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Keyball44組み立て記

最近知ったKeyball、踏み込んではいけないと思っていた自キの道を開いてくれました(けど、もう引退します、たぶん)。
まず61, 44, 39とある中で44を選んだ理由ですが、
○61だと大きすぎて分割キーボードの意味が(わたしの中で)半減
○39だとさすがに1レイヤーのキーが少なく不安
○ほかにも44キー製品がある
だったから。ふたつめは慣れの問題だと思うので、次は39かもしれません。

はじめての自作

まず私は無器用です。あと、はんだ作業はたぶん中学校以来一度もやっていません。そんな人がKeyballを作れるのか?と思いました。結論は作れます!実際Keyballを使いたくなってはじめての自作キーボードに取り掛かった例はネット上に数しれず見かけます。
なぜできるのか、たぶん理由はおもに2つ。
○ビルドガイドが丁寧で秀逸
○キットとしてのクオリティがすごく高い
から。

丁寧なビルドガイド。加えて巷には組み立て奮闘記があります。事前にしっかり読みましょう。
まずはアクセス数多そうな↓。

やらかしている人のほうが注意点が参考になるケースも多く、先人の経験は常に役に立ちます。失敗してアホな自分を顧みる気持ち、わかります。

準備したもの

みんな大好き遊舎工房。工具セットの基本セットを参考にほぼ同じものを揃えました。いろいろ探して安く買おうとしましたが、結果的にはたいして価格差なく、遊舎工房にお金を落としたほうが良かったと後悔。

はんだごては温度調節機能があって価格も手頃なFX600-02でキマリ。
こて先は付属のT18-Bで大方の作業は可能ですが、大きめの部品にはT18-D16のほうが作業性が良いと思います。

フラックスとはんだ吸い取り線は必需品。フラックスはいも付けになってしまったケースのリカバリに必須です。一度いも付けになると、はんだがくっついてしまうので、吸い取り線で取って新しいはんだにするか、フラックスを塗るかですが、フラックスを塗るほうがかんたんです。はんだ吸い取り線は失敗したときには必ず使うので持っていないといけません。ちなみに吸い取り線も品質があり、goot CP-3015が良かったです。他ではうまく吸い取れない製品があるので注意です。

はんだ線の太さは0.8mmが一番作業性が良かったです。1.0mmだとダイオードなど小さい部品はやりにくく感じました。逆に0.6mmだと大きな部品にははんだ線がたくさん必要になるのでこれも面倒(かつ0.6mmはんだ線は高いです)。LEDのために銀入で融点の低いはんだも使ってみましたが、結局はんだごての温度を低くすることがポイントなので、あまり必要性は感じませんでした。

フラックス洗浄剤ははんだ後の黄色い跡を消したいなら必須。あと地味に必要なのがアートナイフ。アクリルプレートの保護シートを手でめくろうとするとイライラゲームになります。アートナイフなどでスッキリ取りきりましょう。アートナイフは100均で手に入ります。

あと、何より重要なのはルーペです。おじさんなので見えないということもありますが、確実に作業するためにはルーペで向きを確認したり、必要に応じてはんだ付の状態を確認し、見込みで進めないことがもっとも大切でした(あたりまえ)。ちなみに卓上ルーペは↓を使いましたが、バランスが悪いので机にクリップしないと作業中にルーペが倒れてきてぷちパニックになります(経験談)。

先人たちの知恵を学ぶ。

自作キーボード界は偉大な先人達が数多くおられます。こうした人たちが創意工夫を重ね市場を作ったことで、素人でも作れるキーボードキットができていることは間違いありません。感謝しましょう。特にサリチル酸はしりたい情報を圧倒的な知識量踏まえてわかりやすく解説してくれていて、神のひとりです。

いざ製作

さて作り始めます。ビルドガイドを見つつ、失敗談も照らし合わせてわからないことが起こったら立ち止まって確認するようにします。
以下はつまづきポイントです。

【つまづき1】ダイオードがまじ米つぶ

最初にはんだ付けするのはダイオード。自キの人は慣れているのでしょうが、はんだ付けほぼ初心者が、ダイオードからやり始めるのは、いきなり苦行です。↓写真みれば解ると思いますが、10cmくらいのMX Ergoと比べてもこの小ささ。タイ米より小さいんじゃないかと思うサイズです。そもそもキットに入っていたダイオード棒はなんかのおまけなのかと思うくらいペラペラで、こんな重要部品が入っているとは思わなかったっス。

ルーペないとなにもわからないレベル

しかもこれ、向きがあるんだと(いや、ダイオードだからそうだろ)。。100回くらいビルドガイドとネット記事を確認してはんだつけし続けました。初日はこれで心身ともに消耗しギブアップ。ただ、逆に言えば、最初に一番むずかしい作業をやったことで、このあとのはんだ付けは楽勝でした(まだ動作確認してないけど)。無器用な人でもできなくはないけど、スタンド型のルーペと自分がちゃんと使えるピンセットは必需品です。

【つまづき2】LEDの発注数間違えた

LEDは59個必要です。商品ページにもビルドガイドにもちゃんと書いてあります。が、キーが44だし50個もあれば大丈夫だろと思って50個しか買いませんでした(バカ)。まあ、キーボードが光る意味あまりわかんないし、今使っているキーボードも光らせて使うことゼロなのと、あとからでもつけられるのでいったん省略。気持ちの問題なので無問題です。
→その後追加発注して装備、一発合格でした(はんだ付け上達したのかな)

レイヤで色変えるのやってみたい

【つまづき3】ピンソケットではんだ流入

ビルドガイドに以下の記載があります。
「ピンソケットの半田付けで半田が多すぎる(作業時間が長すぎる)と、ピンソケット内部にはんだが流れ込み、ピンヘッダが刺さらなくなることがあります。 半田がスルーホールに吸い込まれているように感じたら、その端子の半田付けは終了し、次の端子へ移ってください。」
よおく読みましょう。わたしはふーんくらいでしっかりピンソケット内部にはんだが流れ込みました。OLEDモジュールの保護プレートをつけるときにピンが干渉したのでニッパーで切りました。ちゃんと動作しているのでたぶん大丈夫。
→ちゃんと動作していませんでした。不安定動作からディスプレイ表示されなくなったため、OLEDモジュールを購入して修理しましたが都合5回失敗を繰り返し、ピンソケットを抜く際に力で無理やりやったせいか基板破壊が生じ、片側のOLEDが故障。ネットをみても皆さん困っていないようですが、私には鬼門でした。何度も失敗して結論としては、OLEDモジュールを挿して裏からはんだ付けをするのが最善と思います。最悪はんだが流れてOLEDが取れなくなっても、装着不備になるよりはマシという理屈です。Corneの「ビルドガイドは挿してはんだ付け」となっているように見えます。

【つまづき4】PCBソケットのはんだ不良>特定キー無反応

動作確認したところ、キー2つが無反応でした。ネットには白銀ラボのFAQもあって、はんだ不良の可能性大ということで早速やり直し。ふつうにうまくいきました。はんだ不良は見た目じゃわかんないものですね。(テスター買うのは面倒だなと思っていましたが、繰り返し作業するなら必要と理解)

つまづきは以上。想像以上にかんたんでスムーズに作業ができびっくり。

作業時間

Keyballの組み立ては時間配分ベースでいうと以下のプロセスに分かれます。
①ダイオードのはんだ付け
②LEDのはんだ付け
③キーソケットのはんだ付け
④その他もろもろのはんだ付け
⑤ネジ止め、組み上げ
所要時間は、初心者が丁寧にやる前提だと、
①3時間
②2時間
③1時間
④⑤1時間
の計7時間見当です。ただし前半の①②は細かい作業で消耗するので別の日にわけてやったほうが、疲労や集中力低下によるミスのリスクが低減されて良いように思います。よってよほど暇でない限り2日にわけて作業するのが初心者的にはおすすめかと。はんだ付けは基本に忠実にやれば難しいところはないですが、①②は付ける向きがあるので、ルーペで確認しながらのほうが安全です。ビルドガイドやネットでは「先に揃えて並べるとよい」とありますが緻密で生産性が上がる人用のアドバイスでした、がさつな私は並べても途中なにかにパニくって並べたのがぐちゃぐちゃになるので、意味なし。。

ここまでが苦行

LEDははんだごてを低温にするのが最大のポイントで、270℃設定で長時間熱を与え続けないことを意識すれば難しいことはなく、1個1個テスターで確認して・・という方いらっしゃいますが、壊さないようにすればいいのでそんな手間はかける必要ないと思います。あと、LEDは気持ちの問題なので必須ではないかも。Keyballのクリアなつくりは光らせるといい感じですが、そもそもキーボード使うときに自分はキーボード見ないので、光っている意味がありません。セットアップ時の気持ちはあがるので、そのくらいの効能だと思います。④のピンソケットはんだ付けは前述のとおり自分的最難関で今後もうまくやれる自信ゼロです。

Keyballのよいところ

まずキットの精度が非常に高いです。トラックボールのホルダーも取り外しやすいけれど落ちにくいという絶妙な設計と実装。基板やアクリルの制度も高く、困るところがありません。自作キットつくってらっしゃる方のキットはみんなこんな高品質なのだろうか。。だとするとホントすごい。スムーズに組み立てできるのは、この精度の高さが一番大きな要因だと思います。
あとはREMAP。初めて使いましたがめちゃ便利。

わかりやすいUI、公開されたものの参照は便利

こういうのをみると、既成品のキーボードであれこれ文句言ったりしているのは「井蛙には以て海を語るべからず=井の中の蛙大海を知らず」ってことだったんだなと思います。使ってみると、カラムスタッガードが初のせいかCVNMPあたりのキーでミスが多いけれどこれは慣れそうな感触。マウスが要らないのは本当に便利でこれは離れられなくなるかもしれませぬ。。あと何気にMX ERGOのクリック音がうるさかったのを改めて思い出したところ。静音スイッチならオフィスでも十分使えそう。→会議中の内職にも十分使えます。

このあと


茶系のトラックボールがほしい。。

キーマップはデフォルトだと使いにくいので、REMAPの公開キーマップを眺めながら自分に最適なものを考案。タイピングはやはりクセがあるようで、US配列をベースにしつつも一部キーは入れ替えるなど微調整は必須です。使い始めて半日くらいですが、キー数は44で正解。もう2キーあるといいなと思わなくもないですが、それ以上はわたしには不要。
テンティングまではやらないと思いますが、少々傾けたいのでAliExpressでシリコンのシャワーバリアを購入。使えるかわかりませんが。

いやぁ、初自作キーボード楽しかった。完成して終わってしまうのがなんだか寂しくなりました。次作りたくなる気持ちわかる気がします。(引退しますけど、たぶん。。)

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