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【LASIK/PRK/ICL】屈折矯正手術についての備忘録


屈折矯正手術を受けるにあたり、色々なwebサイト等の文献を調べたので、その内容を備忘録としてまとめました。ただし、本記事は一素人により執筆されており、内容の正確性は一切保証しかねますので、あくまで参考程度にとどめてもらえればと思います。特に、リスクの部分に関しては、理解の範囲を超えていますので、基本的には触れません。


屈折矯正手術の分類

視力を矯正するための手術は、角膜の切削などによる再形成術(角膜屈折矯正術: keratomileusis)やコンタクトレンズを眼内に挿入する手術(implantable collamer lens: ICL)が代表的である。前者は、レーザを直接目に照射することで角膜を削るが、この時の照射方法によって、フラップ法(例えば、Laser-assisted in situ keratomileusis: LASIK)と表面照射法(例えば、Photorefractive keratectomy: PRK)に大別される。以下では、LASIK、PRK、ICLについてそれぞれ概説する。

LASIK

屈折矯正手術として、最も有名で広く知れ渡っているのがLASIKである。サッカーの本田圭佑選手や元テニス選手の杉山愛さんもLASIKを受けたことで知られる。この手術は日本では、2000年に厚生労働省からの認可がおり、一般的に行われるようになった。実際の手術では、角膜の一部を切ることで、フラップと呼ばれる角膜の蓋を作成する。その後、フラップの内側からレーザ照射(層間照射)することによって、角膜を削る。
自由診療なので価格はピンキリであるものの、おおむね10万円〜50万円程度と後述するICLと比べて、安価であることがメリットとして挙げられる。また、同じ角膜屈折矯正術であるPRKと比べて、視力の回復が早く、術後ケアの負担が少ないことも特筆される。ただし、目に強い衝撃が加わった場合には、フラップがズレる可能性があるため、格闘技やラグビーなどの高強度のフィジカルコンタクトを要する競技には向かない側面もある。

PRK

LASIKに先立って行われていた角膜屈折矯正術がPRKなどの表面照射法である。この術式では、角膜の最表面にある上皮を完全に取り除いてしまい、角膜の表面からレーザを照射する。上皮の取り除き方などによって、PRKやEpi-LASIK、LASEKなどと呼び方が変わる。上皮が自然に再生するまで、術後は1週間程度保護用コンタクトレンズを装用する。
フラップを作らない術式のため、耐衝撃性としてはLASIKに比べて強いとされる。このため、格闘技を生業とする方などは、必然的にこの術式を選ぶ場合が多い。代表例として、格闘家の朝倉未来選手はLASEKを受けている。その一方で、術後の痛みが他の術式に比べて、強いとされる。ただし、近年は手技や機器の発達により、痛みはかなり軽減されていることも付記する。この手術を受けるうえで一番ネックとなるのが、1年間程度と比較的長期間にわたり紫外線対策が必要なことである。これを怠ると、ヘイズと呼ばれる濁りが角膜に生じることで、視力低下などを招く。このような術後の痛みやケアの煩雑さからか、LASIKに比べると手術件数は一桁程度少ない。

ICL

近年急速に注目を集めている術式がICLである。この手術では、眼の虹彩と水晶体の間に特製のコンタクトレンズを挿入するインプラント手術である。挿入したコンタクトレンズは手術により取り外すことができるため、万が一の場合には手術前の状態に戻せる(可逆的である)ことがこの手術の特徴である。
近視が強度であるほど手術に必要とされる角膜の厚さが大きくなる角膜再形成術と比較すると、角膜を薄くすることで生じるリスクを回避でき、手術の適応範囲も広い。その一方で、患者の目の状態に応じて、レンズをオーダーメイドで作る必要があることもあり、価格としては、50万〜90万円程度と高価になりやすい。


LASIKとPRKとICLの比較

前述したLASIK・PRK・ICLをコスト、耐衝撃性、術後ケア、適応範囲の観点から比較する。

コスト

LASIKとPRKはいずれも角膜再形成術に区分される術式であり、使用する装置や器具なども類似しており、本質的な価格の差はほとんどない。使用する装置や角膜の厚さ、乱視の有無などに応じて価格は変わるが、おおよそ10〜50万円程度である。一方、ICLは50〜90万円程度である。

結論: (高価) ICL < LASIKPRK (安価)

耐衝撃性

フラップの有無の差でPRKの方がLASIKよりも衝撃性には強いとされる。一方、ICLにおいても、強い衝撃によりレンズがずれる可能性は否定できない。ICLとLASIKの耐衝撃性を比較している記述は少なく優劣はつけ難いが、某クリニックの医師に直接聞いたところ、ICLの方がやや優るという意見を頂戴した。

結論: (低) LASIK < ICL < PRK (高)

術後ケア

仕事復帰に関してはいずれも術後2〜3日程度の場合が多く、大きな差はないと思われる。一般的に術後の痛みに関しては、PRKが角膜上皮を完全に削り取る分、一番強いとされる。また、術後1週間程度までは、使用する目薬の種類が多い。ICLは、感染症対策のために、術後1週間程度は常時保護メガネの着用が必須である。ケア期間の長さでいえば、PRKの場合には、約1年間という長期間に渡る紫外線対策が必要である。

結論: (大変) PRK << ICL < LASIK (手軽)

適応範囲

LASIKやPRKの場合には、近視の度合いに応じて切り取る角膜の厚さが変わる。手術適応の有無は、主として近視の度合いと角膜の厚さによって決まる。したがって、強度近視の場合は、適応不可になる可能性が高まる。LASIKとPRKを比べた場合には、PRKの方がフラップを作らない分、必要とされる角膜の厚さは薄くなる場合が多い。角膜の厚さ以外の要求条件もあるが、一般的にはICLが手術の適応範囲は最も広いとされる。

結論: (狭い) LASIK < PRK < ICL (広い)


手術方法の選び方

格闘技などのスポーツをする方は、必然的にPRKを検討することになる。そうではない方であれば、いずれの方法も候補として残る。

前述したように、角膜形成術では、近視の度合いが高いほど削る角膜の量が多くなるため、強度近視の場合には推奨されない。具体的な目安として、-6.0D以下の場合には、ICLが推奨される場合が多い。

-3.0Dぐらいまでの弱度近視の方であれば、老眼になったときに裸眼で近くのものを見れることもあるため、屈折矯正をしない方がいいという見方もある。もちろん、それ以上に遠方を見るための視力が必要な理由があれば、手術をした方がいいということにはなる。

格闘技もしない、近視も中程度(-3.0D〜-6.0D)ともなれば、いずれの方法も選択肢として残るかもしれない。この場合には、何を優先したいかで選択することになる。例えば、安価で手っ取り早く回復したい場合には、LASIKが優れる。安価であっても最高の見え方を追求したい場合には、PRKを選ぶ場合もある。ドライアイなどの角膜を薄くすることに伴うリスクを避けたい場合には、ICL一択である。

いずれにせよ、ここには示していないようなリスクを考慮したうえで、手術をしないことも含めて、手術方法を選ぶ必要がある。

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