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とある東大生はかけ算に順序が必要だと考えます

2019/3/12 タイトルが誤解を招きやすいので、変更しました。
続きのノートを書きましたので、ぜひ「「東大生かけ算」についてのタイトルに関する謝罪と、たくさんのご意見について」をお読みください。

6人の子供に4個ずつみかんを配るとき、みかんは何個必要か。4個を6人に分けるから、4×6=24 で24個 ⇒ 正解6×4=24 で24個 ⇒ 不正解

小学校ではかけ算の順序も正誤に含まれる、というのが一時期物議をかもしていました。
もちろん本来かけ算では順序は不問です(4×6=6×4)。

結論から言うと、僕は初学段階においてかけ算には順序が必要だと思います。
(タイトルの「東大生」は、自分のことを指しています、東大生代表でも東大生みんなでもありません。東大生は〜と語る、と一緒です、未出の単語に使うa 東大生ってことです。分かりづらくてすみません。「30歳子持ちはかけ算に順序は必要だと考えます」って書くと、筆者を指すと思うのに、不思議ですね)

・その論拠
・この方針のデメリット対応策
・順序を気にしなくてよい場合

を書いていきます。

1.論拠

採点の方針を決める目的を定めます。
目的は、子供が将来かけ算やその考え方で躓かないようにすることです。

採点は、子供の理解度を定量化するためにあると思います。
順序を決めないと、問題を理解しているかどうか採点者が分かりづらくなります。
題意を理解していなくても、「6」、「4」、「かけ算」で、機械的に6×4=24という式が立てられるからです。

文章題で学ぶべき、
1. 文章題を理解
2. 答えるのに必要な材料を取り出す
3. 適切な処理を施して答えを得る

という一連の流れの大部分を身に着けていなくとも正解になってしまいます。
順序を取り入れて式の情報量を増やすことで、この問題で何をしているのかを子供が理解しているか、順序なしの時よりも採点者が汲み取れる可能性が上がると思います(バツをつけられると単に順序を変えて正解しようとする子供が出てくるだけという意見があるようですが、テスト実施→解答→丸つけして返却、の流れでは順序を変えて正答率を上げることは出来ません)。

また、文章題の読み取りは国語でやるものだという意見がありますが、そこを切り離すのは無理があると思います。
文章の読み取り→立式→答えを出す、という流れがあるのにそれを教科ごとに切り分けるのは不自然です。
流れを切り分けてもいいなら文章題など不要で、国語+九九で十分なはずです。

もちろん順序以外にも汲み取れるようにできる方法はあり、これが最適解かは分かりませんが、一つの手段だと思います。
(いかなる指導法を用いても、順番で汲み取れる量が変わらないor減るのであれば、順番は無意味でしょう)

採点のためなんかに、と言う意見があるようですが、子供それぞれの理解度を把握することでより適切な指導ができ、結局は子供の利益につながるでしょう。

かけ算の順序問題では教育と学問の混同が起きていると思います。
数学的に正しいかどうかは問題ではないのです(学問の中身を変えるわけではないので。採点ルールを変えるだけなので)。

また、数学者や物理学者にこの問題への有識者としての意見を求めるのは畑違いかなと思います。
小学校教育とは分野が異なるからです。
サッカークラブのコーチに、小学校の授業のサッカールールにオフサイドを導入するか、意見を求めるようなものかなと。

2. デメリットと改善策

しかし、反発する人の存在はそのまま方針のデメリットになります。

デメリット1答えはあっているのに不正解にされて子供がやる気をなくす、親が憤る

これは、答えは◯途中式は✖にする、順序を定める教育的意図を説明する等で解決が図れます。
意図が分からないままでは変なルールを押し付けられたという印象が残ります。

デメリット2かけ算をきちんと理解している子供にもルールを強いることになる

これに関してはデメリットではないと思います。
なぜなら順序には、かけ算理解の手助け以外にもメリットがあるからです。

3. 第二のメリット

順序が重要なのはかけ算の習い始めだけではないです。
例えば、

四角錐の体積は (たて) × (よこ) × (高さ) × 1/3 

ですが、
問題ごとにこの順序を変えてしまうと、どの数字がどの長さに対応しているのか混乱しかねません。
複雑な式や文字式をたくさん扱う程わかりにくくなります。
マイルールとして順序をしっかり決めておくことで、思考が整理され、無駄なところに意識のリソースを投入せずに済みます。

しかしマイルールだけでは足りない場合もあります。
他人に自分の式を見せるとき(プレゼンや、論文投稿、共同開発等)です。
共同作業をするときに、四角錐の体積を(高さ) × 1/3 × (よこ) × (たて) で書く人がいると余計なコストがかかります。
コミュニケーションコストもかさみますし、ミスの見落としなども増えるでしょう。

そこで共通ルールが必要になります。

「式」には、計算結果を出すための途中経過以上の意味があります。
「式」は計算の意図を示し結果に妥当性を与えるものです。

そしてそれは、採点者に理解度を示すということにもつながります。

4. 順序を気にしなくてもいい場合

順序を気にしなくてもいいとすれば、どの数が何を指しているのか、対応関係を明示するときでしょう。
最も有効な順序の明示は単位をつけることです(単位で数値を区別できるときに限りますが)。

6(人) × 4(個/人) = 24(個)

と書けば、より思考が整理され、相手にも伝わります。
逆に、ネットで散見される

6(人) × 4(個) = 24(個) 

は、それこそ学問的に間違っています( (人) × (個) の単位は(個) ではないから )。

しかし、 (個/人) のような単位はかけ算よりも後の知識になるため、算数では順序を定めるのが良いと思います。

5. まとめ

かけ算の順序を重要視するメリットを2つ挙げました。
・採点者が子供の理解度をより測れるようになる
・思考が整理できるような式を書く癖をつく

結局は他人もしくは自分に計算の意図を伝えるためです。
自分に伝われば、思考の整理につながります。
そして、問題は、教育側の「順序を定める意図」(もともとあったかは知りませんが)が伝わっていないこと、解答する子供(もしくは親)にテストで「理解度を示す意思」(これはしかし高学年で、かつ教育側の順序の意図を伝えた上でしか発生し得ないとは思います)がなかったことだと思います。

みなさんかなり「ルール」という言葉に敏感なようですが、かけ算の可換性を説明した上での「ベタープラクティスの推奨」、「詭弁」として捉えればいいのではないでしょうか。
「推奨ルール」なのにバツはおかしいと言うのなら、△や、注意書きに留めると言った折衷案も考えられると思います。
そしてそれらは、かけ算をより身に付けるためのフレームワークとしての順序、学問をより修めやすくするための教育での一時的な追加制限ですので、学問そのものとは関係ないでしょう。
初心者がサッカーを理解しやすくするために、とりあえずオフサイドなしの「サッカー」でみんなで遊んでもいいんじゃないでしょうか。

6. おまけ

陸上のリレーは 4 × 100m リレーと表記するのに違和感を抱きますが、最初だけ見てもリレー種目だとわかるように4から書くのでしょうか。
(追記 単なる外国表記の流用っぽいです コメントありがとうございます)

今回もお読みいただきありがとうございました。
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