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英国CHORD社DAC-AMP Mojo

皆様、Mojoってご存じでしょうか。Mojoもデジタルアナログコンバーター(DAC)を内蔵したヘッドフォンアンプで、イギリスのCHORD社というハイエンド・デジタルオーディオでは有名な会社が作ったヘッドフォンアンプです。

上記はMojo(専用本革ケースに入ってます)と、ONKYO DP-X1 です。

Mojoが面白いのは、DACにバーブラウンやESSなどの既存のDAC用LSIを使わず、FPGA(Field Programmable Gate array)と呼ばれるプログラムを書き込めるLSIを使ってDACを作っていることです(画像は http://sandalaudio.blogspot.jp/2015/10/chord-mojo-dac.html より)。

デジタルアナログ変換では、オーバーサンプリングというサンプリング周波数を2~8倍に上げて、本来必要でないデジタルノイズ成分(偽信号と言ってもいいです)を切り分ける処理が不可欠で、バーブラウンのPCM1792やESSのES9018などのDACはせいぜい8倍くらいまでですが、MojoはFPGAの中で2048倍までのオーバーサンプリング処理をしています(画像は4倍オーバーサンプリングの例 http://nw-electric.way-nifty.com/photos/uncategorized/2013/10/13/digifil05.png より)。

また、オーバーサンプリングだけでなく、デジタルノイズ成分をカットするためのフィルターも必要で、昔はこれを抵抗とコンデンサーを使ったアナログローパスフィルターを使っていました。画像は http://www.tij.co.jp/dsp/jp/docs/dspcontent.tsp?contentId=53937 より。

これを独自方式のWTAフィルターという方式で、完全デジタルでフィルタリングしています。これは、所謂FIRフィルターという、1つ前と2つ前のデーターに係数を掛けて足し算することでデジタル的にフィルターの役目をさせる、というものです。

上の例では参照する前後データ数(タップ数)が3つですが、これを1000とか10000とか数を増やせば増やすほど精度が増します。Mojoでは1つ前のHugoの26368タップと同じか、多いくらいのタップ数を実現しているらしいです。

量子化雑音を減らすためのノイズシェーピング処理は5次ノイズシェーピングだそうです(最上位機種のDAVEでは46個の積分回路を使った17次ノイズシェーピング)。

FPGAで生成されたパルス信号は、隣接しているトランジスタに入力されスイッチングでアナログ化されます。それがそのまま電圧変換されて出力され、デジタルアンプも兼ねるような構成になっています。HugoやMojoは「4エレメント」パルスアレイということで、各チャンネルごとに4つのトランジスタをアレイ化したものにパルス信号が送られます。CHOAD社ではこれを「パルスアレイDAC」と呼んでいます。

このように他社のDACとは全く違う構成になっていて、アナログの部品が存在せず、ほとんどの処理をFPGAとパルスアレイのトランジスタのスイッチング処理でそのままヘッドフォン出力されます。

その音は、ピュアそのものです。アナログ回路に伴う信号の劣化がなく、2048倍というオーバーサンプリングと高度なノイズ除去処理で、PCM信号処理でありがちな波形の崩れがほとんど出ないようになっています。

前にDSDの話で出した図( http://innocent-key.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/12/pulse_responce.jpg からの引用)ですが、既存のDACのLSIの処理では、短時間のパルス波形入力したとき、PCMではサンプリングレートが落ちるに従ってだらっとした波形になってしまっていることが避けられませんでした。Mojoでは、上図のDXDに近い波形になっていると思われ、限りなくDSDのときのアタック波形に近くなっていると考えられます。

実はハイレゾ音源の音が良いのは、周波数帯域が広がったためではなく、可聴域の波形の崩れが少ないからと考えられます。44.1kHzのCD音源でも、きちんと波形処理すればハイレゾ音源に負けない良い音が出せることをこのことは示しています。

Mojoの作り出す音はノイズは皆無で、1つ1つの楽器の音が極めてリアルです。特にギターやピアノなどの弦楽器、ハイハット、シンバルなどの打撃音が正確です。従来のDACでは気がつかなかったような音の存在まで気づかせてくれる、まさに空気感までも感じることができます。これがCHORDサウンドと呼ばれるものか...と納得しました。また左右の分離も正確で、楽器の立体的な位置が音で分かるような感じです。

Mojoはバランス出力はできませんが、正直言いまして、音質はPHA-3のPCM-DSD 5.6MHz変換のバランス出力がMojoのPCMのアンバランス出力に負けていました。例えて言うなら、PHA-3も大概クリアサウンドですが、そのベールをはがした感じがMojo、という感じです。バランスかアンバランスかはMojoでは関係ないみたいです。

ただ、問題はDSDで、DSD入力させると再生はできますが、音飛びしたりします。DSD音源は再生プレーヤー側でPCMに変換しておいた方が良いです。CHORD社はDSDには興味が無いらしいです😅

また、入力はUSBか、デジタル光入力か、デジタルコアキシャル(3.5㎜)だけで、アナログの入力はありません。内部完全デジタル処理のMojoですから、アナログ入力は余計な部品が増えてコストと大きさが増えてメリットないですから当然ですね😅。出力は3.5mmヘッドフォン出力のみです。LINE出力は音量+と-を押しながら電源ONで、出力が3V固定のラインアウトモードになり、3.5mmヘッドフォン出力から取り出せます。出力は大きめですが汎用DACとしても使えます。この時の音量カラーは紫に固定されます。

おすすめはDP-X1で出力はPCMで384KHzまでアップサンプリングさせてMojoに送るのが最も音が良かったです。

大きさもPHA-3よりもずっと小さく、SONYのPHA-3を越えた、全く、とんでもないDACポータブルヘッドフォンアンプだと思います😅

#オーディオ #AUDIO #Mojo #ポタアン #DPX1とMojoの組み合わせは最強 #ポータブルDACヘッドフォンアンプ

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