わされることなく、それが生じた理由である、「商品」に目をつけ、それを集める事で国を豊かにしようと考えた。商品が発展する事で通貨が生まれたという歴史に気づいていたのだろう。これを重商主義と呼ぶ。

しかし、これもまだ考えが浅かった。商品を集めたところで、あくまで中間代理業のようなもの。国力を上げることにはあまり繋がらなかった。中身はスカスカなのだ。これもまった現代の彼らの国を見ればわかることである。彼らの主力産業がパッと頭に出てくるだろうか。

少し脱線するが、日本は江戸時代に貿易していた数少ない国の1つがオランダであった。そんな国としか貿易していない日本が江戸末期にいかに遅れてしますかがわかるだろう。そりゃ欧米列強に平伏すことになる。

3)商品を作る

国の豊かさの源泉は何にあるのか。それにいち早く気付けた国がイギリスである。感の良い方はもうわかると思うが、産業革命が起こったためである。イギリスは結果として、大英帝国という大きな国家を20世紀まで維持することになる。

要は彼らは何をしたのか。

それは商品の源泉である、生産に力を入れたのである。生産により剰余価値を生み出し国を豊かにする、この繰り返してイノベーションが起き、国が発展していく。

このスタイルをとったイギリスをはじめ、ドイツ、アメリカなどは、若干の変動はあるものの、今でも世界経済で強い力を持っている。いわば資本主義ではこの方法が勝ち方であったのだ。


2.日本の企業の例

現在の日本はバブル景気以降で最も景気が良いと言われている(実態や政治批判は今回は無しにしよう)。その結果、国内の大企業は多額の内部留保を抱えている。内部留保とは、社内に蓄えられたお金のことで、その額は400兆円を超え、日本の国家予算並みである(一般会計約100兆、特別会計約400兆)。なぜこんなに溜め込んでいるかというと、先行きの見えない景気への不安と、貯蓄好きの日本人の性だろう。バブルの時のトラウマとも言われている。

これは上記の「1.豊かさとは〜歴史上の国を例にあげて〜」で述べた3つの例の内、1)金を集める に該当しないだろうか。すなわち全く生産性のないプールなのだ。

すなわち日本の企業はもっと生産力を高めることに注力するべきなのである。

日本は人口減少、少子高齢化、企業の価値の低下など様々な面から見て、危機的状況にあるのは確かだ。日本のお家芸であった家電産業も衰退、ITでは素晴らしい技術を生み出しつつもGAFAに負けてしまった。

何度も言うが、もっと生産力を上げることに注力するべきなのは言うまでもない。

3.日本はこれからどうしていくべきか

新たな産業に置いてマウントをとっていくべきだ。また生産力を上げるために全労力を投下していくべきだ。いくつか例をあげよう。

⑴AI

これは労働人口の減少を補うためにはマストだろう。これを補うためのAI以外の別の方法としては、出生率を上げること、もしくは外国人労働者を説教的に受け入れる他ない。労働者不足を補うためには必須である。公務員や銀行の窓口業務や事務仕事、レジ業務などは全てテクノロジーで補える。注力していくべきだ。そこで補えた分の労力を生産力向上のために使おう。

⑵共有経済(シェアリングエコノミー)

時代の大きな変化の1つが共有経済だ。カーシェアや民泊、オークションサイトなどもその類に属するだろう。中にはシェアしてしまったら「生産しなくてよくなるから、生産力落ちてしまう!」と考える方もいると思うが、これまで過剰生産してきたものがなくなることで、無駄を省き、その分他のことに対して労力を使えると考えていただきたい。環境面から見ても良い流れである。

⑶AR・VR・MR(まとめてXR)

これらはAR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)と呼ばれそれぞれ現実空間を拡張できたり、新たな空間を作り出したり、またそれらを組み合わせたりと国土の狭い日本において可能性が広がるテクノロジー。将来的には仮想的な日本を作る時代が来るかもしれない。実際に『EXA』と言う仮想地球を作るプロジェクトが始まっている。気になる方はチェックしていただきたい。またVRは空間や時間を超越できる。オフィスを持つ必要がなくなったり、旅行の概念が変わったりするだろう。つまり24時間が伸びる。これにより生産力は上がる。

まとめ

国が豊かになるには、生産力を上げること他ならない。そのために内部留保などを溜め込みすぎるのではなく、投資することで、時間や空間、労働力を効率化し生産力の増強に努めてほしい。内部留保を蓄えることも悪いとは言わないが、使ってなんぼである。

個人として、できることは少ないとは思う。その中でも私もできる限り尽力していく。



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