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洗練された見た目の契約書を作成するために

 契約書審査をしていると、誤字や変換ミス等、形式的に洗練されていない契約書に出くわすことがある。

 契約書の内容がきちんと対象の取引に即したものとなっていることが重要であることは言うまでもないが、筆者は契約書が形式的にきちんとしたものになっていることも同様に重要であると考えている。

 形式的にきちんとしていないと、その契約書を見た取引先に「この契約書はきちんと内容が練られていないのではないか?」、「相手方は法的なルールに無頓着なのではないか?」、「相手方は契約書を軽視しており、契約書を取り交わしても、契約違反するのではないか?」などと疑念を抱かれるおそれがあるからである。

 契約書の形式がきちんとしていることで、ひとまず第一印象でこうした先入観を持たれることはなくなり、スムーズに中身の確認に入っていきやすくなる。

 以上が筆者が契約書の形式も重視する理由であるが、本稿では、よくある契約書の形式的なミス等についてランキング形式で紹介したいと思う。

 契約書を作成する際は、以下を参考に自分又は自社の場合はどうするというようにルールを決めておくとよいと思う(ただし、相手方提示の契約書の場合はある程度相手方に合わせなければならないところもあるだろう。)。

第3位 変換の不統一

 「及び」と「および」のように変換が不統一となっている例である。

 よくある変換の不統一の例としては次のものが挙げられる。

  • 「及び」と「および」

  • 「又は」と「または」

  • 「並びに」と「ならびに」

  • 「若しくは」と「もしくは」

  • 「手続」と「手続き」

  • 「支払」と「支払い」

  • 「通り」と「とおり」

  • 「ヶ月」と「か月」と「ヵ月」

  • 数字やアルファベットの全角と半角の不揃い

 検索機能(Ctrl+F)を使って変換の不統一がないかを確認し、変換の不統一がある場合には、置換機能で一挙に変換を統一することが望ましい。

第2位 接続詞の誤用

 「及び」と「並びに」や「又は」と「若しくは」の使い分けはきちんとできているだろうか。

 「及び」と「並びに」に関していえば、一番小さい段階の接続だけに「及び」を用い、その上の段階の接続に「並びに」を用いる。

   [魚]並びに[牛肉]及び[豚肉]

 また、「又は」と「若しくは」については、一番大きい段階の接続だけに「又は」を用い、その下の段階の接続については「若しくは」を用いる。

   [魚]又は[牛肉]若しくは[豚肉]

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