夢みたいに綺麗に消えていった5日間

2022年12月27日。
3日間の大阪遠征を無事に終え、ようやくラーゲリを観に行けるということでこの日私は朝からウキウキで映画館に向かっていた。


「Sexy Zoneファンクラブ会員の皆さまへ、大切なお知らせがございます」


そんなメールが来たのはものの数分後で、良い知らせとも、悪い知らせとも受け取れる文章と共に添付されたFCのURLこそがオタクの寿命を縮ませていくように思えた。
この上ない緊張感と、全身の震えに襲われながらも意を決してFCサイトに飛んだ私の目に写ったのは、"卒業" "退所"という文字だった。

時は遡り2020年8月12日。
突発性パニック障害の療養のため、活動を休止していた聡ちゃんが1年9ヶ月ぶりに復帰することが知らされた。胸が張り裂けそうなくらい苦しくて、不安で、寂しくてたまらなかった日々に一筋の光が差し込んだのと同時に、その気持ちが一瞬にして大きな安堵感へと変わり、涙に溶け込んだ。

「アイドルをやめようかなと考えたときもあったけど、そんな風に思う自分が嫌だった」

今回のドームで聡ちゃんが言っていた言葉。これを聞いたセクラバたちは何を思ったのだろうか。

お休みしていた期間は、聡ちゃんなりに沢山のことを考えて、悩んで、葛藤していただろうし、大きな恐怖心とプレッシャーに苛まれる中で「もう一度Sexy Zoneに戻って活動を再開する」といった決断をするには、私たちが計り知れないほどの勇気が必要だったはず。

そんな中で、"戻る" という決断をしてくれたこと、またアイドルを続けたいと思ってくれたこと、これらは奇跡以外の他ならない。

心の底から感謝の気持ちでいっぱいだし、人生かけてアイドルを全うしようとするその背中がとてもたくましく見えて「ああ、私この人を一生かけて応援したい」と感じた瞬間でもあった。

それからというものの、セクエボが5人での収録になり、19枚目のシングルであるNOT FOUNDがリリースされたり、5人のSexy Zoneとして怒涛の活躍をセクラバに見せつけてくれたすごく幸せ続きな毎日だったと思う。

10周年が迫ってきたこともあって、全体がお祝いムードに包まれ「こっからがSexy Zoneの時代だ!!」誰しもがそう思っていた最中、マリウスの休止が発表されたのだった。


マリウスは幼少期をドイツで過ごし、「みんなを幸せにしたい」という思いとともに日本へやって来てくれた。そして、わずか11歳という若さでデビューを果たしSexy Zoneとして活動を始めた。

アイドルの傍ら、現役大学生でもある彼は、すごく勉強熱心な一面があり、ジェンダーなどの社会問題や環境問題について積極的に発信している印象があった。

実際にSexy Zoneのグッズでは、「地球にやさしいグループでありたい」というマリウスの思いから考案された、ストローやエゴバッグ、マイボトルなどが発売されている。

そんな彼の取り組みから、環境問題について考える機会が増えたセクラバも多くいるのではないだろうか。私もそのうちの一人で、毎日欠かさず学校にマイボトルを持って行くようになった。

「Sexy Zoneを応援したいから、グッズを買う。」

単純明快かつ、オタクなら皆そう考えるであろうこの行動こそが、地球にやさしい取り組みに繋がっているのだと気が付いたとき、マリウスの偉大さをすごく考えさせられた。

それが今、2年の時を経てマリウスはSexy Zoneに帰ってきてくれた。

「時間はかかったとしてもいつかはきっと帰ってくる」正直、そんな風には思っていた。3人体制になったとき、聡ちゃんがお休みしたとき。どちらとも、最終的にはまた5人に戻っていたこともあって、そういう風に考えざるを得なかったのかもしれない。
だが、そういう考えこそがマリウスへのプレッシャーになってしまう気がして、ずっと気付かないふりをしていた。


そして迎えた31日。最初で最後のカウコン。悔しいことにあの場に立ち会うことはできなかったが、テレビ越しに会場の熱気と5人の迫力が強く伝わってきたのを覚えている。
5人のSexy Zone。5人のRUN。5人のステージ。1秒1秒を噛み締めるようにパフォーマンスを見守るも、涙無しでは到底無理だった。笑顔で送り出すという聡ちゃんとの約束も守れないまま私は年を越した。


「寂しくていいなって思います。それを隠す必要もないし、寂しく思わないでって思う必要もないし。みんな寂しいし、それが俺達だからっていうのは忘れずにに発信してもいいと思う。」

「Sexy Zoneは5人。その思いは死ぬまで一生変わらない」

本人たちの口からそんな言葉が出た以上は、やっぱりこの先もSexy Zoneはずっと5人であり続けるし、寂しいって気持ちに嘘をつく必要もないんだと思う。

そして第一に、「アイドルになって良かった」この言葉をマリウスの口から聞けて本当に良かった。自分がした選択は決して間違いではないと胸を張って伝えてくれたおかげで、今まで張り詰めていた気持ちが一気に緩んだ気がした。

お知らせが来たあの日からカウコンまでの5日間。泣いて笑って、でも最後には笑って、やっぱり、泣いて、笑って、泣いて過ごした。

マリウスありがとう、いってらっしゃい」「ずっとこの時間が続けばいいのに」

この2つの気持ちがどちらか片方になることなんてなく、私は元旦を迎えた。

夢みたいに綺麗に消えていった5日間ではあったけど、嬉しかった瞬間、辛かった瞬間、どの瞬間を切り取っても、そこには5人と過ごしたという紛れもない事実がある。

だからこそ、5人のSexy Zoneをこれから先も応援し続ける権利が私たちにはあるのではないだろうか。

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