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OrgofA 舞台「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」 稽古場レポート⑥1/22(月)

OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
公式サイト→
https://dtagmd.wixsite.com/orgofa/stage-20240203-sametimenextyear

飛世早哉香 × 遠藤洋平
第二幕、一、二、三場稽古

開始前、ゆるゆるとセリフ合わせを始める二人。
飛世にツボを押され、悶絶しセリフが言えない遠藤。出陣前のひと時。

二幕・一場稽古。
出会いから15年。ここでは1960年代アメリカのあの時代が鮮明だ。政治と文化。泥沼の戦争。二人の変わりようから、いかに激動だったのかが伝わってくる。

ジョージ役・遠藤洋平  ドリス役・飛世早哉香

時代の流れに乗り開放され自信に満ちていくドリスと、怒りや苛立ちを隠せない不安定なジョージ。二人はことあるごとに衝突する。決定的な思想の違い。歩み寄れないまま言い合い、ついにジョージは自身に起こった最大の現実を告白する。
たくさんのことを話し合ってきた。きっとジョージはドリスに伝えようと思ってここへ来ただろう。だが、どう言える?この心境をなんて伝えられる?ドリスにどう理解してもらえる?言えない、言いたくない、言いようがない。
その思いを聞いてドリスは・・・
二人の絆に改めて感動する。

頑固で素直 厄介だが愛おしい二人

二幕・二場稽古。
出会いから20年。
時代はやや落ち着いたが、二人はやはり激変している。ドリスとジョージの立場、仕事、思考。何があったのか。詳細は語られない。観客が想像力で補完してくれるだろう。自身の人生と照らし合わせながら。

ドリスは二幕・一場よりもさらに自身に満ちている。

この時代、ドリスが社会と対等に渡り合うには強い意志が必要だ。だからきっと強がってもいるのだろう。二幕・一場であれだけ不安定だったジョージが、ここではドリスを落ち着かせようとする。

ジョージとドリスの成長を見守っている気分にもなる

増澤「的外れてるんだよね。的外れてる方が優しさが伝わる」
  「上から頭ごなしにいかない。対等に話す。対等に話すよ、という意志」

ジョージの優しさは確かに的を外れている。ドリスの顔がほころぶ。そして、初めてのあの日みたいな笑顔。思わずこちらまで微笑んでしまった。

Same Time,Next Yearのこの部屋には度々電話がかかってくる。二幕・二場のこの電話は凄まじい。一見喜劇的かつ感動的だが、よくよく考えるととんでもないシーンだ。ジョージ。ああ、ジョージ。すごい人だ、あなたは。

ジョージの浅はかさと温かさ 興味深すぎる

二幕・三場稽古。
稽古を始めたはいいが、ぜんぜんプリセットをしていなかった俳優二人。いったんセッティングタイム。

飛世・遠藤「チャルマース爺さ〜ん」
増澤「はいはいチャルマース爺さんですよぉ〜」

増澤さんが老人声でちゃかす。

二幕・三場。ラストシーン。
出会いから25年。
ここまで二人を見てきて、これがラストシーンだと聞いて、どうやって終わるんだ??と思う。残酷だが、どちらかが死ぬ以外にこの物語が終わるとは思えない。

思いは通じ合っている。だが一緒にはなれない。悲しい。悲しすぎる。こんな形じゃなかったら。他の出会い方だったら。
いや、そんなことはないのか。あの日、ああやって会ったから。その後、何度も何度もピンチを乗り越えて、一緒にここまで辿り着いたのだ。
もし違ったら、なんて無い。この境遇のこの二人だからこそSame Time,Next Yearになる。その奇跡たるや。
決意がぶつかり合う。思いは叶わないのか。受け入れられないのか。悲しい結末、、、

と思ったら物語はまさかの展開に。思わず笑ってしまう。
馬鹿馬鹿しい、愚かしい、浅ましい、いやらしい、不躾で、失礼で、自分勝手で、身勝手で、
でも。愛おしい。

いい顔するなあ

二幕、通し稽古。
5年毎の歳月の経過を飛世・遠藤はどう見せるのか。

二幕・一場から二場へのギャップがすごい。痛烈な悲しみを共有し、そして5年。
ひょっとして、別人を演じ分けるより難しいのではないか?劇中描かれる悲喜こもごも、それ以外の喜び、悲しみ、、、365日 × 5年。大小の影響を日々受けて受けて、今に至るその過程。どんな整理をすれば演じられるのだろう。
劇中描かれる数時間と、その背景に存在する膨大な日々。ドリスとジョージの中に確かに在る、意識できること、意識できていないこと。語れること、語りようのないこと。
シーンを転換するための一分やそこらで、これらを全て整理できるわけがない。じゃあどんな事前準備が必要なんだ。俳優とは凄まじい能力者だ。気が狂うほどに。

世界一の勇者みたいなシーンで五場が終わり、ラストシーンの幕が上がる。

世界一の勇者 ご覧になれば意味がわかるだろう

二幕三場はとても穏やかな再会だ。
二人が語るあらゆるセリフが、自分に突き刺さる。苦しいし、うらやましい。
ラストにふさわしい告白。強い絆で結ばれているからこそ、分かり合っているからこそ相容れない。悲しく、苦しく、愛おしい。
そして、「来年の今日もまた」

まさに、人生を垣間見た。
劇的だった。だがどうだろう。二人の人生は劇的なんだろうか。平々凡々なんだろうか。それともどんな人だって二人のように劇的なんだろうか。

通し稽古を終えた飛世と話していて、彼女が最後にこう言った。

飛世「いい作品だよね。俳優ならぐううってなる」

確かに俳優として、この作品には出演したかったと思わされる。演出の増澤さんも度々「やりたいなぁ!」とこぼす。それは確かにそうなのだが。

演出家と俳優 休憩中の一コマ

二幕・一場からラストまで観て、人生って何なんだろう、と考えてしまう。人生に起こる大小無数のあれやこれや。そのほとんどは忘れていく。覚えていられることなんていったいいくつあるんだろう。あの大切な時間を僕は忘れてしまっているよ。仕方ないとはいえ、これがどれだけ悲しいことなのか。
ドリスとジョージは何枚二人の写真を撮っただろう。一枚も撮ってないのかもしれない。記憶は五感の中に、大切に大切に。再会と同時に全身からあふれ出す思い出。この記憶は本物だったんだと、夢じゃなかったんだと、一つ一つ、あらゆる感覚で辿って確かめながら、会えなかったこの一年を伝え合う。分かち合う。
人生ってなんなんだろう。生きるって、幸せって。得られたもの。失ったもの。叶ったこと。それをはるかに上回る叶わなかったこと。
ねぇ、あなたの毎日はどうだった?

OrgofAの舞台「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
ぜひ気軽に観て、泣いて笑って、おおいに発散され開放されていただきたい。
だが観終わった時、観ているその最中も、ドリスとジョージのこの物語はあなたの人生と深くリンクしているだろう。
劇場を出た直後のあなたと話したい。面白かったね!と笑い合いたい。
自宅に帰り、日々の生活を過ごし、ふと一息ついた時にこの作品を思い出す、そんな瞬間のあなたとも、この芝居の話がしたい。

札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品
OrgofA 「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」

SCHEDULE
2024年2月3日 (土)14:00〜 / 19:00〜【SP】
2024年2月4日 (日)14:00〜/19:00〜【SP】
2024年2月5日 (月)19:30〜【SP】
2024年2月6日 (火)19:30〜
2024年2月7日 (水)14:00 / 19:00〜
2024年2月8日 (木)14:00〜【SP】 / 19:00〜
2024年2月9日 (金)14:00〜 / 19:00〜【SP】
2024年2月10日(土)14:00〜

【SP】スペシャルキャスト:場面ごとに演じるキャストが変わります
   小野寺愛美(EGG)×本庄一登(演劇家族スイートホーム)
   飛世早哉香×遠藤洋平
   太田有香(劇団ひまわり)×町田誠也(劇団words of hearts)
※記載がないキャスト飛世早哉香×遠藤洋平​となります

 各公演の「開場時間」は開演の30分前となります。
​ 未就学児入場不可
​ 自由席(椅子席、桟敷席)

TICKET
一般 ¥3500
U-25 ¥2000
学生 ¥1500

ウェブサイトからのご購入
ローソンチケット【Lコード:10052】
ローチケ電子アプリ
道新プレイガイド 
​https://doshin-playguide.jp

店頭でのご購入
​道新プレイガイド
〒060-8711 北海道札幌市中央区 大通西3丁目道新本社1階
[営業時間] 10:00~17:00 ※日曜定休

・札幌市民交流プラザチケットセンター
〒060-0001 北海道札幌市中央区 北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ2階
[営業時間] 10:00~19:00 ※札幌市民交流プラザ休館日を除く

・​セイコーマート
店内マルチコピー機からご購入できます
【セイコーマートコード】D24020301

会場/ターミナルプラザことにパトス
〒063-0811 北海道札幌市西区琴似1条4丁目 地下2階
※地下鉄 東西線「琴似」駅バスターミナル直通

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