CXO Night #5:後編「場とデザイン」レポ

12/13(木)に開催されたCXO Night #5 に行ってきました。

今回はイベント後半に行われた「場とデザイン」のセッションについて振り返ります。前編レポはこちら

スピーカーはco-baなど以前から興味のあった事業を展開しているツクルバの中村さんと、社食堂など新しい場づくりを提案されている谷尻さん。そしてモデレーターはCXO Nightの主催でもある坪田さん。全員がプレイヤー目線を持ちつつも、経営や事業展開の中でデザインはどう関わっているのか、各々の考えや実践について聞くことができました。

----------

「場とデザイン」

【スピーカー】
・中村正広(@maa20XX)
株式会社ツクルバ共同創業者。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所、環境系NPOを経て、ツクルバを立ち上げる。デザイン・ビジネス・テクノロジーを掛け合わせた「場のデザイン」を実践中。

・谷尻誠(@tanijirimakoto)
建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE設立者。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、国内外で多数のプロジェクトを手がける。最近では「社食堂」や「絶景不動産」「21世紀工務店」を開業するなど起業面でも幅広く活動。

【モデレーター】
・坪田朋(@tsubotax)
UI/UXデザイナー。Basecamp CEO、Onedot CCO。livedoor、DeNAなどで多くの新規事業立ち上げに携わる。現在はUI/UXデザイン領域を中心にスタートアップ関連のデザイン/事業立ち上げをサポート。

【株式会社ツクルバ】
「『場の発明』を通じて欲しい未来をつくる」をコンセプトにプラットフォームづくり、空間デザイン、不動産などの領域で事業を展開。多様なチャレンジが集まる会員制シェアードワークプレイス「co-ba」は様々な事業・プロジェクトの活動拠点として全国に展開中。

----------

「場」に携わる経営

○ツクルバ 中村さん
・世間に言葉として認知される前から「デザイン経営」を実践。
・「場」とはリアルな「空間」から情報の「場所」まで様々な意味がある。
→実空間のデザインだけでなく、コミュニティやネットワークなど広義の「場」をつくる事業を展開している。

○建築家 谷尻さん
・建築家と起業家の両側面からの活動を展開。
・最近では、建築業界全体に通じる課題点を整備するようなプラットフォーム作りも進行中。
・「答えはそこにある=かたちにして分かる」を大切にしている。
→wantをhave toにするための実践や場がデザイン。

デザイン経営について

○デザイン経営とは?(中村さん)
・明確な言葉としては認知されていなかったものの、存在自体は昔からあった印象。
・クリエイティブとのかかわりにあるアート→デザイン→ビジネスの流れ。
 アート:0→1フェーズの生み出す力・作り出す力。
 デザイン:1→10のグロースと振り返り、整理の力。
 ビジネス:10→∞のマネタイズ、社会実装の力、マーケットの開拓。
→デザイン経営……ソーシャルバリューとエコノミックバリューのバランスをとること。

○プレイヤー・マネージャーの棲み分けのきっかけ(中村さん)
・マネージャーよりプレイヤー(実践者)の方が好きという感覚が無いわけではない。
・信用をもってバトンパスできるメンバーをきちんと組織することの大切さへの気づき。
・両者の立場を無理やり並行して中途半端なパフォーマンスになるのは事業にも組織にも一番良くない。
→「事業が続くこと」に対してベストな立ち位置であることを大切にする選択として経営者の立場にいる。

○「起業家」と名乗ることについて(谷尻さん)
・「自分はベンチャーなんだ」というマインドセットのため。
・プレイヤー精神で100%働くだけではなくクリエイティブな思考を経営にも生かそうと思うきっかけがあった(設計以外のできることを増やしたら売上や経営の伸びにつながった)。
・世の中で「別れている」ものの間をとっていく指針の表明。
→建築家・起業家という自身の肩書きも含め、かけ離れたものの組み合わせには「まだ世の中に認められてない価値」がつくれる可能性を感じる!

デザインや仕事との向き合い方

○自分の感覚を真剣に考える(中村さん)
・自分にきちんと向き合い、真剣に考えることがまず大事。
・自分が良いと思わないものを作りたくない。
→「作りたい?ほんとに?」という感覚は大事にしていい。

○自分の感覚を理解されないときの突破術(谷尻さん)
・仕事を始める時には、大前提として「嫌だと思うことはやらない」と宣言している。
・その分、相手に「Want」を持ってもらえる(仕事をしたいと思ってもらえる)かが大事。
→受発注的な関係だけでなく、目的意識を変えていく。

建築にとどまらない事業スタイルを志したきっかけ

○中村さん
・「宮下公園」をつくった(事業を仕掛けた)ナイキへの憧れから、作り手として上流工程を目指すようになった。
・初めから建築家や起業家を志していたわけではなく、キャリア的には不動産ディベロッパー→ミュージアムデザイン→カフェ運営などを経てツクルバを立ち上げている。
・ロールモデルは無かった。
→時代的に建築・不動産だけではないあり方を模索しながら自分のキャリアを作る感覚で進んできた。

○矢尻さん
・理想を追いかけるスタイルではなく「自分ならなれるかも」と背中を押してもらえるチャレンジを実践してきた。
・飛び込み営業のように、いろんな場所に突撃して知り合いや仲間を作りまくることも大事にしてきた。
→「ダメなやつが活躍した方が社会は共感して仲間が増える」という持論。

建築家×起業家だからこそできたプロジェクトは?

○中村さん
・co-baの事業スタイルや場づくり。
ベンチャーオフィス作りの新しいかたち
→中小企業のスタイルを脱して、ベンチャー的なスタートアップになれた。

○矢尻さん
自宅を事業化したこと。
・新しい利モデル、事業の展開をビジネスサイドとしてもデザインサイドとしても作れた。
→仕事を生み出すプラットフォーム開発。

事業をつくるときのこだわりやリサーチ手法は?

○中村さん
・まずは実際に体験することが最初のリサーチ。
・基本的にどんな事業も自分たちが経験してからでないと作れない
「深く(not 広く浅く)体験したこと」を活かして突き詰めていく。

○谷尻さん
・リサーチ手法としてはSNSなども含めて「数値が身近にわかる」ツールをよく使う。
・事業を作る上では「リアルな空間のポートフォリオやショーケース」をいち早く作ることで「未知をみんなが知りに来る」流れを回収することが一つの戦略になっている。
→オフィスの場合、「呼べる」「来てもらう」場としての価値を高くする。

○デジタル制作のような「作って壊す」プロトタイプはあるか?
・始めてから決めることも案外あるし、「場」という部分には建物自体に比べると寛容なところもある。
・ただし、後戻りできない部分の大きさは確かなのでリソースやスケジュールは確固たる価値観に真っ直ぐ向き合って定めることが重要。
→写真に例えると、デジカメ的に枚数を撮って選ぶのではなく、フィルムカメラのように限られた1ショットで狙いを定めていく作り方。

----------

後編「場とデザイン」のトークを通して感じたことは、「場」に対する問いやその答えの具体化として実践されるデザインが、新しい事業の成長や経営の軸につながっていること。また、色々なテーマに対して分かりやすい言葉で即座にレスポンスを返していく力は、経営者として組織をまとめたり、対外交渉する上でのコミュニケーション能力に通じている部分なのかなと勝手に思ったりも(逆に自分のデザイナーだけでデザインの話をしてしまいがちな言葉遣いは反省しなきゃな……)。場づくりにおいてただ空間を作って終わるのではなく、そこに入り込む人や物事、情報といった部分までデザインでどんなことができるか考え続けることがグロースやマーケット開拓といった社会実装・経営につながっていくのかなと実践例を通じて感じるセッションでした。

中村さん、谷尻さん、坪田さん、素敵なお話ありがとうございました!!!読んでいただいた方、ありがとうございました!

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

noteを読んでいただきありがとうございます。サポートは自分とデザインへの投資に充てたいと思います。

「スキ」ありがとうございます!今日のラッキーブルーは…ターコイズ!
23

n300

イベント系(メモまとめ、勉強メモ、感想殴り書き他)

いろんなイベントに行った時にメモした内容をまとめたり、殴り書きにした記事をまとめています。デザインもの多め。昔に書いた感想ベースのものはかなり拙いです。
1つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。