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『顧客と事業に熱波を送る』顧客と業界のスタンダード刷新をリードするエンプラCSの歩き方

「カスタマーサクセス天下一武闘会2023」優勝しました!!

Leanerでカスタマーサクセスチームの責任者をしております織茂(@NaoyukiOrimo)です。この度、今年で7回目の開催で、オン/オフライン合わせて、当日約500名の方に視聴頂いた「カスタマーサクセス天下一武闘会2023」に参加し、優勝することができました!

SaaSのカスタマーサクセスに関わった約3年前から、私自身が多くを学ばせて頂いたり、過去の登壇者との出会いのきっかけとなった「CS天下一武闘会」で優勝できたことが素直に嬉しく思っています。優勝コメントでもお話しましたが、「カスタマーサクセスは顧客と業界のスタンダードをリードする責務がある」ことを信念に、日々仲間と顧客やマーケット、事業に向き合ってきましたが、今回の優勝をきっかけに改めて、SaaSを!日本!をカスタマーサクセスが震源地となって盛り上げて行きたいと思っています。
※CS HACKの皆さん、イベントを一緒に盛り上げて頂いたスポンサー企業の皆さん、準決勝、決勝をともにした戦友の登壇者、過去のイベントに登壇された全ての関係者に感謝です。

Gainsight絹村さん、日本のカスタマーサクセスをリードする熱い想いが素敵でした。

このnoteでは、決勝でお伝えしたプレゼンテーション(T1達成を加速させるNRR成長のポイント)について改めてまとめましたので、エンタープライズ顧客に向き合うカスタマーサクセス、セールス職の方、Bizメンバーと協働しプロダクトの進化に向き合うDevの方、事業を引っ張る事業責任者の方のお力になれれば幸いです。私自身、過去の天下一武闘会の登壇者の方の動画やnoteを拝見し、直接お話をお聞きする機会を頂いていましたので、このnoteをきっかけに事業やカスタマーサクセスについて熱く語れることも楽しみにしています。

※既にオンラインMTGやご飯やサウナの予定も続々と決まり、お話もできており、ありがとうございます!!

決勝プレゼンもご覧になれます。(1:32:40~1:42:40※10分ピッチ)

決勝プレゼンのタイトル

#01 前提:Leaner見積とは

Leaner見積はBtoBエンタープライズ向けのソーシングDXクラウドサービスで、見積業務を行う調達購買部門の方がメインユーザーとなるプロダクトです。

ARPA50万×Horizontalであることが特徴

買い手と売り手双方の見積プロセスを一元管理し、調達力の強化に通じて収益性の向上を行うプロダクトになっています。

買い手約50社、売り手約5,000社にご活用頂いております(2023年10月時点)


Leaner見積のオンボーディングの定義は、「Leaner見積活用率100%」。条件①全ての見積がLeaner経由、条件②約200人以上の関係者が全員使えることに定めており、ハイタッチでのオンボーディングが必要なプロダクトです。

活用率100%の難易度が高く、もともとオンボ完了までに20週を要しておりました。

準決勝では、「T1(1億→3億/1年)達成を加速させる早期オンボーディング達成のポイント」というテーマで、社数拡大に向けて2つの壁(壁①期中での予算獲得、壁②同時期×複数社のオンボーディング工数)の突破した取り組みについてお話しました。
※オンボーディングはどのSaaSでも、顧客にサクセスを届け続けるために、最重要かと思いますので、Leanerのオンボーディングをより詳細に言語化したnoteは後日出したいと思っています。

準決勝のnoteはまた後日出しますので、お楽しみに!

決勝では、オンボーディング完了後のアクションを中心に、NRR成長を軸にT1達成を加速した取り組みについてお話しましたので、本noteでも、NRR成長を加速させ、T1達成を成功に導いた取り組みについて共有します。

#02 NRR成長がもたらす意味合い

LeanerのCSチームでは、「NRR※売上維持率」を最重要指標として追っています。

チャーン、ダウンセルが0であることは、SalesとDevが既存のターゲットに集中でき、新規営業やプロダクト開発の加速に繋がると考えています。

また、アップセル事例ができることは、既存顧客へのサクセス体験の増幅+価値の言語化/定義が進み、新規営業時点でのARPA向上に繋がると考えています。結果、CSチームがNRR成長にコミットすることは、「新規ARRの積み上げを加速させる」と考えています。

NRRは年間目標(Key Result)として追いかけています

#03 NRR成長に向けた課題

なんとかNRR成長できないかと考えていく中で、「多言語対応がいいのではないか」「分析ダッシュボードがあればいいのか」という新機能開発に依存した思考になっていました。

機能開発ができればアップセル、チャーン防止は実現できますが、「機能開発ありきの思考では、いつまでたってもCSとしてはチャレンジができない」状態が続いていました。

T1達成を目指すフェーズでは、Devチームの人数/体制も発展途上で、
新機能開発に依存していては何もアクションできない


Leanerは、目的達成志向がとても強い組織で、Sales、CS、双方からあがってくる改善要望に対して、Devはどちらに注力すればよいのか・・不明確な状態に繋がっていました。そこで、『限られたリソースで顧客のサクセスをどう増幅していくか』という課題を設定し、NRR成長に向けた取り組みを進めました。

目標達成思考が強いチームこそ、あるあるなはず・・・

#04 NRR成長に向けて注力したこと

限られたリソースの中で顧客のサクセス体験を増幅するために3つの施策を実施しました。 

施策①:Sales&CS&Devの戦略合意(狙い:注力テーマの共通認識化)

まず、注力テーマの共通認識化に向けて実施したSales、CS、Devの戦略合意の取り組みについてお伝えします。1点目は「ロードマップ会」、2点目は「相棒制度」です。ロードマップ会では戦略・プロダクトのロードマップを、Sales、CS、Devの3者間で優先順位を決定しています。相棒制度では、BizとDevが同じことを目標に向き合う土台、信頼関係構築を構築しています。

ロードマップ会は、Leanerでは『チズ会』と言っています

ロードマップ会がない世界では、Sales、CSからの優先順位付けができなかったり、せっかく機能のリリースされたものが全社として注力したいテーマと紐づかない、そんな悲しい状況が起こっていました。

LeanerではあえてPdMは置かずに、ロードマップ会で、Sales、CS、Devが解くべき課題の優先順位を決め、機能開発に期待するところ、Bizが工夫で乗り越えるところ、こちらを明確化しています。

仕組みとしては、月次でロードマップ会を実施し、Sales、CSのマネージャー、そして全Devチームのメンバーが参加している状態で、戦略ロードマップのアップデートを行っています(PdMを置かない体制だからこそ、Devチームメンバーが事業や戦略を自分ゴト化できるように、全Devメンバーが参加している点も重要だと考えています)

PdMを置かない代わりに、全Devチームが参加し、
Devチームの事業や戦略顧客解像度を高め、自分ゴト化できることが重要

次に相棒制度について紹介します。

戦略やプロダクトのロードマップをマネジメント層で決めていくとなると、なかなか全員がいる場で話すのはハードルが高い、そんな風に思うメンバーもいるのではないでしょうか。

そこで相棒制度を実施し、相互ミーティングを週に1回実施しています。

ここでは、Sales、CS、Devが集まり、組織が拡大しても意見や考えを緩く相談できる場を意図的に開催しています(役職、役割なども相棒制度は完全フラット!)

BizとDevが職能を超えて、同じ目標の課題に向き合う土台作りにコミットしています。

四半期ローテで相棒は入れ替えています!

 
相棒制度は、約3年一緒に顧客と事業に向き合っているDevチームの小久保さんのブログにより詳細について整理されているので、覗いて見て下さい

施策②:顧客のビジネス成果の向上(狙い:チャーン防止)

次に、チャーン防止に向けて実施した、顧客のビジネス成果にこだわるアダプション施策についてお伝えします。

CSMの役割はプロダクトを100%使える状態に導くのではなく、「顧客のビジネス成果を最大化すること」。そのためにLeanerのCSチームでは、「分業ではなく、一気通貫で深いCS支援」を行っています。

目の前のユーザーだけではなく、企業全体のサクセスに導くために、信頼や情報が分散することはリスクと考えています。

契約開始後、オンボーディング期間+サクセス期間+リニューアル期間を一気通貫で担当

Leanerをご活用いただいているトヨタ自動車様を例にお話しさせていただきます。エンタープライズ企業の場合は、サクセス余地は無限大だと考えています。

どこかの工場に導入頂いた後に、企業全体のサクセスを最大化させるため、三層接点の範囲をより拡げていきます。組織や業務の全体像を捉えて、超エンプラ企業はSales連動、エンタープライズ企業はCSがリードで推進を行っています。

相対部門のサクセス<<<企業全体のサクセス

具体的には、Notionを活用し企業の全体像を捉えて、次に1回のアカウントプラン会を実施、サクセスシナリオを精査しています。

組織図はSales段階からベースを作成し、契約開始後CSにて引き継ぎます

2つ目は、チャーンにHitするノックアウト要件のクイック開発/解決についての取り組みです。部門展開やユーザーの拡大が広がっていくとオンボーディングタイミングでは出てこなかった改善要望が出てくるケースが各社あるかと思います。

その中で、ノックアウト要望にクイックに解決できる体制が重要で、具体的にはノックアウト要望を専属で扱う小玉チーム、小玉チームが専任できるように遊軍という体制がキーになっています。

また、改善要望は具体的には4つに分類し、ないと業務に支障が出るものをCSリードで5位まで位置付けし、Devチームに接続しています。

小玉+遊軍チームがキーポイント

施策③:価格ロジック・プランの変更(狙い:UPSELLの活性化)

最後に、アップセルの活性化に向けた、機能開発頼りにならない顧客のサクセス体験増幅についてお伝えします。皆さんの会社ではプライシングロジック、プランの変更、これはどこのチームが素案を作成してリードされていますでしょうか?

プロダクト提供価値やビジネス成果を決めるのは顧客であり、その顧客に一番近いのはCSだと思っています。だからこそ、CSがリードしてプライシングを設計していく、0から1億円までは、とにかく1億円の壁を突破するために機能の境をなく解放していましたが、T1達成フェーズではCSリードで提供価値を3つに分解して、プライシングに繋げていきました。

SaaSのステージ別プライシング戦略
(https://note.com/tomo4kata/n/n3ba9e125803b)を参考にさせて頂きました。


そして、Sales、CS共同でプロダクトの提供価値を再定義し、提供プラン、プライシングの見直しを実施しました。


具体的には、活用機能軸にプライシング設計を行い、顧客目線で利用開始がしやすく、最終的にはビジネス成果と比例した形のプライシングモデルを採用しています。

プライシングは、終わりなき進化ポイントで、今後も顧客目線でアップデート予定

最後に、「サクセスレベルの定義・向上させる取り組み」についてお伝えして締めさせていただきます。

CSMの役割は「顧客のビジネス成果を最大化」させること、そして、SaaS提供者の使命は「業界のスタンダードを刷新すること」だと、私は考えています。

SaaSは日本のDXを加速させる

Leanerでも「調達のスタンダードを刷新し続ける」というミッションを掲げており、CSは「顧客と業界のスタンダードをリードする責務」があると思っています。

そのために、現状と顧客の目指す姿を埋めることはアタリマエ水準であり、最終的には『顧客が単独では想像できないところに引き上げられるか』が重要と考えています。

お客様自身も理想や目指す姿が分からない!という状況を
CSがリードして導くことが重要

具体的には、サクセスレベルを定義しています。SaaS提供者だからこそ分かる各社のナレッジというものを仕組み化し、相対企業の現在地、目指す姿をプロット、その上で、顧客が単独では想像できない目指すべき姿を提示しています。そして最終的には引き上げた目指す姿に対して届かないプランというところのギャップを示して、顧客目線でアップセル提案に繋げています。

顧客のアウトカム(CO)へのこだわりは、
青山さん(解説者)、丸田さん(解説者)、高太郎さん(解説者)にも評価頂けたポイントでした

顧客が単独では想像できていない目指すべき姿を浸透するために、2ステップで実施しています。

step①は、アカウントプラン会で、各社の状況、目指す姿をプロットし、CSチームでブラッシュアップしています。そして、最もサクセスレベルが高い状況をCSチーム内でもシェアしています。その後、step②で、四半期に1回定例がある役員陣、部長陣とサクセスの引き上げを一緒に行っています。
山田さんがSaaS CS集中講座でもメッセージされていた『重要なのは「自社の顧客」のライトサクセスとディープサクセスを知ること』も重要視しています

顧客が単独で想像できていない目指すべき姿について議論できるからこそ、
継続的に顧客の役員~部長接点を確保でき、一緒に進化できます

#05 成果+まとめ

成果として、これまで約50社のお客様にLeaner見積をご活用頂ておりますが、アカウントチャーン、グロスチャーンともに、0%です。

そして、NRRは126% 、グローバル水準でもかなり高い水準を実現し、T1達成に貢献することができました。
※CS歴が浅いメンバーが多い中で、エンタープライズ企業への向き合い方、NRR成長に悩んでいる方は、私と一緒に既存顧客に向き合っているCSメンバー(郷田)のnoteも参考になるかと思います

事業としては、T2D3の3倍成長を超えて5倍の成長で現在Leanerは成長しています。
※BizDevMixで、顧客とマーケットに向き合ってきた成果です。

最後にトヨタ自動車様から年度更新でいただいた言葉で締められればと思います。私自身も世の中を変え、日本を盛り上げるために、心に刻んでいる言葉です。

「良いプロダクトだけでは、大手企業は変わらない。慣性の法則に逆らってでも、一緒に企業を変え、世の中を変えたいと思えるパートナーと仕事をしたい。」

2年目契約に向けた契約更新の商談にて頂けたお言葉です(宝物)

私自身、SaaS提供者が最も大事にすべきことは、「職能を超え、顧客と一緒にプロダクトを育て、提供価値を高めること」だと、考えていますが、プロダクト活用率が約1カ月で100%になっても、どれだけプロダクト提供価値を生み出せても、一筋縄ではご利用継続にならなかった経験を最前線で体感しました。大手企業のスタンダードを刷新し、世の中を変えるには、パートナーとして伴走するSalesやCSMといったBizチームの推進力(顧客に熱量を届け続ける)が欠かせないと信じています。

そして、既存顧客のパートナーとして、フロントで代表しているのがカスタマーサクセスであり、カスタマーサクセスが企業と世の中を良くしていく責務があります。

SaaSを!”日本を!カスタマーサクセスが震源地”となって盛り上げていきましょう!

丸田さん(解説者)からも、こんなCSの会社が日本中に増えて欲しい、入社したい!と
お言葉を頂き、何よりです・・・(嬉しい)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
noteには記載しきれていないお話などは、CS HACKのイベントでお話したいと考えており、2024年1月30日(火)を候補日として調整中です。
※リリースされましたら、また告知予定ですが、connpassチェック下さい!

日本を盛り上げるために、私自身もカスタマーサクセス、セールス、プロダクト創り、事業について等、やれることは何でもやりたい!試せる施策は何でも試したい!ので、ぜひ対面でもオンラインでも熱く皆さんと語れると嬉しいです。※お気軽にDM下さい@NaoyukiOrimo

▼弊社Sales責任者の高橋が書いた営業目線での新規プロダクト立ち上げnote
(ここまでのLeanerの苦悩と学びについて生々しく言語化されています)

▼Leaner採用情報はこちら
(Sales、CS、Devともに、全職種募集しており、熱い仲間と出会いたいです!お話ししましょう!)



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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