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境界を越えるバス【閑話】/現地調査→記事作成の進め方

2022/10/16 初版公開
2022/10/18 一部追加

8月から執筆ペースを上げた結果、ついに現地調査が追い付かないという事態に陥っています(焦)。というわけで、今回は【閑話】として、どんな感じで記事を書いているのか、現地調査の方法を中心に、実際に記事にしている作業の流れについて、解説します。

多分、真似をしても、命に危険が及ぶような事態にはならないと思いますが、結構、手順とかが凝っている(と自分では思っている?)ので、精神的に疲れ切ってしまって日常生活に支障をきたす恐れがないとは言い切れないので、ご留意のほどを…m(_ _)m

地図を眺める

 全ては、まず、地図を眺めるところから始まる。いくらコミュニティバスでよく使われているようないわゆるマイクロバスサイズの車両を使っていても、自動車が通行できる道路が無いところで県境や旧国境を越えることは不可能である。その境界を越える道がある程度太い道であったり、国道や都道府県道の中でも主要地方道に指定されていたりすれば、そこにバス路線が設定されている/されていた可能性は、一般的には高くなる。が、必ずしもそうでないケースもあるので(例:「大師橋」や「多摩水道橋」など)、留意しておく必要はある。
 著者が地図を「眺め」て調査に行く場所を決めるのによく用いているサイトを、いくつか挙げておく。


 すべての地図の基本は、国土地理院が発行している地理院地図にある。紙媒体しかなかった頃は、どうしても更新間隔が十数年のオーダーになってしまい情報が古くなることも多かったが、web上にて見られるようになってからはで更新頻度が上がっている模様。特に登録などをしなくでも見られるので、利便性は確実に向上していると思われる。
 地図記号の制約?のため、道の広さの表現がアバウト、というか、おおざっぱな段階でしか分けられていないが、自動車が通行可能な道かそうでないかの区別はできる。国道や都道府県道などは着色されてハイライトされている。複数の地図で都県境の位置が異なったりした場合は、地理院地図が一番信頼度が高い(はず…)と思われる。


 道の太さが比較的正確に表現されていることと、市町村別や、ズームアップすれば市町村内の町や大字、更にその中の丁目ごとが色分けされていて境界が判りやすい、ということで、筆者は地理院地図と"mapion"を併用している。
 ただし、ある時期を境に、自動車が進入不可能な道かどうかの区別がつかなくなったとか、国道や都道府県道の色で着色された道は一方通行の情報が上書きされてしまって判別できなくなってしまったとか、カーナビゲーションシステム代わりに使ってる方々には不都合な点が増えてきてしまっている。バス停の位置表示も、古いデータ=随分昔に廃止になった路線のデータが残っていたり、最近の路線のデータが載っていなかったり、位置が不正確だったりするので注意が必要。
 筆者が現地調査に行く場合、調査は基本的に徒歩か実際にバスに乗るわけなので、バス停の位置以外についてはこの辺りの不都合な点は気になっておらず、バス停情報が古いことを逆手に取り『昔はこっちにも路線があったのか』と推測する手がかりになることもあるので、ほぼ、現地調査時には、手持ちのタブレットの画面に表示されっぱなしになってるサイトでもある。
 ただし、筆者現地調査に行く場合以外、例えば実家から自家用車でドライヴに出かける場合とかには、、、推し量って察してください^^;;


 使用頻度はそんなに高くないけど、徒歩でないと突破できない道の判別や、現在工事中の道などの情報が細かく反映されているため、その辺り絡みのバス路線(や道路)を調べたいときに使うのが、"open street map"。いわば、wikipedia の地図版とも呼べるサイトで、 多数の皆様のボランディア活動により成り立っているサイトである。
 道幅の表現は低解像度だと非常にアバウト、というか、主要な道路はどれも同じ太さで書かれているように見えるが、ズームインして解像度を上げていくと、最終的にはほぼリアルな道幅になり、バス停のほぼ正確な位置も上り下り別で知ることができる。バス停名は、かなり拡大しないと表示されないが…
 市町村境もわりと正確だが、表示があまり目立たないのが玉に瑕。ほぼ全世界中カバーしているようなので、日本国外で似たような企画を考えてる人、、、は居るのかなぁ? このサイトは日本語のみ対応だし…f^^;


 この他、「ゼンリンの住宅地図」が入手できれば、特に市町村や丁目などの境界が正確にわかる。かつては大手地図サイトは、ほぼ、ここのデータを基にしていた。が、最近は独自のデータベースに切り替えているところも多い→その結果精度などが落ちてしまったサイトも少なからず…orz 手に入れることができる方は活用してみるとよいかも。

バス路線を把握する

 実際には、国道や主要地方道であっても、都道府県境などを越える路線が設定された形跡すら見つからない場合もある。
 本来であれば、その地域にバス路線を持つ会社の公式サイトを片っ端からアクセスして調べる必要があるが、そのあたりの情報を(ご本人様の趣味活動(?!)の範疇にて)まとめてくださっているサイトが存在するので紹介する。


 Bus Service Map は、東京都・神奈川県・千葉県全域と埼玉県の大半のエリアと、そこを起終点として周辺の県まで直通する路線が、ほぼすべて記載されてるサイト。似た方向へ行く系統は良い塩梅に纏められた上で運転本数に応じて線の太さが変えてあるので、頻発路線なのかレア系統なのかも一目瞭然になっている。とても一個人が趣味の範疇で製作しているとは思えないレベルのクオリティである。
 全国そこここの、同じようにバス路線をまとめたサイトへのリンクが貼ってあるので、地方のバス路線を調べてみたいという欲求に駆られた方は、見てみると新たな発見があるかもしれない(が、あまりに、路線が廃止されすぎていてスカスカになってる地区もあり、絶望感に襲われる危険性?もあるので、その覚悟はしておくように…汗)。
 基本的には国土地理院地図と重ね合わせて閲覧でき、位置情報機能の使用/不使用も選択できるし、上述した open street map と重ね合わせることもできるので、利便性は極めて高い。
    現地調査中の筆者のタブレットにほぼ常時表示されている。


 茨城県内のバス路線については、上記の Bus Survice Map のカバー範囲から基本的には外れているので、こちらのサイトを利用することになる。このサイトも一個人が趣味の範疇で運営している。主要停留所の時刻表も見られるが、運行本数があまりに少ないところが散見され、現実の非情さ?を実感することもある。平日/土休日とマップを切り替えることもでき、土休日はエリア丸ごと完全運休となってしまう地区が多々あるので、利便性は高そうである。
 「…利便性が高そうである」と推定形になってしまったのは、筆者の調査範囲が、まだ、茨城県には達していないから、ということのみが理由である。ごく稀?に下見がてらこのエリアに行くときには、やはりタブレットに常時表示させるサイトの1つになっている。


  「埼玉交通情報」のサイト名が示すように、県内の路線バスバス以外にも鉄道の情報なども含めた総合案内サイト。やはり、一個人が運営するサイトである。表示範囲が市町村単位をベースに、小さい自治体はまとめてあったり、合併で大きくなった自治体は旧区分ごとになっていたりする。
 最大の特徴は、掲載されている路線の主要停留所の時刻表も見られたり、バス会社が公式サイトを持っていれば図面上にリンクが貼ってあったりする点である。
 まだ調査範囲が埼玉県エリアに及んでいないので、今後、お世話になる頻度が高くなりそうなサイトである。 


 余談になるが、筆者がこれまで調査したエリアの中では、筆者の個人的?な興味により調査範囲が静岡県(伊豆半島北部)まで入り込んでしまったことがある(湯河原千歳川の記事)。このエリアまで行くと、地元を走る東海バスや伊豆箱根バスのサイトだけが頼りとなる。路線やダイヤ情報がかなり充実しているが、幹線道路なのに路線が切れていたりとか、本数僅少でどうやって調査に行くのか考えさせられたりとか、そういった事態が頻発し、深入りするのを諦めていたりする。
 まあ、旧国境シリーズなので、熱海市・三島市辺りで神奈川県に接してる部分が何とかなればよいのであるが、熱海市でも南端の伊東市との境界とか、伊東市や伊豆の国市、伊豆市方面は無論のこと、西伊豆町・河津町・東伊豆町あたりの、路線網は一応つながってるが時刻表を見ると運転本数が非常に少ない(1~3便程度)エリアが多々あり、その実態がどうなってるのか、非常に気になっている。調査に行きたい気持ちは多々あるが、どうやって行くのか、今後の(永遠の?)課題である。

場所の特定が困難になった場合

 都道府県境や市町村境、大河川や大きな峠などの場合は、調査すべき「境界」となる地点がはっきり判ることがほとんどであるが、本シリーズ記事で取り上げている「旧国境」の場合、現代の行政区分と一致していない場合には、場所の特定に難渋することも少なからずある(実際、多々あった)。
 その場合は、その地区の古地図が掲載されているサイトを探して現代の地図と重ね合わせることになるが、筆者が頻繁に利用しているサイトを挙げておく。


 今昔(こんじゃく)マップ on the web は、大学でそちらの方面を専門にしている研究室が作成しただけあって、国土地理院発行の古い年代の地図については、情報が非常に充実している。大きな画面のパソコンやタブレットであれば、画面を2or4分割して新旧年代別の地図を比較することもできるし、使いこなせば、両者の地図の透明度を調整して重ね合わせて、現在地付近の昔の状況を把握することもできる。
 ただし、古い時代(特に第二次世界大戦前)の地図については、軍事上の機密から地図が意図的に不正確に描かれていたり、元々地図に描かれていないため情報が欠落している箇所も少なからずある。また、古い地図は基本的に手書きで描画されているので、それに伴う誤差もあり、実際、複数の図面をつなぎ合わせている地点でずれている箇所もあることにも留意しておく必要がある。
 あと、言うまでもないが、江戸時代以前には、伊能忠敬氏が全国を歩き捲くって測量するまでは全国規模の正確な地図は存在しなかったことも気に留めておく必要がある。


  少々古い情報になってしまっているが、徒歩で神奈川県を一周された方のサイトである。東京都一周にもトライされているが、奥多摩の山岳地帯で難渋されている模様。神奈川県一周のスピンオフ企画で、武蔵相模国境の踏破も実行されている。
 首都圏のいくつかの河川を源流まで徒歩で踏破する、ということも行われており、神奈川県境絡みや旧国境絡み以外でも、現在調査している場所の正確な「境界」が分からなくなった時などに、思わぬ情報が得られることもあり、先達の知恵?経験?として参考にさせて頂くことが多々あるサイトである。


 今更説明するまでもなく、廃道探索系サイトでは非常に有名で、現地実踏調査レポが非常に豊富な、超老舗サイトである。
 現役のバス路線が廃道を走ることは有り得ないが、路線や境界部分の歴史などを調べていて行き詰ったとき、同じような方向へ行ったレポートで、特に机上調査編を読むと、自分がぶち当たってる謎を解く鍵が見つかることが少なからずある。
 ただし、取り上げられている廃道そのものは、現地で入口をチラ見しただけで、「あ、これ、自分には、絶対、無理…」と思う物件?がほとんどである。活きている古道の類の場合は、自分の調査がてら同じ風景を追体験させていただくこともある。

記事を本格的に書く時

 文章については、初期の頃は Word などのワープロソフトを使って下書きしていたが、最近の記事はフリーのテキストエディタソフトをつかって概略だけ大雑把?に書いた後は、note へアップロードした後、note のエディタで細かい編集や校正を行っている。従って、ノートPCがオフライン状態では自分の記事の最新版が判らない、という状態ではあるが、タブレットで見られるのであまり不便は感じていない。


 筆者が友人に勧められ、テキストファイルのエディタとして永年使っているのが、この EmEditor である。Windows付属の「メモ帳」ではちょっと物足りないが、かといってそんなにいろいろな機能は要らない場合に有用である。何より軽くて速いのが良い。趣味の範疇でしか使う予定はないので、ダウングレードしたfree版を使っているが、本格的?に文筆業デビューできることになったら再考する予定である。残念??なことに今の所その見通しは無いが…


 文章の内容は、Wikipedia を参照して書くことが多いが、1つの記事を仕上げる際に最低でも3~5つぐらいの記事を参照している。詳細文献へのリンクがあれば飛んで行って、更にその先へと、複数のサイトを彷徨うことは日常茶飯事である。内容が食い違っていた場合は、明らかに誤記と思われるものを除いて両論併記とするように心がけている。

 バス路線や道路配置の概念図が必要となった場合、基本的にはWindowsに代々?付属してきた「ペイント」を使って、最初から描いていく。が、ベースとなる白地図があった方が説明しやすい場合には、無料で白地図を提供しているサイトを使わせていただいている。


 一番使用頻度が高いのが、この「白地図専門店」である。筆者はbmpファイルかpngファイルがあれば、そこから「ペイント」で加筆編集していけるので、無料版で事足りている。有料版を用いれば、エクセルなどのマイクロソフトオフィス系やフォトショップなどアドビ社系ソフトのデータ形式に対応した地図も入手できるので、その必要が生じたら、そのときに考える予定である。ちなみに自分はこれらのソフトで描画作業をしたことがなく、ペイントが手軽で事足りているので、無料版を愛用する結果になっている。手軽で事足りているが、たまに根を詰めすぎて大変なことになっているので、深入りには要注意である。
 なお、一部の町村について、地図データがないところもあることには留意する必要がある。自分は箱根町のデータを見つけられなかった…見落としか?


まとめ?

 以上、自分がよく使ってるサイトへのリンク集みたいになってしまったが、まあ、だいたい、こんな感じで記事の執筆を行っている。
 なお、文章を書く際には、ほかのサイトからのコピー&ペーストは行わず、似た(同じ?)内容でも、必ず自分の言葉で書くようにしている。稀に地名などで読み方が判らない漢字が出てきたときには、その部分だけコピー&ペーストすることもあるが、後でGoogleなどで読み方を調べて、きちんと変換されることの確認までは行っている。

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