【最終発表】二つ並んだ野晒しの墓標 朽ちた花飾り 葬ったのは誰ぞ?

古代ギリシアの市民は火葬が一般的であり、遠征先で戦死した者でさえも武具と共に火葬され骨だけが故郷に帰っていた。一方で、奴隷等はそのまま土葬されていた。
このとき、ポリュデウケス夫妻は、どのように埋葬されただろうか?
アキレウスとヘクトルを想像すればわかりやすいように、敵の兵士を丁寧に埋葬することは少ない。ポリュデウケス夫妻の遺体も野晒とされた可能性が高い。すなわち、腐敗が進んで、埋葬者が発見するまでに朽ちていったはずだ。
火葬が一般的な古代ギリシアにおいて、森野に朽ちた遺体は発見者には奴隷等と判別されないだろうか。しかし、2つの墓標に加えて花飾りまで作ってもらえている。身分を秘匿して暮らしていたはずのポリュデウケス夫妻が手厚い埋葬を受けられたのは何故だろうか。
双子が暮らし2つの野晒の墓標が並ぶアルカディアの山奥、地理的にも背景的にもオリュンポス山だと予想する者も多い。
オリュンポス山はアルカディアの中心地からは離れて、ほぼテッサリアとの国境に位置する。そして、テッサリアとは地女神の国である。
古代ギリシア、特にアルカディア地方やアテネ市民が火葬を好んだのは、死して土に朽ちるを厭い、四大元素説から浄火を好んでいたものだ。つまり、土に朽ちるを厭わない文化圏ではどうだろうか?
テッサリアは地女神の国であり、大地への信仰があついことも想像できる。
そう考えると、朽ちたポリュデウケス夫妻を発見したのがテッサリア縁の者であれば、丁寧に葬って墓と花飾りまで作ってくれることも十分にあり得る。
さて、ここでテッサリア縁の者は誰かという疑問が残る。
ギリシア神話で大地に由来する神としては地母神としてデメテルが浮かぶ。デメテルといえば冥王に娘を奪われた逸話でも有名だ。
翻ってMoira本編では冥王に奪われる娘としてアルテミシアが自然に連想される。それでは母親は?
イザドラか?デルフィナか?どちらも明らかに雷神に縁があり、地女神には馴染まない。
それではソフィーはどうだろうか?多くが語られないため、テッサリアと結び付けることにひとまず矛盾はない。
その上で、盲目で墓参りに向かえないアルテミシアの代わりに墓参りに行くこと自体はあり得ることではないだろうか。
あるいは身分がほとんど明かされないデルフィナがソフィーの教え子ということもあり得ることではないか。
いずれにせよ、ポリュデウケス夫妻を葬ったテッサリア縁の者として、ソフィーはあり得る説だと思われる。
葬ったのはオリオン説の派生。
こちらの場合、オリオンの出自は問わない。他国の忌み子でもただの奴隷でも構わない。
星女神の寵愛を受けたオリオンはその加護を受けて嵐から生還する。しかしその過程があまりにも奇跡的だったため、逆にエレフとミーシャの生存が絶望的だと思ってしまった。
双子は双子であるが故に互いの生存も再会も信じられたが、オリオンは共に過ごした時間があまりにも短かった。
それでも天涯孤独のオリオンにとって、唯一心を許した二人は家族のようなもの。話に聞いていたエレミシャの故郷であるアルカディアを目指し、辿り着いた先で二人を弔う簡素な墓標を立ててやる。
名前は刻まれていなかったため、その後それを見たエレフは育ての両親の墓と誤解したのだ。
「二つの墓標」というモチーフは『聖戦と死神 第4部 〜英雄の帰郷〜』にも登場する。
夕陽に染まる約束の丘に並ぶはシャルロッテとアルベール・アルヴァレスの墓標。
アルヴァレスとポリュデウケスは、
・国に仕える軍人であった
・殺されそうになっている王族(ローザ/エレミシャ)を救うために職務を離れた
・元の国に属する者(ゲーフェンバウアー/スコルピウス)に殺される
・その殺人者は雷槍使い(パーシファル/レオンティウス)に殺される
という共通点がある。
(余談だが、ブレデフォ2に登場する「二つの墓標」も2点目までは共通している)

ならばアルヴァレスの「彼の墓碑銘にはルーナ・バラッドが捧げた詩の一節が刻まれた」にも対応する事象があって然るべきだ。
Moiraに登場する「盲目の詩人」は暗誦詩人ミロス。
「葬った」というより「弔った」に近いが…ポリュデウケス夫妻の埋葬の際、墓碑銘にミロスの詩が刻まれたという方向性で考えてみる。

ミロスは一人で雷神殿へ向かう程にはアルカディアに馴染みがある人物である。例えばミロスはポリュデウケスの友人で、過去に隠遁先を訪れていたのではないだろうか。そしてエレフは幼い頃に家に来た老人としてミロスを記憶していた。
嵐に襲われた後、ミロスの居住地近辺(ホメロスの居住地という説があるキオス島だと都合が良い)に流れ着いたエレフがミロスを頼ったことが師弟の発端だったかもしれない。まだ幼いエレフに現実を告げられぬまま。

さて、時を戻して蠍襲来から間もなく。二人の埋葬にミロスが関わっていたとする。
ところでMoiraに登場するもう一人の詩人であるソフィアは、薔薇、蕾、菫、女(はな)、《花の命(じんせい)》としばしば花にまつわる喩えを用いる。そこで、花飾りを贈ったのはミロスに同行していたソフィアだというのは妄想が過ぎるだろうか。
いっそ妄想を重ねると、デルフィナの名の由来はデルフィニウムという花。ソフィアが「かつて烈しく愛した人」とはデルフィナなのでは。『聖なる詩人の島』時点で明確に死亡しているキャラクターはポリュデウケスとデルフィナしかおらず、作中で描かれている人物から選ぶならあながち突飛な発想ではない。
ポリュデウケスとデルフィナがそれぞれと縁のあった人物に、エレフとミーシャがそれぞれ救われていたなら、物語の対比として美しい。
葬ったのはイザドラ様説
自分の考察じゃありませんが、個人的にしっくり来てる説があります。

ポリュデケウス夫妻を死に追いやったのはスコピですが、夫妻の死を知り葬ったのはイザドラ様と養父の弟かもしれないと言われているカストルだと考察されていました。
野ざらしの墓ではありますが公演中の舞台セットの墓にはリースが供えられており
数年たった後でも誰かが墓を参っている証拠じゃないかと言われていました。
養父はアルカディアの双璧とはいえ大々的に葬儀を行うのが難しかったのかもしれません。
隠遁生活が逃げ隠れていた可能性もあります。
誰にも知られずひっそりと誰も来ないような山奥に名前を刻んで頻繁に墓参りをするとしたら
隠遁生活のきっかけとなったエレミシャのことを知っている人物ではないか?
というのが昔に見た考察です

- - - - - - ↑二次募集 - - - - -↓一次募集 - - - - - -

カストル(エレフとミーシャを兄が引き取って隠れ住むことになった際、他の者ならいざ知らず双子の兄弟に何も言わず離れたとは考えにくいため、具体的なことは言えなくとも都を離れる、もう戻ることはないだろうくらいは言ったのではないか。また、スコルピオスが軍を使って双子を探し回っていたのなら同じ軍に所属し、やがてレオンの側近になるほどの実力者であるカストルが何も知らないとは思えないため)
スコルピウスが自分で屠って自分で埋めた説。
二次創作でよく流行したかもしれないし、最期にポリュデウケスと会った(戦った)のは彼の軍だろうから、筋は通っていると考える。
スコ…の部下とかがコッソリ?
殺したという意味ではスコルピオス(運命の双子ラストでポリュデウケスとの交戦描写、その後スコルピオスは生きているので)、埋葬したという意味ではカストル(ギリシャ神話ではポリュデウケスと兄弟であり、忌み子を引き取った身内の様子を定期的に見に来ていたと思われるので)が妥当だと思います
葬ったのはスコルピオスだと解釈しています。

そもそもスコルピオスはなぜ、ポリュデウケスの居所を探し当てて「私のもとで働け」と勧誘しにきたのか。
いずれレオンティウスと敵対するつもりなのに、現在レオンティウスに仕えているカストルのその双子の弟を勧誘して、なぜ承諾される可能性があると思ったのか。
その疑問から、「レオンティウスが生まれるまでは、ポリュデウケスはスコルピオスの守役だったのでは?」という可能性が浮かびます。

レオンティウスが生まれてきたことで、心を預けていた守役すら【第一王子】に奪われてしまった怒り。
自分に剣を教えてくれた実力確かな勇者が、突然剣を捨てて隠遁生活に入ってしまったことへの疑問。
その理由がこの幼い双子だと気づいたときの憎しみと、ならば奴隷として売り飛ばしてやろうという悪意。
それらはすべて、親の愛が他の兄弟に向いていると知った子どもの慟哭にも通じるものがあると思います。
ゆえにスコルピオスがポリュデウケス夫妻の遺体を捨て置いたとは思えず、葬ったのも彼であると解釈しています。
野晒の墓標を立てたのは、実は生きていたポリュデウケスとデルフィナと予想できる。
アルカディアの山々には4人が暮らしていたにもかかわらず、野晒の墓標が2つしかない。
それは生死が不明なのがエレフとミーシャの2人だからではないだろうか?
スコルピオスがポリュデウケスをスカウトに来た後、エレフとミーシャはデルフィナと逸れて、なんらかの経緯から奴隷市場に売られてしまう。
当然、行方不明になったことから、育ての親であるポリュデウケスとデルフィナからは、死別したと思われただろう。
スコルピオスに降されたポリュデウケスが、後でエレフとミーシャの双子の墓標を立てたのではないか。
オリオンがポリュデウケス・デルフィナ夫妻の子供で、エレミシャの身代わりに忌み子として捨てられたという説がある。
この説を支持するなら、ポリュデウケスとデルフィナはオリオンにとっては産みの両親である。二人を葬ったのはオリオンではあるまいか?

「あの馬鹿が、王子…?」というエレフの発言から、オリオンは奴隷時代は自分の出自を知らなかったと思われる。
しかし逆にオリオンはエレフから「奴隷になる前はアルカディアの山奥に暮らしていた」という話を聞いていたとする。
アルカディアはイーリオン脱出後の三人の当面の目的地だったかもしれない。
すると嵐から生還したオリオンが二人との再会に賭けてアルカディアを目指すのは自然な流れだ。

そしてアルカディアの山奥へ至る道中で両親の存在を知るとすれば、イサドラは立場上容易に接触はできないから情報源は叔父でもあるカストルだろう。
例えばオリオンが傭兵として身を立てていれば直接会う機会があってもおかしくないし、生き別れた甥と同じ名で兄の面影を持つ子が現れたらこっそりと真実を告げるかもしれない。

そもそも捨てられた王子が誰であるかなど、市井の人々が噂していたことが違和感だ。
いち傭兵に過ぎない年若い青年が「アルカディアの双璧の片割れ」と急接近していたことから発生した周囲の憶測、あるいは、あくまでも真実を隠すためにカストル自身が流布させたカバーストーリーが広まった結果ではないか?

両親の健在に一縷の望みを賭け、エレフに先んじて到着したオリオンが見たのはとうに白骨化した二人の遺体。
オリオンは二人を丁重に葬り、神託によって自分と両親、友人達の運命を狂わせたアルカディア王デミトリウスに復讐を誓う…。

という知られざるRomanも、あったかもしれない

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