見出し画像

iFi DAC-AMP micro iDSD Black Label

iFi micro iDSD Black Label(iFi micro iDSD BL)は今年12月16日に発売になった英国iFi社製のD/Aコンバーター(DAC)内蔵ヘッドフォンアンプです。これまでiFi社製のモバイルオーディオは銀色の筐体で統一されていましたが、今回のmicro iDSD Black Labelからは黒色となっています。これまでも銀色のmicro iDSDは2014年から発売になっていましたが、今回のmicro iDSD Black Labelは筐体が黒色になっただけでなく、クロック回路やアナログオーディオ回路、電源回路など様々な改良をされています。

開梱レビュー

外箱はこんな感じです。

蓋を開けるとこんな感じで本体が収まっています。

付属品です。USBケーブルをはじめRCAケーブルや3.5mmステレオミニケーブルなど色々付いてきます。本体持ち運び用のビロードの黒い保護袋も付属します。

正面写真です。この製品も6.3mm標準ステレオプラグとなっています。真ん中の3.5mmミニステレオプラグはアナログ入力用で、アナログアンプとしても本機を使用できますが、使うことはまず普通はないと思います。左右にXBass+®と3D+®のスイッチがあり、XBass+®は低域ブースト作用、3D+®はオンにすることでヘッドフォンやイヤフォンでよりスピーカーに近い音場効果を得ることができます。3D+®はDSPを使わずアナログ回路のみで構成されています。この機構はiFi独自のもので、原理は左右の音を適度に混ぜることで音場を広げるらしいのですが、どうも高域をやや持ち上げる効果があるようで、XBass+®と併用するといわゆるドンシャリ傾向になります。音源によっては不自然になることもあり、基本はどちらもオフの方が良いのではないかと思います。

裏面は光/同軸デジタル入力のSPDIF端子と、アナログ出力用のRCA端子、デジタル入力用のUSB端子となっています。USB端子はAppleのiPhoneのカメラコネクションキットを直接繋げるようになっています。

左側面は左から出力ゲイン調節用の赤いスライドスイッチと、出力信号の極性反転スイッチ、デジタルフィルター調節スイッチです。出力ゲインは3段階で調節でき、能率の高いイヤフォンであればEco、能率の低いヘッドフォンであればTurbo、それ以外はNormalです。特にTurboはこのサイズのヘッドフォンアンプではお目にかからないようなmax8.0V/4,000 mW 16Ωと大変強力で、駆動できないヘッドフォンはまずないかと思われます。SONYのMDR-Z1RMDR-Z7はNormal推奨です。このヘッドフォンアンプが大変強力であることは本機の最大の特徴と言えると思います。デジタルフィルターも3種類選べるのですが、色々聞き比べた結果、自分はStandardが一番好みに合いました。

右側面はUSB給電用端子で、本機をモバイルバッテリーとして使用することができます。

裏面にもスイッチがあり、一番左はRCAアナログ出力を固定かメインボリューム連動とするかを切り替えでき、右上のiEMatch®は出力ゲインをEcoにしても音が大きすぎる高感度イヤフォンの場合の調整用で通常はオフ推奨です。裏面にスイッチがあるので、本体を動かした際に不用意にスイッチがオンになる場合があり、付属のゴム足を本体底面の四隅に付けた方が良いかも知れません。

上はSONYのハイレゾウォークマン・NW-WM1ZBCR-NWH10充電クレードルを介してmicro iDSD Black Label付属のUSBケーブルで接続した写真です。SONYのウォークマンシリーズはWMC-NWH10ハイレゾ・オーディオ出力用USB変換ケーブルか上記BCR-NWH10充電クレードルでないとUSBでDACヘッドフォンアンプとデジタル接続できませんので要注意です。NW-WM1Z側のDSD出力はAuto設定できちんとDSD2.8MHzからDSD11.2MHzまで出力できました。

音質

気になる音質ですが、大変素晴らしいです。元々iFi社のDACヘッドフォンアンプは高解像度な音なのですが中低域が弱い印象がありました(iDSD nanoの時もそうでした)。このmicro iDSD Black Labelは高解像度な音は維持しながら、中低域の弱さを見事に克服してきた感じです。電源回路の強化や特注アナログオペアンプが効いている印象です。このDACヘッドフォンアンプはクロックが大変優秀なためか音の解像感が大変高くクリアーでかつ安定感があり、またヘッドフォンアンプも大変強力で音にパワーがあります。iFiはmicro iDSD Black LabelのライバルはポータブルDACヘッドフォンアンプではなく据え置きDACヘッドフォンアンプと考えているようで、まさにポータブルでありながらその音質と駆動力は据え置きオーディオとも遜色ない大変素晴らしいものだと思います。対応するデジタルオーディオフォーマットもDSD/DXD/PCMでDSDは22.4MHzまで、PCM/DXDは768MHz・32bitまで対応しており、バーブラウン製DAC・DSD1793をデュアル搭載で現時点では最高性能のDACヘッドフォンアンプであると言えると思います。

このヘッドフォンアンプを通して音を聴くと、NW-WM1Zも音色が綺麗かつ魅力的で大変良いのですが、アンプの駆動力が足りてない感じがあり、ポータブルデジタルオーディオプレイヤー(DAP)の限界をここでも感じさせられました。

気になる点

気になる点としては、micro iDSD Black Labelのデジタル接続用のUSB端子が充電も兼ねているところで、説明書によると先にUSBケーブルを接続した状態でmicro iDSD Black Labelの電源を入れるとUSB電源モードとしてmicro iDSD Black Labelが起動し、USBケーブルを接続させないで先にmicro iDSD Black Labelの電源を入れてからDAPとUSBケーブルを接続させるとバッテリー駆動で動くバッテリー電源モードで起動する仕様らしいです。しかし、実際ONKYOのDAP・DP-X1での接続で確認してみると、先にmicro iDSD Black Labelの電源を入れている/いないに関わらずUSB接続時にDP-X1はmicro iDSD Black Labelを認識し、どうもUSB電源モードとしてmicro iDSD Black Labelが動いている様子であることです。というのは先にmicro iDSD Black Labelの電源を入れた状態でDP-X1とUSB接続してmicro iDSD Black Labelの電源をオフにするとmicro iDSD Black Labelの充電中の青ランプが点灯してしまうからです。ということは、micro iDSD Black Labelの電源が入っていない場合はUSB接続している間ずっとDAPのバッテリーが減り続けてしまうことになり、持ち運びでは常にDAPとDACアンプを短めのUSBケーブルで接続したままにしてゴムバンドで両者を結束している使い方が多いと思うので、DAPのバッテリーが減ってしまうのはマイナスポイントと思いました。

あとはボリュームの動きが軽すぎるのも気になる点です。持ち運びだとカバンの中にDAPとDACを入れたままにしている場合が多く、ボリュームが軽いと動いている最中にボリュームが回転して音が急に大きくなったり小さくなったりすることになります。

micro iDSD Black Labelを据え置き運用する場合は上記二点は問題になりませんが、本機を持ち歩き用途で使う場合は注意する必要がありそうです。

あとは、最近流行のバランス接続に対応していない点ですが、本機くらいのレベルのDACヘッドフォンアンプになると非バランス接続でも十分満足できる音質が得られていると思います。音の広がり感が足りない場合は3D+®をオンにすれば良いのですが、その必要性も感じさせません。

総評

ポータブルでありながら据え置きオーディオクラスのパワーや高音質を実現した素晴らしいDACヘッドフォンアンプで、対応するデジタルフォーマットも広く、PCやUSBデジタル出力できるDAPとの組み合わせが最適です。ただ、持ち運び用途で使うのに当たってDAP側のバッテリーが本機の充電で使われてしまう可能性がある点、音量調節ボリュームが軽く動きすぎる点がマイナスです。

#オーディオ #ハイレゾ #AUDIO #ハイレゾオーディオ #microiDSDBlack #DAC #ヘッドフォンアンプ #iFI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?