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ハイレゾ音源、そしてアナログレコードの音の違いについて

【はじめに】

16bit-44,1kHzのCD、96~192kHz、24bitのハイレゾ音源、そしてアナログレコードの音の違いについて、最近ハイレゾ音源とレコードの再生に対応した真空管アンプを導入したので、そのことについて論文風に考察してみたいと思います。かなりの長文ですので、その点ご容赦下さい。

【導入システム】

システムは英国のiFI社製のRetro Stereo 50という真空管式プリメインアンプと、同じくiFI社製のブックシェルフ型スピーカーLS3.5、アナログレコードプレーヤーはDENONのDP-500Mで、さらにカートリッジを同じくDENONのMCカートリッジDL-103Rとしています。トーンアームケーブル(フォノケーブル)はortofonの6NX-TSW1010R、電源ケーブルも同じくortofonのPSC-3500XG Silverとしています。電源ボックスはKRIPTONの電源フィルター回路入りのPB-111を使用しています。

【結果】

この状態でレコードを色々と聴くようになりましたが、光ファイバー接続したCDやPCのUSB接続によるハイレゾ音源の再生に比べてアナログレコード再生の方が音の豊かさと艶やかさ、音の広がりやその滑らかさが格段に上でした。デジタルの音源はハイレゾと言えどもアナログレコードの音の豊かさには勝てないようです。同じ曲目でアナログレコードの音を聞いてからデジタル音源を聞き直すと、かなり音やせしているように聞こえます。デジタルの音しか聞いていなければ、クリアーでいい音と思ってしまいますが、聞き比べるとその差は歴然としています。

【考察】

デジタル録音、再生装置において、ある波形を正しく標本化するには波形の持つ周波数成分の帯域幅の2倍より高い周波数(サンプリング周波数)で標本化する必要があります。サンプリング周波数の1/2の帯域幅の外側の周波数成分は、復元時に折り返し雑音となるため、標本化の前に帯域制限フィルタにより遮断してあります。CDのサンプリング周波数は44.1kHzで、あらかじめ、カットオフ周波数20kHzないし22kHz程度のローパスフィルタでそれ以上の音が入らないようカットする前処理が行なわれています。これまでCDは音に暖かみがないことや癒やし、やすらぎを感じにくい理由としてレコードと違いCDは20~20kHzで、20kHz以上の音が再生できないため、とされてきました。しかし、最近SACDの登場や24bit、96~192kHzで再生できるハイレゾ音源が普及し、ならばアナログレコードと同等の再生ができるのか、というとそうでもないことがだんだんと分かってきました。自分の場合はアンプとスピーカーセットは同一ですが、同じ曲目でもレコードとCDでは指揮者も違えば、演奏者も違いますので、厳密には比較ができません。しかし同じアンプとスピーカーセットで、アナログレコードをCD-Rに焼いて検討された方がいます。以下はそのブログの抜粋です。

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SACDが登場してから、ネットでアナログレコードの音について調べていると、今までアナログレコードの音が良いということでレコードを集めていた人がレコードを処分してSACDを購入したということを見かけるようになりました。

~中略~

私がアナログレコードの音に興味をもったのは、SACDが発売されて以降だったと思います。昔購入したビートルズのレコードを聴きたくなったので、そのついでにCD-Rにしておこうと考えCD-Rを製作したことがきっかけでした。

~中略~

それから、いろいろな所有するアーティストのレコードを再生してCD-Rに記録することにしました。いろいろレコードをCD-Rに記録するため再生した結果、レコードは音が良いのではないかという思いがしました。そのとき録音したCD-Rを聴いてみると、100%とレコードの音を再現したといえませんが、レコードの良さを十分に記録しており、かなり音質が良くCD-Rにできたように思いました。

~中略~

そこで、レコードを録音したCD-Rを友人に聴いてもらい判断してもらうことにしました。友人も『このレコードから録音したCD-Rの音は良い!すばらしい!』という評価してくれました。しかし、『ここで不思議なことに気がつきました。』CD-Rは、CDと同じスペックです。 ということは、20kHz以上の高音は記録できません。しかし、

『レコードからCD-Rにした音は良い』

これは、『アナログレコードの音が良い』=『20kHzの以上の音の記録説』

が成り立ちません。このことが、大変疑問に感じました。

私は、自分のアナログレコードの経験から『アナログレコードの音が良い』=『20kHzの以上の音の記録説』は間違いだったと考えています。自分に製作したCD-Rの音から、成り立たないからです。

私は、このときアナログレコードの音が良いのは『20kHzの以上の音の記録ができる』を何も考えずに自分で試さず信じていたことに深く反省しなければならなくなりました。オーディオで当たり前のようにいわれていた『20kHzの以上の音の記録説』をそのまま信じてて受け入れ、自分で試さなかったことに反省しなけれなならないと思いました。

http://www.audio-masterfiles.com/masterfiles/file06/file06-4.html

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恐らくこれは当たりだと思います。つまり、20Hz~20kHzの壁はどうも関係がないようなのです。また、自分は1982年頃のデジタルPCM録音されたレコードを持っていますが、そのレコードはCDみたいな無機質な再生をするかと言えばそうではなく、豊かで迫力のある素晴らしい再生をするのです。ここからは推測ですが、デジタルからの再生では倍音の豊かさが決定的に足りないのだと思われます。これは量子化bitをどんなに増やしても、サンプリング周波数をどんなに増やしても覆すことは恐らくできないでしょう。あくまでデジタルは音の大きさを認識しているのではなく、全て数値化してデジタルデータとして記録しています。2進数にしてしまうと、桁の大きい所も小さいところも差がなく、例えば桁の大きい部分で本来1である部分が0になってしまうととんでもない音になることが予想できます。CDには強力な誤り訂正アルゴリズムがありますから、ほとんど目立たなくなっていますが、完全に誤り訂正できているかちょっと怪しい部分もあります。その証拠に安い数万円のCDプレーヤーと、再生系に徹底的に手を入れて防振対策を施した高級CDプレーヤーでは音が違うという話があります。また、デジタルデータからアナログ・データに変換するD/Aコンバーター(DAC)もバーブラウン社などの名の通ったDACとそうでないDACでは音に違いがあるというもこれまで言われてきました。ただ、しかし、それだけでもないような気がします。

自分は超高級CDプレーヤーを持っていないので、断言はできませんが、恐らくアナログレコードの再生系そのものに秘密があるような気がします。レコードはご存じの通り、レコードの溝の微妙な凹凸を針でなぞって(こすって)、その針の振幅を磁石とコイルによる発電機構で電気信号に置き換えてそれを増幅して音にしています。この針が振動する、ということが大事なのではないかと思います。楽器も例えばバイオリンは弦を弓でこすることで豊かな音(倍音)を出しています。同じようにレコードも針がレコードをこすることで、豊かな倍音を自らが生み出している可能性があります。この倍音は非常に微妙なので、針先が磁石などの重いものがついていて慣性モーメントの大きいMM型のカートリッジよりも、軽いコイルがついている慣性モーメントの小さいMC型カートリッジの方が細かい音を拾いやすいので、MC型カートリッジの方が音がいいのかも知れません。また、起電力はMMカートリッジの方がMCカートリッジの10倍以上ありますか、この起電力の大きいのがかえって災いしている可能性があります。つまり起電力が大きいと言うことは、コイルと磁石の発電機構を逆にモーターのように作用させて、本来拾うべき信号を邪魔している可能性があるということです(動いた方向と逆の方向に力が発生...レンツの法則)。話が脱線しましたが、レーザーで0と1をピックアップしてデジタルデータから音を再生するCDと溝の凹凸から針をこすって電気信号に置き換えるレコードの再生方法の違いしかその音の豊かさの説明ができる理由が思い当たりません。昔、レコードの針の動きを光の強弱で電気信号に置き換えるレコード針があり、今もそれはグレードアップして製品として存在します(光カートリッジ http://www.ds-audio.biz/?page_id=20 )が、高級MCカートリッジ以上の素晴らしい再生をするそうです。全く針を使わず、レコードの溝の凹凸をレーザー光をトレースして再生するレーザーターンテーブルというのもありますが、一般的とはなっていません。もし、この方式でも豊かな再生ができるのでれば、針でこする=豊かな倍音再生理論は修正が必要になりますね。

【結語】

少なくともデジタル再生装置よりはアナログレコードの再生装置の方が、心地よさや音の豊かさという観点で優れていると言える。しかし、その理由については未だ科学的な解明や考察が十分なされておらず、未だ不明である。

長文おつきあい頂き、ありがとうございました。

#オーディオ #アナログ #レコード #AUDIO

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