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『Cheval's palace is here』INORAN(思い入れのある曲シリーズ)

数日前にLUNA SEAを取り上げたところですが、今回はINORANソロの名曲『Cheval's palace is here』について語りたいと思います。

まずは楽曲について語る前に、LUNA SEAのメンバーについての話を。

みなさんはLUNA SEAのメンバーで誰が一番好きでしょうか?
恐らくほとんどの人が時期に応じて好きなメンバーが変化していっているのではないでしょうか。
かくいう筆者もその通りで、まずは河村隆一ソロをきっかけにRYUICHIに惹かれ、続いて耽美的なパフォーマンスと強烈なインパクトのギターソロからSUGIZOに。
そこから今度はライブ映像を観てJのステージングがとんでもなく魅力的なところに引き込まれ、更に同じリズム隊の真矢の力強さと安定感にのめり込むと。

そうして他のメンバーを経由した後にINORANに辿り着くという。
このパターンの人って意外と多いのではないかと思っています。
(正直言うと自分はその後もその時々によって最推しのメンバーが変わり続けていますが)

これはINORANの魅力が他のメンバーと比較して劣っているとかそんな話では決してなく、バンドの中での音楽的な立ち位置によるものだと思います。

というのも、これも数多くの人が評していることだと思いますが、INORANのギターは楽曲における最後の一押しのような印象が強いのです。
他の4人のメンバーが強烈な個をもって楽曲の基盤を形成した上で、最後に何を足すと4+1が5以上の完全体となるのか。
その+1でこれ以上ないものを提供できるのがINORANの最大の魅力であり持ち味だと思っています。

といったバンドの中での立ち位置を務めていたINORANがソロアーティストとして活動するとどういった作品が出来上がるのか。
そこがやはり気になりますよね。

結論を先に言ってしまうと、これは時期によってかなり風合いが異なります。
初期はバンドの中の立ち位置そのままにINORAN個人としての主張はやや控えめな作品が多く(楽曲の骨子はまさにINORAN節といった様相ですが)、そこから徐々にINORANという個の強さが目立つ作品が増えてきているという印象です。
途中エレクトロに傾倒したチル的な作品もリリースしており、これはこれで魅力的。

この変遷の中の中間地点だと感じているのが5枚目のアルバム『apocalypse』。
超名盤ですよこれは。
特に好きなのが2曲目に収録されている『Cheval's palace is here』です。

まずこのタイトルどういう意味なんだろうというところで、調べたところ、フランスのCheval(シュヴァル)さんという郵便配達員の方が空想した理想の宮殿を実際に作り上げ、後年にはその宮殿が文化財として登録されたという逸話に由来するものだそうです。
確かに歌詞を読むと、その逸話とリンクした内容になっていることがよくわかります。

楽曲は重めの16分ノリの上に浮遊感のあるアルペジオとアコースティックギターの開放弦多めのバッキングが重なり、実質的なアルバムの幕開けに相応しい荘厳な雰囲気を醸し出しています。
とにかくギターの各パートがINORAN節満載といった構成で、どのパートに耳を傾けていてもINORAN好きは満足できるかと思いますが、やはり先述した通りINORANの最大の持ち味は楽曲の構成力。
全てのパートが重なり合った上での幻想的な雰囲気は垂涎ものです。

特にサビ後の間奏は派手な演奏は使わず、各ギターパートの組み合わせと転調でギターソロにも匹敵するような劇的な展開を生んでおり、非常に印象深いです。

ソロ活動当初は控えめだったボーカルもこの頃には力強さを増していて、歌の聴きどころも十分です。

LUNA SEAのINORANは好きだけどソロワークは聴いたことがないという方がいらしたら、この『apocalypse』から聴いてみるのは非常にオススメです。

『Cheval's palace is here』以外にも『Rightaway』、『9th』と同じくらいの熱量を持って勧められる楽曲が満載です。

まだ聴いたことがない方は、アルバム単位で是非聴いてみてください。


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