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確かにあった科学では解明できない「力」。

ある時期、以前勤めていた会社の社長が夢に頻繁に出てきた。
あまりにも出てくるので少し気になっていたけれど、まぁ、こういう事もあるだろうと思っていた。でも、その後もちょくちょく出てくる。ある日夢の中で僕は自転車を漕いでいた。遠くの方で工場のような建物が大爆発する。火柱が上がると一緒に社長の顔が浮かんで消えた。そして僕の顔にはヒリヒリするような熱風が当たった。
目を覚ますと、もう社長に何かあったんだと勝手に確信した。その日の昼休みに以前勤めていた会社にまだいる後輩に電話した。
彼はとても忙しそうだった。
突然電話した事を詫びて、ちょっと世間話をした後、社長は元気?と聞いた。彼はそれまでの声のトーンを落として「実は入院してるんです。だから今結構大変で…
この間、サーキット場を借り切って撮影してたんですよ。消火器の。で、よせばいいのに社長が自ら火を起こして撮影の準備してたら、突然爆発して顔面を火傷したんです」。スマホを持つ手が震えた。僕にはどうやら超能力があるらしい。社長のことは心配だったが怖いのでお見舞いには行かなかった。それから数年経ち街中で社長を見かけた僕は思わず「社長!」と大きめの声で呼んでいた。社長は恥ずかしそうに「おお、ナカムラくん。でも、もう社長じゃないねん」会社は倒産したらしかった。少しだけしんみりしたので、僕はこの夢の話をしてみた。社長は「そういう話は結構あるんや。ワシも最近そんな事を研究しとるんや。でな、このブレスレットなんやけども…」社長はさらに胡散臭くなっていた。ブレスレットを僕に差し出すと「4,000円」と言った。僕はなぜこの人の事の夢を見続けたんだろう。少し悲しくなった。

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