「ラフラフ」について本気出して考えた

「なんかnoteに書いてほしいことあったらください」とお題箱を設置して頂いたものから文章を書きます。なにかあったら投稿ください。内容は全部個人の見解です。よろしくお願いします。

頂いたもの↓

ラフラフというコンテンツについて、実際に板に立つ芸人としての自由なご意見を聴かせて頂きたいです。


まず僕に「ラフラフ」について話をさせてくれる場を設けてくれてありがとうございます。「ラフラフ」について色々話したいことはあるけど、知っている人も少ないし中々機会がなかったので、折角なのでこの記事で色々と書いて行こうと思います。多分芸人の中ではラフラフの関心が高い方だと思うので。(公式ツイッターをフォローしている芸人マジで僕だけでは?)

ただ僕は芸人でもあるしこういうコンテンツを好んで摂取するオタクでもあるので、立場が微妙な感じになりますがとりあえず思いついた事を書いていきます。

ラフラフのこと知らない人は上のリンクを読んでみてください。ワクワクが止まらない。

まず「声優が(キャラ上とは言え)コンビを組んで漫才をする」というプロジェクト、めちゃくちゃ面白いと思います。完全に応援しますこれは。世間的にはタイミング的にも「ヒプノシスマイク」の二匹目のどじょう的な扱いを受けてしまうのは仕方ないとはいえ、それでも「これならいける」という確信の元プロジェクトを発進させたと思うので期待しかないです。

ヒプマイ以前にもこういう文化はありましたし、ヒプマイが爆発的に売れた事によって他ジャンルでは追随しにくい風潮もありますが、それでも次のヒットを狙うなら個人的にも「お笑い」だと思っていたので期待通りのものを生み出してくれて非常に嬉しいです。

登場人物は「L1グランプリ」という架空の賞レースに参加するのですが、正直お笑い芸人やお笑い好きの人からしたらツッコミどころありまくりです。「優勝賞金5000万円」「参加資格は結成5年以内」「ファイナルラウンドの下位2組になったら解散・一年間活動禁止・一生共演NG」「アイドル活動もしなければいけない(この設定が個人的に最高)」など、おかしい部分しかありません。

厳格な(厳格なって言葉も変ですけど)芸人やお笑いファンはこの時点で拒絶反応を起こすものだと思いますが、正直そこらへんのリアリティなんてどうでもいいと思います。この設定のあり得なさがファンをワクワクさせるのであればいくら突飛でも問題ないのです。なので、この設定だけで引いてしまった人はもう少し踏み込んでほしい。この世界での戦いがどうなるのか興味がわいてくるはずです。

登場人物もそりゃ当然キャラが仕上がっているし、そもそも登場する形がコンビやトリオなどで最初からカップリングが出来上がっている状態だし、それに加え「元コンビ」とか「養成所の同期」とかそういう関係性も多分に含まれているので、下地はばっちり整えられていると思います。そもそもお笑いはそういう下地がしっかりしているので、それを2次元向きにしたらそりゃそうなります。

で、やはり大切なのはネタになってきます。芸人と言えばネタ、それは現実でもラフラフでも変わらないはず。↓幼馴染コンビのビヨンドの漫才です。

どうですか?見ましたか?どうですか?

”アニメキャラが漫才している感”すごくないですか?

最初見た時は僕も「本当にアニメのキャラがアニメの感じで漫才している」と思って、なぜか恥ずかしくて最後まで見れませんでした。それはおそらく「普段僕たちが見ている漫才と同じ感じで見てしまった」からだと思うんです。ライブでこの漫才をしているコンビがいたら多分ウケないと思います。フリーライブとかにいそうだけど多分ウケない。正直、この漫才で「腹よじれるぐらい笑った」「絶対M-1優勝できる!」って人はあまりいないと思います。でも、それは仕方ない事と言うかそれぐらい漫才と言うのは難しいものだし、やはり現実の漫才とフィクション内での漫才は完全に別物なんだなと改めて感じるきっかけにもなりました。(今度ドラマ化する「べしゃり暮らし」でも同じような話題がきっと出ると思います。原作の時点で結構あったぐらいなので。ただ”「お笑い漫画」ではなく「お笑い芸人の漫画」だからこれでいい”という言葉をどこかで見た時すごく腑に落ちました。)

最初からコアなお笑いのファン層をターゲットにしているわけではないと思うのでこれで問題ないのです。おそらくターゲットはアニメ好きや声優好きの方でしょう。その方たちが見たいのはお笑いファンをもうならせる質の高い漫才ではなく「自分たちが夢中になれるコンテンツ」なのです。

僕は最初、それには「面白い漫才が不可欠だろう」と思っていたのですがそれは違いました。例えば大好きなアニメでキャラ同士のコミカルなやりとりが流れたとして、それを「お笑いのネタ」として見るでしょうか。おそらく見ないと思います。愉快な会話はそのキャラ同士の関係性や物語を深掘りするためにあり「大爆笑させる」という目的では描かれていないはずです。

おそらく「ラフラフ」もそれに近いのではないかと個人として思うようになってきました。これは最初「お笑いをテーマにしている」という時点で見誤ってしまったものでもあります。

結局は「夢中になれるコンテンツ≒魅力的なキャラクターのやりとり」と言ってしまってもいい昨今の2次元コンテンツに置いて、”笑い”は最も大きな目的ではないのです。ラフラフにおける漫才のネタも「好きなキャラ同士がコミカルな会話をしているシーン」として機能しているのです。そう考えるとすべて納得がいきました。アイドル活動という設定もCDやイベントでは映えやすい楽曲を作れるという意味で必要不可欠だとわかります。

果たして今後「ラフラフ」はどうなっていくのか。正直、声優ファンからしたら目の前で声優が漫才をしてくれるだけでめちゃくちゃテンションが上がると思います。声優が歌をうたう事が当たり前になった今、声優がネタをするのが当たり前になる未来が来るかも知れません。ラフラフはそのパイオニア的存在になる可能性を秘めているのです。


同時期にほぼ同じコンセプトで始まった「ゲラゲラ」と同様、楽しみにしたいと思います。



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