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【DTM】リバーブ使いこなせてますか?


アノニマスDTM編集部でございます。
4月に入ってから暖かい気温になりましたね。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、みなさんも体調管理にはお気を付けください。

前回の記事ではトラックの基本的な整理整頓についてお話しました。

  • ステム(サミングトラック)の作成

  • セクションのフォルダ管理

次は音作りをする上で欠かせないリバーブの重要性について触れていきます。リバーブを使うことにどのような利点があるのか、ざっくりと解説していきます。

リバーブとは

リバーブについて軽くおさらいします。

リバーブは、音に残響音や反射音を加えることで、空間的な深みや広がり感を出すエフェクトです。たとえば小さなホールで演奏していても、大きなホールで演奏しているような残響感を演出することができます。

ヤマハ公式サイトより

ドライサウンドに少しリバーブを加えるだけでも、リスナーに全く異なる印象を与えることが出来ます。高音の抜けを良くしたい、粗いベースのスラップを小綺麗にしたい。そんな時にもリバーブは活用価値があります。

リバーブを使うことのメリット

音に深みや奥行きを出したい時にリバーブは効果的ですが、掛けすぎると音の輪郭が薄くなり、定位も悪くなります。しかし、ジャンルや曲調によってはリバーブの掛けすぎが逆にハマることもあります。

例えば、アンビエントなど環境音を使ったジャンルは、あえて音に広がりや深みを出すことで良い仕上がりになる場合もあります。

ボーカルに深めのリバーブとディレイを合わせ、フロントではなくバックグラウンドサウンドと同調させることで、神秘的、ミステリアスな雰囲気に仕上げることも出来ます。アンビエントやシューゲイザーなど、雰囲気や演出に重点を置いたジャンルでよく見られるアレンジです。

リバーブでEQはどう変わる?

EQ

アコギにリバーブを掛けた時と掛けてない時の2パターンでEQを見ると、後者の方は低域が膨らんでいます。原音の輪郭を極力維持したい場合は、ローカット、もしくはリバーブを浅めに掛けるなど、工夫が必要です。

上手く使いこなせれば、音の層が薄いセクションや、思い切って曲調を変えたいときなど、シーンに応じて様々な演出が可能になります。

リバーブの量を増やせば増やすほど、低音が盛り上がってきます。それを活かす方法もありますが、容易なテクニックではありません。ベストな量感はヘッドホンでは判断が付きづらく、スピーカーでモニターしないと難しいかもしれません。

おすすめのリバーブプラグイン

RAUM - Native Instruments

Native Instruments RAUM

筆者が最もおすすめするリバーブです。ウェット感を出したい時や、アンビエントな空間再現をしたい時など、オールマイティーに対応します。

  • ルームスタイルのGROUNDED

  • ホールスタイルAIRY

  • 実験的なスタイルのCOSMIC

3つのモード選択が可能で、ジャンルに合わせて柔軟に使い分けられます。モードによって大幅にインターフェースが変わることもないので、扱いやすく初心者にもおすすめです。

RAUMはKOMPLETE STARTに収録されています。これが無料で使えるのは正直驚きです。

リバーブに限らず、高額になればなるほど、プラグインは機能が充実します。その分インターフェースも複雑になります。

楽器のパフォーマンスを最大限に引き出せると思えれば、無料プラグインでも全然OKでしょう。

有料のリバーブだと、シチュエーションやマイキングを設定出来るものもあります。こだわりたい人は有料版を検討しても良いでしょう。

ポスプロやオーケストレーションのミックスは、サウンドキャラクターを考える上でシーンは重要な要素なので、パラメーターの細分化はより精度の高いリバーブを得られるでしょう。


空間系のエフェクトはCPU負荷が大きい

リバーブやディレイなどの空間系エフェクトはCPU負荷が大きいため、個別にインサートしていくと作業に支障をきたす場合があります。

前回の記事では、ステムにインサートしたプラグインはステム直下のトラックにも適用されると書きました。

上記の応用で、リバーブ(プラグイン)だけのバストラックを作ればCPU負荷を抑えられるだけでなく、効率的にエフェクト処理ができます。

一番簡潔なのは1つのリバーブトラックですべてまとめることですが、CPUに余裕があるなら複数に分けるのも全然有りです。ギターにはスプリングリバーブ、ピアノにはプレートリバーブのように、使い分けをした方がこだわりは感じられます。

実機のリバーブを使う

某鍵盤弾きのエフェクター
(ストンプボックス)

エフェクターにもリバーブはあります。このように、実機をDTMに活用するのも一つの手です。写真は筆者の知り合いのエフェクターボードですが、鍵盤奏者もこれだけの量を使う人はいます。

実機にはアナログとデジタルの2種類があります。アナログは、ギターなどのアナログ信号を受けたらそのままアナログ信号で出力しますが、デジタルはアナログ信号を一度デジタルに変換して再びアナログ信号で出力します。

極端に言えばアナログリバーブは原音にそのままリバーブが掛かるため、音の濁りや劣化の影響をもろに受けやすい傾向があります。しかし、それがアナログ独特の良さとも言えます。

おすすめのエフェクターはUniversal AudioのDREAM '65です。筆者が現場に勤めていた頃、デモ機を展示していたので、休憩中にエレキギターと繋げてよく遊んでました。

チューブアンプをモデリング(リグ)しているため、温かみのあるスプリングリバーブは弾いてて心地が良いです。通常のリバーブエフェクターと比べ、リグタイプはスタジオやライブをシミュレーション出来るのも利点です。

アナログ基盤 イメージ

実機はコンピューター上で処理をしない分、CPU負荷を気にする必要がありません。

既に実機で音作りが完結している人は、自前のエフェクターやアウトボードを使い、プラグインは使わないという人も多いでしょう。

実機と組み合わせて音作りをするのはとても楽しいです。手元でメーターを調整したい人、PCのスペックが低い人はエフェクターを導入してみてはいかがでしょうか。

DSPのリバーブを使う

CPU負荷を気にせずリバーブプラグインを使いたい場合はDSPに対応したオーディオインターフェース(以下AI/F)を検討するのも良いでしょう。

※動作環境は各メーカーサイトでご確認ください。

DSPとは...

Digital Signal Processor(デジタル・シグナル・プロセッサ)の略称。DSPは演算方式でデジタル処理をするチップのことを指します。

役割は本来PCに負荷が掛かるプラグインの処理を、DSP内蔵のAI/Fが肩代わりしてくれるというものです。

当然ですが、DSPも無限大にプラグインの処理をしてくれるわけではありません。例えば100メモリを上限としたら、30メモリ消費するプラグインは最大で3個しか使えません。

Universal AudioのApollo Twin Xシリーズを例にすると、DUOはDSPチップを2個、QUADは4個積んでいます。チップの数が増えれば増えるほど価格も高くなりますが、その分プラグインは多く使えます。

基本的にDSPのAI/FはDAW上だけでなく、スタンドアローンで専用アプリを立ち上げ、その中でプラグインを使うことが可能です。操作自体はPCで行います。

プラグインを挿入して、メモリの上限を超える場合は「これ以上は使えないよ」というエラーメッセージが出てきます。

その場合は、バウンスやサミングで上手いこと対処していきましょう。

Universal Audioの場合ですが、DSPプラグインの追加は基本的に有料です。しかも一つ一つがクソ高いです。その代わり、デジタル処理とは思えなビンテージサウンドを得られます。

しかし、シミュレーターとなるアウトボードを試したことがない人からすれば、どれだけ凄いのかは理解しづらいと思いますので、有料プラグインの価格は魅力的に感じないでしょう。

ソフトでもこだわりたい人は高額のリバーブプラグインを、リアルな質感やライブの感覚に近い効果を得たい場合は実機のリバーブを検討するのも良いですね。

リバーブはパートやジャンル問わず、使用率が高いエフェクトなので、プラグインで完結する場合、ステムやパラからセンドするパターンは覚えておくと良いでしょう。

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