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SONY NW-WM1Z

SONYは9月8日にソニーの技術とノウハウを結集した、フラッグシップモデル「Signature Series(シグネチャーシリーズ)」のウォークマン®、NW-WM1Zを発表しました。無垢の無酸素銅削り出し金メッキで重さ約455gの超弩級ウォークマン®でニュースにもなりましたので、ああアレか、とお分かりの方もおられるかと思います(ソニーの逆襲が始まった - 約30万円の黄金ウォークマン「WM1Z」「WM1A」を聴く)。10月29日全国発売開始なのですが、正式発売前に入手ができましたので、簡単にレビューを書いてみたいと思います。

重さだけでなく音質も超弩級だった

最初にその気になる音質ですが、まだ使い出してから4時間程度ですが、その音質はポータブルデジタルオーディオプレイヤー(DAP)を越えた高級据え置きコンポの域に達したとんでもないものでした。電源を入れてすぐはDP-X1+xDuoo XD-05(OPA211I×2オペアンプ交換版)と大して変わらないかなと思っていましたが、早くも使用開始4時間程度でエージングが若干進んだのか音に深みが出てきました。なお、ヘッドフォンはSONYのMDR-Z7、ヘッドフォンケーブルはSONYのブレイド構造を採用した4.4mm5極バランス接続用のMUC-B20SB1を使用しています。

現時点では世界最高のDAPでは?

世界では高級DAPと言えば定価50万近いAstell&Kern AK380が有名ですが、それにも一歩も引かないレベルであると思います。AK380は音の透明度や解像度の良さを追求したデジタル的な音の良さなのに対して、NW-WM1Zは一つ一つの楽器の音や歌手の歌声がリアルかつアコースティックで、かつての高級アナログオーディオ的な音の良さを追求しています。かといって音の解像度が低い訳ではなく、演奏が始まる瞬間、歌い出しの気配から最後の音が消え入る様子までのまさにリアルなライブ感までも描き出すくらいの極めてレベルが高いものです。原音再生は当たり前で、それに楽器的な響きの良さやホールやライブの空気感までも感じさせるレベルまで到達したことが凄いことなのです。現時点では世界最高のDAPであると言えると思います。

使い勝手やユーザーインターフェースは良好

使い勝手はウォークマン®の歴史があり、洗練された使いやすいものです。下の写真のような別売の無線リモコンで再生/停止やボリューム調節、曲のスキップや後戻しが簡単にできますので、リモコンが一切使えないDP-X1+xDuoo XD-05とは異なり快適そのものです。DP-X1はAndroidをベースにしているためか、再生アプリが落ちてしまったり、たまにデジタルノイズが入ったりと安定性に若干の不安定さがありました。SONYオリジナルOSを採用したNW-WM1Zはそういったソフトウェアの動作の不安定さは初期ロットにも関わらず一切ありません。一部には動作がもっさりしているのではないかという指摘もありますが、一覧画面でアルバムカバーアートの画像が出そろうのにほんの少し時間が必要なくらいで、自分は必要にして十分な動作速度であると思います。

重さはあるが十分許容範囲の重さで使い勝手も良い

無垢の無酸素銅削り出しの筐体を採用しているため、重量は約455gとDAPにしては重いですが、普段からDP-X1+xDuoo XD-05(両方で473g)を持ち歩いている身にしてみれば大して重さは変わりません。それよりもxDuoo XD-05の電源を入れてもDP-X1はすぐ演奏開始できるわけではなく、認識に時間がかかったり、認識してもDSD出力が上手く行かないことも多々あり、メーカーの異なるデバイス間の連携の問題やソフトウェアの安定動作、そしてPCMアップサンプリングやリアルタイムDSD変換でDP-X1のCPUパワーを取られてバッテリー持ちが悪かったりと、良い音と引き替えに我慢を強いられていた部分も多く、その点NW-WM1Zは単体動作ですのでそういった不安定さはなく、バッテリー持ちもはるかに良いです。朝満充電の状態であれば1時間~2時間程度の連続使用ではバッテリーマークは全く減っていませんでした(DP-X1+xDuoo XD-05の場合はこの時点でかなりDP-X1のバッテリーを消耗していて再充電が必要な状態でした)。しかも、NW-WM1Zは充電しながら音楽を聴くことが可能です。DP-X1はmicro USBが充電端子を兼ねているので、DACアンプをUSBで接続してしまうとバッテリー持ちが良くないのにも関わらず充電が出来ないのが最大の弱点でした。

NW-WM1ZとNW-WM1Aは音作りの方向性が異なる

NW-WM1Aというモデルもあり、こちらもアルミ無垢削り出しのブラック塗装モデルで高級感があります。定価は約12万で安くはありませんが、NW-WM1Zの定価約30万よりはかなり割安です。音の方向性としてはアナログ的というよりは従来のDAPの延長線上にある高解像度かつシャープな感じで、NW-WM1Zの持つアコースティックな感じは強くはないですが、これでもDAPとしては十分なレベルに達しています。ただ、メモリー容量がNW-WM1Aは128GBで、NW-WM1Zは256GBという違いがあります。

DAPに何を求めるかで製品選択は自ずと決まる

アコースティックな音の良さを追求するならNW-WM1Zしか選択肢はないと思います。NW-WM1Aと購入前に十分試聴しましたが、アナログ的なアコースティックかつ濃い音が好みでしたので、NW-WM1Zは好みにまったく合致しました。それよりもデジタル的に解像度や透明度が高いサウンドが好みでしたらあえてNW-WM1Aというのも選択肢の一つかと思います。今市場に出ているDAPで11.2MHzまでのDSDネイティブ再生が可能かつNW-WM1Zのようなサウンドを奏でるものは他にはなく、価格は高いですが、好みに合致すればこんなに素晴らしいDAPはないと思います。

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