ThinkPad A275を1ヶ月間使ったレビュー

概要

ThinkPad A275 ――コストパフォーマンスに優れたモバイルPC
ThinkPad A275は軽量ボディにパワフルなパフォーマンスのAMD新世代PRO APUを搭載。指紋センサーによる高度なセキュリティを提供。高性能なグラフィックスで、プロフェッショナルの創造性を高め、ビジネスの生産性を高めます。(Lenovo談)

なんだか中身のない能書きがだらだらと連なっていますが、要するにA275はX270のプロセッサをAMD APUに取っ替えて、色んなものを犠牲にして面白さを獲得したじゃじゃ馬モデルということです。

私(@Mzrapid)も伊達に灼熱のAMD娘やってるわけじゃないので、A275が発表されてソッコーポチりました。Ryzen Mobile?待ってらんないですよ。

1ヶ月間ガッツリ使い倒しましたので、以下レビューを書こうと思います。


構成

Lenovo ThinkPad A275パフォーマンス

OS:Windows 10 Home 64bit

プロセッサ:AMD PRO APU A12-9800B (Bristol Ridge) 2.70GHz-3.60GHz

メモリ:DDR4-1866 16GB (Single)

ストレージ:SSD 256GB (PCIe NVMe OPAL2.0対応)

ディスプレイ:12.5型FHD液晶 (1920x1080 IPS 光沢なし)

バッテリー:3セル(23.2Wh)+6セル(47Wh)

キーボード:バックライト付きJIS配列

その他:Fingerprintあり、カメラ無し、スマートカードリーダー無し

価格:税込98,280円(eクーポン適用)

※カスタマイズによって上位構成に変更したものを太字で表記しています


処理能力の評価

まずは皆さんにAPUについて知ってもらおうと思います。

よくある誤解ですが、APUは「Intel CPUより高性能な内蔵グラフィックスを持った石」ではありません。APUのGPUコアは「CPUの助役として積極的に活躍してもらうための計算ユニット」という思想のもと、ハードウェアレベルで様々なテコ入れがされているものです。AMDのサイトにすっごくエモいプロモーションページがあるので、詳しくはそちらをご覧ください。

さて、処理能力ですが、これは可もなく不可もなく、でもすごいとこはある!という結論になろうかと思います。やっぱりベンチマークのスコアを見るとIntelの対抗馬にボロクソに負けてるんですが、かといって使い物にならないほど非力なわけではありません。Core mと比較すればよっぽどパワフルで、600dpiのA4フルカラー原稿がきっちり編集できます。かつて私はCore m5改めCore i5-7Y54のマシンを使っていましたが、こちらでは重くて不可能だった作業もちゃんとこなすことができます。(TDP4.5Wと15Wを比較してしまうのもナンセンスですね。すみません。)また、GPUコアが一回り優秀なのでDolphinでカービィのエアライドが60fpsでヌルヌル動きます。すごいでしょ。


発熱問題

ここからが本編です。こいつ、めっちゃ熱いです。もうびっくりするほど熱いです。どれくらい熱いかというと、今排気口のとこにトックリ置いて日本酒をあたためて呑んでいる感じです。

APUだし爆熱なのは想定内で、むしろやっぱ熱いぜ!と盛り上がっているところなんですが、頭を冷やすとこれはただの欠陥です。よくないですよね。

70℃くらいは平気でいきますし、ピーキーに動かせば80℃にも到達する勢いです。ファンの音には慣れました。あとキーボードとかめっちゃ熱くなるので、凍えた指先もすぐほころび快適なタイピングが行えます。もういっそのことキーボードヒーター搭載とかいって宣伝したらネタになるんじゃないかと思いますけど、どうですかLenovoさんAMDさん。

真面目な話、発熱というのはパフォーマンスに影響する問題がありますので、これはよろしくないわけです。要するにサーマルスロットリングというわけですが、過熱損傷を防ぐために、一定の温度を超えないようにクロック周波数や電圧を下げて対応する仕組みが備わっています。当然、処理速度は落ちてしまうことになります。

ところで、APUの熱によって周辺の構成部品がダメージを受けるのでは?という話題ですが、これについての心配はあまり必要なさそうです。HWMonitorでSSDの温度を監視していると、まあまあ40℃程度で安定しているからです。放熱設計はThinkPadの実績を信用しましょう。とはいえHDDモデルを選ぶ勇気は私にはありませんが。

あ、A275を持ち上げるときには十分注意してくださいね。背面とか火傷しそうなくらい熱いんで、びっくりして落っことしたりしたらシャレになりませんから。


ネットワークの接続安定性

A275のNIC(Network Interface Card)はIntel製ではありません。蟹さんです。

Realtek 8822BE Wireless LAN 802.11ac PCI-E NIC

これで懸念されていたのが、ネットワークの接続が不安定になるのではないかという事項です。

使ってみると、動画のストリーミング再生やダウンロードに差し支えることはありませんし、ネットも快適に使えます。しかし、Skypeで通話していると、音がブチブチ途切れて話になりません。Skypeを使うときだけ別のPCを引っ張り出してくることにしました。

蓋を開けてNICだけ交換する手もありますが、一筋縄ではいきません。実はA275含めThinkPadは使えるNICがホワイトリスト式に登録されていて、リストにないカードを挿してもBIOSレベルで弾かれてしまいます。誰か人柱頼む。


キーボード

おそらくX270と同一のものです。快適にタイピングできますが、キーの配置にやや難があります。

キーボードの左下の隅がCtrlじゃなくFnになっています。入れ替えることも可能ですが、刻印と食い違って脳がバグるので、気合で慣れることにしました。どうしてこうなった。

もっと深刻なのは、矢印⇧キーに隣接したPgUp/PgDnです。これには1ヶ月経っても悩まされ続けています。ThinkPadの矢印キーは伝統的に一段下がったところに配置されているため、⇦とか⇨を押すつもりでよくPgUp/PgDnを押してしまいます。画面がめっちゃ飛んでいってものすごいストレスになります。一応⇩キーに突起があったりキートップの形状が違ったりして誤操作防止の工夫はされているのですが、そんなものをいちいち確認している暇はありません。こいつは困ったぞ。いっそPgUp/PgDnをボンドで固めてしまおうかという意気です。

とはいえ素晴らしいところもあります。Home/Endが独立したキーになっているので、文章を入力しているときはすごく快適です。いやほんとに。


携帯性とバッテリーの持続時間

ThinkPadはズッシリ重たいことで有名です。A275もだいたい1.5kgくらいありますが、正直そんなに毛嫌いするほどの重さじゃないなと思いました。

重さにはきちんと理由があり、ガッシリとしたボディで剛性を確保してくれていると考えれば全然嫌な気持ちはしません。2kgとかあったらさすがにちょっと勘弁しれくれよという気持ちになりますが、1.5kgはギリギリ許せるレベルです。私にとっては。

続いてバッテリーの持続時間について。仕様書では10時間くらい持つぜということになっていますが、そんなわけはありません。だってAPUだもの。

使い方によって大きく変わるところですので言及が難しいところですが、

・USB給電のペンタブレットを使用

・画面の輝度を50%にして、電源プランはバランス

・CLIP STUDIO PAINT PROで600dpi A4フルカラー原稿をガシガシ描く

・作業用BGMとしてローカルに保存した音楽を聴く

この使い方で、4時間ピッタリで6セルバッテリーが空っぽになりました。3セルの内蔵バッテリーは非常電源くらいに思っているのですぐACに繋いでしまいましたが、実働で5~6時間程度なんじゃないでしょうか。背面をスリムな3セルバッテリーにすると、さらに短くなること間違い無しです。

X270用の72Whバッテリーが使えるという噂もありますので、どうしても苦しくなってきたらそちらの購入も検討しているところです。あ、腰のベルトに3セルバッテリーいっぱい巻きつけてリロードしまくるのもいいかもしれないですね。ダイナマイト自爆テロ犯と間違えられないように気をつけないといけませんが。


コストパフォーマンスに優れた?

A275のページを見ていると、やたらコスパコスパと言われています。

が、これはハッキリ言ってナンセンスです。この機種もといAPUを使いこなすには、APUの挙動と特性を理解して、各パラメーターを監視しながらじっくり味わっていかなければなりません。一番大事なのは信仰心ですね。これがないと、CPUとしての性能も中途半端で、GPUもぶっちゃけ大したことない、熱くて電力をバカ食いするだけの石と化しますから。そこがいいところなんですけど、それを理解するには大いなる悟りの境地に達する必要が出てきますので。赤き信仰心。

安さに飛びついてよく知らずに購入するときっとどこかで痛い目に遭います。AMD、そしてAPUを愛する気持ちがないのなら、あと数万円出して大人しくX270を購入なさってください。そっちのが絶対に幸せになれます。


結論

最高のマシンだ!!!買ってよかった!!!

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みぞらぴ

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