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もしもシリーズ.1 プロフェッショナル〜仕事の流儀〜鶴の恩返し編

時代の移り変わりの激しい、東京・渋谷。
取材初日スタッフの前に、待ち合わせの時間より遅れ
鶴の出で立ちで現れた鶴田鶴は
話しかけずらい人そのものだった。

だが…

「遅れてごめんなさい」

素の鶴田は、すこぶる謙虚でシャイな女性。

「すいません、こんな格好で。さっきまでクライアントと一緒だったものですから」

消え入りそうな声で話す鶴田は、次の現場へと急いでいた。
鶴の着ぐるみの羽毛が風に舞うのも気にしなかった。

「そうですね。主に私たちの仕事は恩返しです。
それをいかにドラマチックにするか、私はそこに注力してますね。」

オフィスで着替えを終えた鶴田は、笑顔の素敵な
どこにでもいるような40代の女性だった。

しかし、スーツはヨレヨレでくたびれていた。

「あ、これですか?演出のひとつです。」
この後鶴田は初めて取引をするクライアントを訪問すると言う。鶴田の申し出によって、これから先のやり取りはカメラは回さず音声のみを録音した。

「ごめんください。私はこの辺りに人を尋ねて来ましたが、どこを探しても見当たらず、雪は降るし、陽はくれるし…ご迷惑でしょうが、どうか一晩泊めてください」

「それはお困りでしょう。こんな所でよかったら、どうぞお泊りください」

クライアントの家を訪ねた鶴田は、1時間後には、家族のような振る舞いをしていた。
「おじいちゃん。私、はたを織りたいから糸を買って来て。」
そして鶴田は神妙な顔でクライアントに告げた。

「はたを折り上げるまで、決して覗かないでください」

「はい、そうです。ここからが私の本当の仕事ですね。いかにクライアントの心に残るものをつくれるかですね。でも私、はた織り師ではないですから。私は、デザイナーです。それもお年寄りに特化したライフデザイナーですから。いかに、余生を楽しんでいただくか。私のいる意味ってそこにあるんです。」

それから数日後、予期せぬハプニングが鶴田をおそう。
クライアントが約束を破って、襖を開けてしまったのだ。

「おじいちゃん、おばあちゃん。もう隠していても仕方がありませんね。私は、このあいだ助けられた鶴です。」

(♫ぼくらは位置について 横一列でスタートきった〜)

鶴田は、不測の事態にも関わらず、落ち着き話見せていた。
そして、見事な織物をクライアントに披露した。

(♫ずっと探していた理想の自分てもうちょっとカッコよかったけれど〜)


恩返しとは?

「恩返しとは…ツル・ツルタです。
どう言うことか…恩返しを今後ツル・ツルタにしてしまいます。

それって、ツルの恩返しだな。みたいな…

今、はっ?って思っている人が自然とツルの恩返しって言えるぐらいの生き様を見せていきたいという自分への抱負を込めてこの言葉にします。」

(♫あと一歩だけ、前にすすもう)


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