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OrgofA舞台 「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」 稽古場レポート① 2024/01/08

OrgofAが名作 「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」 に挑む、再度。

本来「Same Time,Next Year」は二人芝居。二人の俳優が25年間を演じる。
初演に引き続きOrgofA代表・飛世早哉香がドリスを、遠藤洋平がジョージを演じるのだが、今回再演するにあたり、6人で演じるチームも作ってしまおうという。
同じ演目だが、同時期に二つのバージョンを楽しめる。ようやる(笑)

小野寺愛美・本庄一登 組 稽古場初稽古。

セットであるベッドが組まれている。
まずは本読みからスタート。

ドリス役・小野寺愛美、ジョージ役・本庄一登

本読みと言いつつ、2人とも持っているだけで台本をほとんど読まない。
あけすけな会話。時折感情的になるものの、落ち着いた穏やかな時間。
海外戯曲ならではの雰囲気もありつつ、海外戯曲ならではの感じにはしない、生々しい人間の会話にするぞという気概を感じる。俳優たちから、しっかり会話しようという意思を感じる。
とは言えやはり難しい。日本人に馴染みのある語順じゃない。やはりこれは大いなる挑戦である事に間違いはなさそうだ。

しかし。
愛美の言葉がバチンと当たる。
稽古場が爆笑に包まれる。
本庄が若干かわいそうになる。
すでに、とても面白い。

一場を読み終え、演出家の増澤さん開口一番ボソッと、

「あーおもしれっ」

なんていいスタートだろう。

演出家・増澤ノゾム

初稽古場での初本読み(ほぼ読んでない)だが、細かい演出が入る。

増澤「その前置きがさ、もうバカじゃん!」

自身の話など交え、丁寧にセリフや感情を共有していく。

ジョージのセリフの裏に隠れている浅はかで滑稽な意図。
ドリスの素直で情熱的な反応。
それにほだされまた進もうとするジョージ。

増澤「やった行為は一緒だけど、2人の生きて来た環境、2人の出す言葉に、2人の立ち位置の違いが見えたい」

そんなことは、言葉にせずとも、伝わってくるはずだ。演技は面白い!

一場を読み終えたところで休憩。

休憩中も、愛美と本庄はなんとなく稽古を始める。せっかく本番と同じ尺感のセットがあるのだ。稽古日数は限られている。体感しておきたいだろう。

休憩中ですよ〜

休憩明け、今一度、最初から。

ニュアンスが豊かになり、情報量がどんどん増えてくる。もちろんセリフは何一つ変わらない。でも伝わってくるものは全く違う。
増澤さんが稽古を止めつつ、言葉や態度や反応を細かく分析し、演出していく。
どんどんシーンが豊かになっていく。
言葉を連ねているだけでは、伝わってこないニュアンス。

台本持ってるとは思えない表情 というか全然読んでない

休憩明け、いよいよ立ち稽古。
冒頭から動きを丁寧につけていく。
ドリスの無邪気が炸裂する。ジョージの真剣がどんどん滑稽になっていく。

軽快なテンポで応酬される会話。
そこでストンと現状を共有する瞬間。
この芝居初の静寂、かもしれない。
コメディの中で、フッと、観客と共有する罪悪感。劇場が一体になるだろう。

コメディの中に一瞬差し込む悲しさ。本作の魅力の一つ。

増澤「ドリスの一挙手一投足が気になって仕方ない!」

言葉以外にも、例えば相手の存在自体にも、存分に影響を受ける。部屋に2人。影響を受けるものはお互いしかない。

増澤「ここで油断するために、その前に油断したい」

シーンを逆算して演出していく。
感情の大きな落差を俳優に要求する。
心と頭でいくつもの感情と目的が並行していないとできないだろう。
こここそ俳優の見せ場だ、とワクワクする。

増澤「彼女に振りまわされたい。彼女の全てに反応していけば、ジョージの魅力が引き出されていくと思うんだよ」

本作はどうやらジョージの受信が鍵らしい。

自分でいっぱいいっぱいのジョージ(笑)

愛美・本庄組の稽古初日が終わった。

素晴らしい戯曲が俳優を引き立たせること、演出によっていかようにもシーンが跳ねること、そして極上の会話劇であるということ。
スペシャルキャストを見逃すわけにはいかない、と強く感じた。

1時間後の飛世・遠藤組の稽古を見るため、稽古場に残っている2人。
そのうちセリフ合わせを始めた。
突っかかりながら、セリフの解釈を話し合いながら、辿々しく進み、そこに飛世が加わり、読み合わせはいつしか脱線しまくって、ただのSame Time,Next Yearについてのおしゃべりになってしまった(笑)

こうした雑談がまた、作品を、俳優を深めていくのだろう。
終始、豊かな時間。
この二人、どこまで伸びるというのか。
楽しみでしかない。


札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品

OrgofA 「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」

SCHEDULE
2024年2月3日 (土)14:00〜 / 19:00〜【SP】
2024年2月4日 (日)14:00〜/19:00〜【SP】
2024年2月5日 (月)19:30〜【SP】
2024年2月6日 (火)19:30〜
2024年2月7日 (水)14:00 / 19:00〜
2024年2月8日 (木)14:00〜【SP】 / 19:00〜
2024年2月9日 (金)14:00〜 / 19:00〜【SP】
2024年2月10日(土)14:00〜

【SP】スペシャルキャスト:場面ごとに演じるキャストが変わります
   小野寺愛美(EGG)×本庄一登(演劇家族スイートホーム)
   飛世早哉香×遠藤洋平
   太田有香(劇団ひまわり)×町田誠也(劇団words of hearts)
※記載がないキャスト飛世早哉香×遠藤洋平​となります

 各公演の「開場時間」は開演の30分前となります。
​ 未就学児入場不可
​ 自由席(椅子席、桟敷席)

TICKET
一般 ¥3500
U-25 ¥2000
学生 ¥1500

ウェブサイトからのご購入
ローソンチケット【Lコード:10052】
ローチケ電子アプリ
道新プレイガイド 
​https://doshin-playguide.jp

店頭でのご購入
​道新プレイガイド
〒060-8711 北海道札幌市中央区 大通西3丁目道新本社1階
[営業時間] 10:00~17:00 ※日曜定休

・札幌市民交流プラザチケットセンター
〒060-0001 北海道札幌市中央区 北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ2階
[営業時間] 10:00~19:00 ※札幌市民交流プラザ休館日を除く

・​セイコーマート
店内マルチコピー機からご購入できます
【セイコーマートコード】D24020301

会場/ターミナルプラザことにパトス
〒063-0811 北海道札幌市西区琴似1条4丁目 地下2階
※地下鉄 東西線「琴似」駅バスターミナル直通

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