手料理
もう、帰る時は連絡してよ、
ご飯食べてくるなら、ちゃんと言ってよ、
妻が何回も言ってた
ずっと受け流していた
今ひとつその言葉の真意を汲み取らず、連絡もせずに、帰宅したり、家に着いてからご飯もう食べたって言ってた
悪気はなく、妻がどんな気持ちかわからないまま時が過ぎて行った
数年後、私が料理を始めて、妻や子供にも、そこそこ食べられると認められる料理が完成し、満悦の日々を過ごしていた
そんな中、料理を作るうちに、気づいたことがあった
作り手にとって最大の願いは、温かい料理を口にしてほしいということ
そう、料理の完成の時間を気にしだした
また、食べた人の感想を、心待ちにするようになり、美味しいと言われれば、お世辞とわかっていても嬉しく感じた
料理を作りだして、こんなにも食べる人間のことを考えるなんて、思っていなかった、作って配膳するだけが料理じゃないと身に染みてわかった
妻が帰りが遅くなり、料理が冷めて、その冷めた料理を食べる妻を見て、温かい料理を食べてほしいと思った
そして、遅くなるなら連絡くらい寄越せとおもった
この瞬間、妻のあの時の気持ちを理解してしまった、この気持ちは料理を作らないと一生わからない気持ちだって、、、
やっぱり何事もしてみないとわからないと思った
あー情け無い、ごめんな。
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