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感想たち

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本・漫画・映画・アート作品・舞台やパフォーマンスなどの感想をまとめています。
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平台越しのマツエ・レイ~「本屋さん、あつまる。」の個人的な記録~

2020年2月23日、日曜日の午後。気持ちのいい晴天で、2月とは思えない暖かさだった。 私は渋谷パルコ8階「ほぼ日曜日」に向かっていた。そこで開催されている「本屋さん、あつまる。」というイベントに行くためだ。告知には、本屋や出版社など8団体が本を出品するほか、トークイベントや飲めるスペースまであると書かれていた。 私が目指していたのは、赤坂にある書店・双子のライオン堂が出しているブース。厳密には、そのブースで1時間だけ「助っ人」をする予定の編集者、マツエ・レイ(仮名)であった

ポポリンピック―大切なものを大切にすることの大切さ、そして難しさ

2020年1月12日(日)、こまばアゴラ劇場で、ゴジゲン第16回公演「ポポリンピック」を観てきた。 今年8月に開幕する東京オリンピックから着想を得た「選ばれなかった男たちの物語」だという。 ゴジゲンメンバー6人(松居大悟、目次立樹、東迎昂史郎、奥村徹也、本折最強さとし、善雄善雄)に加え、客演で劇団献身の木村圭介が参加、7人態勢での舞台となった。 これまでのゴジゲン作品は、アパートの一室や部室などの空間で繰り広げられる私的な人間模様をモチーフにすることが多かった印象だ。しかし

立川談春35周年記念公演~玉響-tamayura~ 酢豚にパイナップルが投入された夜

落語×Jロックという衝撃2019年8月28日の夕方、私は渋谷のBunkamuraシアターコクーンにいた。「立川談春 35周年記念公演~玉響-tamayura~ 第二夜(ゲスト:なぜか尾崎世界観)」を観るためだ。 1ヶ月ほど前、たまたまイープラス(チケット予約サイト)のDMで、この公演の告知を見た。尾崎世界観率いるロックバンド・クリープハイプのチケットを以前買ったことがあったので、その記録をもとに自動配信されたのだと思う。落語とJロックのライブという不可解な組み合わせが気にな

「君が君で君だ」ねじれた片思いに身を捧げた男3人の青春

映画「君が君で君だ」に出会うまで この映画のDVDを手に取ったきっかけは、数年前にクリープハイプの音楽を聴くようになって、彼らのミュージックビデオをいくつか撮影した松居大悟監督の存在を知ったことだった。映像作家かと思ったら「ゴジゲン」という劇団を主宰しており、舞台、映画、ミュージックビデオ、テレビドラマなど様々なものを手掛けていることが分かってきた。作っているものを見ても、ミュージックビデオなのか短編映画なのか分からない作品があったり、映画のようにロケ地で撮影されているのに出