流星のいない朝/Peacock Eyes

誰にも明かさなかった決意で、私は出来ている。

そんなふうに思うことがある。
たとえば今のような、クリスマスの月の夜明け前。

たっぷりと水玉を纏った窓を人差し指で撫でると、ひときわ大きな一滴になって垂れていく。

空はからっぽで、何も見えない。北斗七星、オリオン座、ふたご座の流星群…  みんな、きれいさっぱり品切れだ。

「流星群はね、一点から放射状に飛び出してくるように見えるよ。クジャクの羽根みたいに」

せっかく彼に教えてもらったのに、なんとなくテレビを見ていたらすっかり忘れてしまっていた。まどろんだ街並みの奥、地平線のオレンジの炎が、群青の底をとろとろと燃やしている。

今ごろ皆はお祭り騒ぎの思い出を胸に、ベッドですやすや寝息を立てているんだろう。

間に合わなかった決意のように、水のしずくは、不器用にまっすぐ下に落ちていく。つめたく街を浸す。夢を浸す。

誰にも明かさなかった決意で、選択しなかった夢で、私は出来ている。日常のちいさなクエストで得た宝箱と同じように、それらは胸の奥に大切に仕舞われている。やさしく包んだまま、使うことのなかった、嘘いつわりのない夢。もしも折り広げたなら、それは流星群のように、火花を散らしながら、どこまでも滑り転がって行けたはずだ。

いつかやり直そうと思う時が来るなら、思い切って今その夢のおくるみを広げてみよう。つめたい夜明けに浸っていないで、本当の夢を抱き上げるのだ。

まだ生まれたての、こわれやすそうな夢。それは、キンキンと美しい音色で鳴って、時計の針を巻き戻し、私のドリーミングな片割れを、もう一度呼び覚ます。

お願いごとを、してみようか。

一年が終わってしまっても、夢をちゃんと次へ持って行けるように。書きかけの原稿に、最後のピリオドを打てるように。現実と憧れが、いつかくっつきますように。それから、それから。

私の空に、ポーと燃える尾を伸ばした流星群が降りてくる。一瞬、炎をゆらして、地平線の向こうに転がり落ちる。

誰にも明かさなかった決意で、私は出来ている。

そして、いつかやり直そうと思う時が来るなら、。

選択しなかった夢のかけらがぎこちなく集まり、カチリと硬くはめ合わされて、クジャクの羽根のように、空を翔けてゆく。

そんなことを何度も繰り返して、きっと、未来は出来上がっていくのだ。



#ドリーミングガールダイアリーズ


---

Twitter、お気軽にのぞいてみて下さい。

そして、ちょっとだけPR

エンドロール』が発売されたばかりの西川タイジさんに帯コメントを書いていただいたZINEです。Web販売は現在時点でSUNNY BOY BOOKSさんのみですが、もしご希望があったら考えますのでTwitterからご連絡下さい。

リトルプレスやZINE、過去のWorksはこちらからどうぞ

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポート、メッセージ、本当にありがとうございます。いただいたメッセージは、永久保存。

嬉しいです。あなたにも、嬉しい出来事がありますように。
29

my手帖

【エッセイ】日々の暮らしのなかで気づいたことを綴っていきます。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。